忘れてしまった悲しみに
今夜も抱かれ眠りつく
失うことのない喜びに
今夜は明るい月もなく
出かけることの意味も無い
忘れてしまったこの身にも
今夜は触れる勇気なく
外で叫ぶ元気もない ....
肝臓が今夜も泣いている
琥珀の液体に侵されて
ぼくも夜毎に泣いている
明日をも知れぬ身体を引きずりながら
一日に300キロカロリーを摂取するだけで
生きて往けるのだろうか
疑問符が脳髄 ....
ゴンの寺の石段は長くて
自販機はコインを入れても
硬貨が返って来て
缶コーヒーを行きは買えなかった
紅葉が散って行く
登った先の堂宇にある
賽銭箱の前には
男が居て多分僧侶だろう
帰り ....
クヌギの林が枯れました
ぼくはシャクシャクと
林の小路を歩きました
栗鼠がドングリを咥え
樹の幹を登ります
初冬の薄い日光は肌を刺すことも無く
ひっそりと肩を抱き絞めてくれるのです ....
父や母 子や孫 兄や弟 姉や妹
と書いて もう私にはわからなくなった
これから一生かけて 目の前の壁だけをみていたい
しろい苔がいつまでも魂の表皮から剥がれそうにないから ....
ろくすっぽ砂も噛んだこともねえ表六が
干し過ぎた柿みたいな遺書をしたためる魂の童貞
笑わせんなよ、書き終わらないのは
心残りのせいじゃねえ、終わらせる気がないせいさ
「青い果実 ....
抱きしめてくれる人が欲しかった
ゆっくりお眠りと囁いてくれる人
この腕は全てを突き放してしまい
十二月の気温に湯たんぽを抱いて
はだかんぼでお布団に包まり独り
屋根の向こう見えない空を眺める ....
影にもまぎれもない命にも
届けぼくらのイメージよ
原初のもっと前を
飛び超えてこいよもっともっと
飛ぶ鳥のようすが
悲しくもあたたかくも
個体にも運動にも
....
私はブルックナーの力を借りて詩を書く
そこには誰もみたことのない静謐さがある
死を感じた時私はブルックナーを聴くことにしている
これはどうでもいいことかもしれない
しかし私にとってみれば大 ....
色はくろ
とてもひんやりとしててゴクリ
のみほした
炭酸ジュースのはぜる泡よりおおく
星がパチパチ光ってて
ぜんぶのそらでいっとうあかるい
あおい星
くちびるにひっかかり
わた ....
つまらない思いを抱えて
つまらないつまらないと日々を送るのが
これからも死ぬまで続くのだと
濡れた服を脱ぎながら真実に思えてくる
拾ってきた枯れ枝を瓶に挿し
部屋の中に小さな林を作ってやろう ....
古墳のある郊外の町には
なにか清新な風が吹いていた
プログラミングの講習を
五階建てのビルで受けていた
ぼくは思う
よくないことも
いいことも
起こっては ....
しゃらり
さらさら
銀の音
空があまりにも青くて
ぼくは眼を閉じて
その音がメロディになるのを待っています
湖も凍り
白銀の地平を観てみたいのです
しゃらり
さらさら
....
白い。何にも覚えてない。現実、現実、現実、赤くない、高くない、温かくない、現実。感、も無い。すごく寒い思いもしたいのにまるで私は生きてないみたいなんだね。まるで明日も私は生きていないみたいなんだね。ま ....
からだと
服が
千切れて
いて
眼球が
なんとか
必要な
部分を
探ろうとしている
超音波
それは
死を
みる
最先端の技術だ
コンビニエンスストア
で
エロ本 ....
いつからか分からないけど僕は白線の内側に立っていた
日中の残り香が頬をじわっと暖めていたけれど
僕を笑う人が多すぎてすぐに冷めてしまった
何かのパレードにように後には人々が続き
幸せになりたい ....
お前はオマエでいい
俺はオレでいい
かんたんなことさ
灰色にそめられた季節があった
あがいてもあがいても抜け出せない
アリ地獄に僕はいた
自分が自分であったから
....
今日も りゅうが 脱走した
「理由」なんて聞く奴がいるから 逃げだしてしまうのだ
話の尾ひれなんて無視して
ゆらぎは水の色
ゆがむからだのまるみに いかす光彩くねらせて
す ....
初冬の空に向かい
紙飛行機を飛ばした
天を目指し
太陽に届きそうな
まさにその瞬間のこと
紙の機体は宙に溶けて消えた
直後 空気はぴりぴりと
痛い ....
かわいいっ!
こんなに可愛い物など
他にあるかしら
豆柴の肛門っ!
プードルの肛門とか
テリアの肛門は
なんだかイマイチなのよねぇ
っていうか
存在そのものが人形チックで
肛 ....
耳元で南米みたいな光のなかささやいてみた
ぼくはあなたのヒーローか?
煙草をふかしながらオルガン
ぼくはあなたのヒーローか?
札束でお腹をなでながらキスから始めてみた
....
ただいまと
大声で言う
夜のトンネル
潜り抜け
家族に溶け込む
こう寒うては命もなんだか寂しいようだよ
命ってね、炎のようだけど本当は違うんだ
光ってるけど温度はないんだ、見れば
哀しくて君は首を吊りたくなるよ
今日なんかはね、まだあったかいだろ
そ ....
ぼくは雨になれるのかな
晴れになれるのかな
曇りになれるのかな
花を咲かすことができるのかな
実を結ぶことができるのかな
部屋の隅に蹲り
未来予想図をなぞってみた
時計の秒針がコ ....
電車の中で
懐かしい訛りが聞こえる
聞き間違えることのないその方言は
故郷の海の匂いがした
夢の中では生きられない時が来ると
理解していた
現実につぶされそうになりながら
私は両手で囲って
頭の中の草原を守った
罵倒と泥の嵐の上に
私の女神が立っている
現実と戦う私 ....
十代前半の頃だったと思う
一遍の詩を読んだ
それは月刊の学生専門雑誌に投稿された入選作品だった
それまで、詩など教科書でしか読んだことはなかったのだけれども
題名に惹かれたのか
それと ....
八月二十日
土を舐める、ミミズの肌に頬を寄せる
現実とは、そういうものだ、そう言いたげにその日はやってきた
希望は確かにある
廃道の、石ころの隙間にひっそりと生をはぐくむ草たちのそよぎ
ゴー ....
寂しさを荷物にして歩いていると、
明るい空が見えた。
そのとき、寂しさを忘れた。
くらやみが、ひかった。
明るさが海の底でキラキラと、笑う。
今までの寂しさを、
海のように、あたたかく ....
明日の朝餉で
煮物たちは
ついに食べられるつもりです
かぼちゃの君は
セミロング気味に散髪され
さらりと初冬の乾いた風になびかせ
そっと魔法の馬車馬が走り出す
だいこんの僕は
降りしき ....
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