もう幾年前になるでしょう
 十二月二十四日
 普段通りのお弁当を並べていました
 
 初めて来店したおばあさんは
 「今日はクリスマスやから」と言って
 唐揚げ弁当を
 ひとつ、買って ....
宝石は眠っている
と偉い詩人が言った

こんなに美しいものが
眠ったままとはもったいない

起こしてやろう
とハンマーを振り上げ
振り下ろす

宝石は粉々に

いよいよ深く
 ....
●コップに入れた吉田くんを●空気が乾燥した日に●風通しのよい部屋に二日のあいだ放置しておくと●蒸発して半分になっていた●これは●吉田くんが●常温でも空気中に蒸発する性質があるからである●コ .... 戦士エイソスは、直接祭祀クーラスの元を訪れることも考えていた。
(クシュリーやイリアス・ナディを攫わなくとも、
 物事を良い方向に好転させるすべてはあります。
 それは、エインスベルに恩赦を与え ....
エインスベルは虹の魔法石を持っているという。
それは、すべての魔導士たちの魔力を無効化する魔法石である。
ならば、エインスベルがヒアシム・カインの魔法を発すれば、
戦いの決着は一瞬でつくのではな ....
戦士エイソスは己が無力を感じて苛立っていた。
ランランテ戦争における無力、クシュリーの誘拐に関する無力。
世界を動しているのは、自分ではない、と感じる。
では、誰が世界を動かしているのか?

 ....
エインスベルの表情は、泰然自若としたものだった。
いや、実際には超然としていた、と書いたほうが良いだろう。
叔母ミーガンテへの復讐、ライランテ戦争、今回の監獄からの脱出、
事が起きるごとに、エイ ....
バターの日
強ばった手足に蜜を塗り
小鳥たちに愛を与える

ナイフ、なにも
切らないでいられるうちは
美しく澄んでいて

でもわたしたちには生活がある
パンもバターも熊の夢も ....
ひとり山道を歩いていると大蛞蝓に遭った
私は呼吸も荒い中、足を止め
元気ですか――と、声掛けした
彼は特に気にするでもなく、じっとしていて
じっとしていることが最大の防御ですと言わんばかりに
 ....
噛み砕かれた
朝の死がいが転がっている
果実の並ぶ
健全な食卓からは
冬を裂く音が聞こえてくる
雪解け
のような発声で
猫が毛玉を吐いている
猫から吐き出された毛玉は
新たな猫になり ....
30歳に見えないっ(キャッ

ほぅ、じゃ何歳に見えたんだい
40に見えたか、老け顔か

更年期、かくのごとし


性獣や49歳妻子持ち、24歳女と不倫

意外とめちゃくちゃにできて ....
いのると
いきるは
似ている

とどくとか
とどかないとか
そういうことで
なく

しあわせでも
ふしあわせでも
ないものが

心にあたる
ことがある
戦士エイソスは戸惑っていた。クシュリーが
これほどまでにエインスベルを憎んでいるとは、思わなかったのである。
彼は、初めてその妻に対して疑念を抱いた。
あるいは、彼女こそクールラントの運命を握っ ....
クレールは、ハッジズ・ア・ラ・ガランデの嫡子だった。
ハッジズには五人の子供たちがいたが、
クレールはそのなかでも最も武勇に優れていると言われていた。
しかし、政治力については未知数である。
 ....
神さま、教えてください

人間失格感想文

むげんのみらい
ひとのことしか
かけなくなった

*


ドライブの帰り道
甲子園地方大会に
ブラリと立ち寄り(何処かと何処かと ....
和歌

やみもなほ ともにさまよひ あくがれて 
めのひかりこそ よすがなりけれ
酢豚にも肉を選ぶ権利ある

カレー好きにはカレー好きなりの悩みがある

ホタテを選んで何が悪い

小学生と同意見

恋だからってなめんなよ

睡眠を愛している旦那

睡眠に ....
五線がある
君はそこに音符を置く

   それは仄昏いどこかからやってきて
   君の感覚を通過するとき
   音符のかたちをとったもの

君は識っている
その音符が
鍵盤と指とを通 ....
●捜さないでください●現実は失敗だらけで●芸術も失敗だらけ●ちゃんと生きていく自身がありません●ハー●コリャコリャ●突然●自由なんだよって言われたってねえ●恋人没収!●だども●おらには●現実がいっ .... 「さて、どうでしょう?」今やフランキスは、元のさやに戻っていた。
祭祀クーラスを今暗殺する、という考えは完全に捨て去ったのである。
しかも、彼は自信家だった。アイソニアの騎士やエインスベルなど、
 ....
「それでは、こうしてはどうでしょうか?」フランキスは言った。
「アースランテのハッジズに親書を送るのです。
 王位継承権第九位のイリアス・ガ・ラ・ハルデンを預かっている、と」
祭祀クーラスは怪訝 ....
そのころ、エインスベルは何を思っていただろうか。
自分が誘拐を阻止したクシュリー・クリスティナが、
彼女を憎んでいる、ということは知っていた。
(クシュリーは、魔導士全てを憎んでいる……)

 ....
おもほえず 若菜つみつつ うち泣けき だれがなづけし ははこくさとな

(若菜を摘んでいると、思わず涙がこぼれた。誰が名付けたのか、母子草というのだね。)

きみよりも すこし数奇な 道なれど ....
決まりきった文句で いまこそふってよ

雨にぬれるのは慣れっこよ

さしだされた傘に 入れない子だった

やっと見つけた楽しみも いつかはマンネリになる

見事に私をふりきった貴方 ....
嵐の中でも歩き続けたい

生きているからこそ出来るコト

はやく悩み疲れて私の脳みそ

幸せに犠牲はつきもの

はでそうな頭抱えてる私

すがれるほどの勇気がない

優しさ ....
明日のコトさえ知れない私たち

今を生きているだけで素晴らしい

いままで知らなかった貴方を見たい

私が死んだらホルマリン漬けにして

死にたいほど生きたい今

私に会ったら ....
その通りだった。アイソニアの騎士は、イリアスの元へと向かっていた。
すなわち、クールラントの祭祀クーラスの元へと。
このような陰謀を張り巡らすのは、彼以外にいない、
ということを確信していたので ....
「こうなったら、イリアスを拷問にかけましょう。
 アースランテの内情を聞き出すのです。
 いかに庶人に落とされたとは言っても、
 もとは王族の娘だったのでしょう?」

「いや。少女を拷問にか ....
そのころ、祭祀クーラスの元にも一つの報告がもたらされていた。
すなわち、アースランテがファシブルに宣戦布告をした、という一報である。
「何だと? アースラテが今動く? それは早すぎる……」
祭祀 ....
水を得た夜空です
夜には澄んだ真水がある
手をのばして
触れようとすると
逃げてしまうんだね
小さな星に隠れた
君の息づかいを聴いていると
とても静かな胸の内では
真水が溢れてくる
 ....
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