ポットから無限が流れだしている小部屋
蒼く暗い闇に吸い込まれる
悲しみか
裸の女と裸の男が孤独を抱きしめ合う
時が止まっても
無限は鳴りやまない響き
悦びか
青い粒の光散りばめる目元 ....
静かに甘やかな風が、優しい夜を連れてくる
ねぇ、どうして
やりたいことの欠片が
少しずつ見つけ始めたそれが
わたしの上に羽をもって降り積もっていく
甘やかな夜が、わたしがわたしであるあろうと ....
珈琲の渦の奥に一つ
小惑星が沈んでいます
あれは浮かんでいるのです(彼方側では)
音は滴り落ちるので
雨さえ頭上へと上がってゆきます
すべての事象があべこべなのです(此方側では) ....
「字源」
ある日テレビを見ていると
アスペルガーと思わしきとある女性タレントが映っていて
こんなことを言っていた
「人」という字について
こんなことを言っていた
「人」という ....
あいつは童話のデンマークおんなのこ
あいつのメルヘンはおれだけがまもる
やくそくしたのにやぶってしまったよ
あいつがいたらこわくなかったのに
たいしてたよりにならないやつだ ....
幻を見ている私
あの花も
空も 鳥も
実体のないもの
一期一会の風景の中
佇んでいる私も幻
夢のまた夢
一瞬の輝きを見せる
季節たち
移ろい行きて
消えてゆく
まるで ....
あいつをほめたい
さいこうにほめたい
せかいをあけてあげたい
ひきだしをたくさんつくってあげたい
おれがなんじゅうねんもかけてまなんだことを
あいつにぜんぶわたしたい
....
暗示を拾いに
街へ出る
更新されてる
かけらを探す
見えないほころび
次元のすきま
世界の正体を
見極めたくて
街の中で
見つけたしるし
隠れた意味は
よみ取りがたく ....
立ち上がれない
骨が、肉体が、魂が、叫びを上げている
それでも騒めく木々は、やまない風は、
まだ立ち上がれとでも言うように
木の葉を揺らし、落ちた木の葉を
風は舞い上がらせて
この地 ....
湿った青灰色の夕まぐれ
音楽を探していた
ぱっとしない
うまくいかないことばかり
毎晩のように襲いくる発作
ひとりではある程度のことしか出来ない
ひととやると思い通 ....
私の欲望にふれてみた
とても冷たかった
まるで氷のように
冷たかった
そこには愛はなかった
ひとかけらもなかった
とても悲しかった
欲望は私のうしろに
ずっとついてきた
まるで影のよ ....
季節は 夏をわすれて
夏とも秋ともいえない
空白の季節がうまれた
夏をさがして 野山をかけても
秋のみのりの かげりを
みつけるばかり
朝おきて そらをみあげると
いいし ....
黒焦げのアカツメクサを労うように
レースフラワーが風に揺れ
夏が終わると歌っている
排気ガスまみれの分離帯にも
芽吹いた種は繁らせた
波打つ夏の色
色褪せた空のキャンバスに
ぽたりと ....
大時計の針の上で寝そべる
空の瑠璃色を映す
湖の波紋が 夜の膜のように拡がってゆく
その浅い水の褥のうえには
夏に日焼けした物憂げな表情が
よりいっそうに青く映り込んでいる
その細ながい胴 ....
陽炎をゆびにからめて帰りませ 朝月浮かぶ狭霧の径を
例えば水が滑り落ちる音
例えば瞬きする音
例えば呼吸する息遣い
例えば動き続ける心臓の鼓動
ゼロになって
ゼロになって
わたし、今、ゼロになって
まっさらな自 ....
ひかりの
衣擦れをまとう街の
瞼にぶらさがり
あそぶ足音をひろう
みずたまりで
しらんでは気化する羽根
はかなさを
みせびらかした彩りを
うとんでも
纏うばかりには剥いで
ちら ....
勾留されて取り調べを受けた。一日めでいちいち真剣に返答していたら体もたないことに気づいた。取調室に向かう際かならずロッカーを通る。そこでだけしばらく時間が潰せる。ロッカーのなかにノートを広げて今日のこ ....
画面の外の半分は淡い光で
覆われていた
手を洗いながらずっと
考えていた
冷たい風が金属製のゴミ入れを擦るときの
音のことを
スクリーンの前には誰もいない
ついに解くことのなかった結 ....
童話のように優しいあたたかい詩
読者を拒絶していると怒られる詩
多分どちらもたいせつ
甘い物と
お野菜
ほっこりとしゃっきりに感謝を
日常の大切さを素直に現す詩
心の風景を婉曲で ....
言葉の意味というものは
言った人の人格という文脈の中で
読み取れるものである
そんな気がする
この世がうごめく
求めればいい
欲望を
呑み込めばいい
欲するままに
生き急いでも
朽ち果てるのが定め
ゆれる時に怯えても
答えはひとつ
静かに生きても
華やか ....
あァ、
もうこんな時。
刻限を忘れるほど
夢中になっていたか
あっという間だった、なぁ。
顔上げれば一面炎のよう
夕日がきれいで
朱色に染まる体
泪は無色
なんで色付 ....
しろい光をうけて
まぶたを閉じた
過ぎ行く夏の
忘れもの
瓶の中の南の島に
寄せては返す波
貝殻に耳を澄ませば
懐かしい故郷の唄
星よりも遠い
あなた
面影を抱 ....
湿りけのある
くれないの緑の葉、
あしもとに踏みしめていく
いつの日か わたしは何故か
あなたに抱かれていた
撃たれるように
撃ちころすように
....
(ねむっているように、うつろに開いて
よこたわっていても、私には見えてる)
瞬きで合図をくれていた
感情もなぜかくみ取れた
そんなにあふれていたんだね
枕元にたくさん落ちていたよ
....
口だけやんか
とか 言うけれど
言葉にするって
けっこう大事やぞ
言葉が引っぱってって
きみが信じきれていなかった
場所へ
夢、とか名付けていた場所へ
たどり着ける
こともあ ....
ご自由にどうぞ
ご自由にどうぞ
ビニール
骨組
ことばについて
朝 降っていたなら
さしたらいい
帰り晴れたなら
忘れていい
高級 ではない
暴風 勝てない ....
弱いから
強さを体感できる
臆病だから
勇敢にもなれる
温度差があるから
強さという
私にないものを
体感できる
強さに触れる時
弱さを持ったまま
平安を得ることができ ....
ぼくの身に止まった蝶が
羽根をやすめることができる速度と
やわらかさで生きていく
だまされても理不尽に遭っても
戦争になっても
失意のときも得意のときも
その蝶 ....
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