「ドラゴンたちは、ハーレスケイドから降臨したのです」と、オスファハン。
「やはりか。しかし、ハーレスケイドのことは、我が国においても、
一部の人間にしか知られていない。公にはなっていないことだ」 ....
ええやんで、声ださんちゃ、言葉は星になるからね。音になって、声なるんじゃけ、鳴くみたいに本棚から詩集でもとって朗読するんじゃね。ここんとこ焦げついて苦しかったろ、煤けけ、しろけむ、はきだしんしゃい。海 ....
うずくまる白い象かな 伊吹山
夕日背にして息吹く山肌
軍事に関しては国際交流するくせに、
犯罪に関しては国際捜査もできない。
まぁ、今に始まった恥でもないか…
曇ったそらからゆきが降る。
リストのラ・カンパネラって、
やっぱり神 ....
ライランテ大陸では、すでにあちこちで戦火の炎が立ち上っていた。
ドラゴンたちを倒す者、逆に味方につける者、
それらの者たちが集まって、戦争とも内戦ともつかない様相を、
各国は呈していたのである。 ....
「この一か月、いいえ、正確には二週間の間に分かったことですが……」
ヨランはもったいぶった口調で再び話し始めた。
「イリアス・ナディは、カラスガラの北辺にある
バルケスの塔という場所に幽閉され ....
「とにかく私は、オーバ・ニーチェに当たりをつけてみます。
戦争が未だに激化していない現在なら、イリアス嬢もきっと無事でしょう。
祭祀クーラスは、依然として彼女を駒として考えていると思えます」
....
「星ころし」
悲しいことがあると
星を見ていた
お姉ちゃんは夜に泣く
一番小さな星を探していって
順番にころしていた
悲しいことが多すぎて
埋葬された星の数は
あと一つで百になる
....
自分のおさないころ、
「おまんじゅう」のつつみと言えば、
「経木」であったのです。
それはいえいえ、「かしわ」だって、
「さしみ」だってなんだって、
つつんでいたのです。
あの ....
「それが、エランドルに利益をもたらすとは思えないが……」
「エランドルの思いには、隠された一つの秘密があります。
エランドルは、ククリスというかつての恋人の復活を望んでいるのです。
そのため ....
「おい、ヨラン。イリアスが誘拐されてから一か月の時が
経とうとしているのに、なぜ未だその所在がつかめないのか?」
「クールラントでは、今オーバ・ニーチェという秘密組織が、
幅を利かせています ....
イリアス・ナディは、バルケスの塔という廃屋に幽閉されていた。
この一か月間、祭祀クーラスはイリアスの存在を隠し続けていた。
しかし、アイソニアの騎士は容易にその姿を現さない。
「アイソニアの騎士 ....
液晶のなか目覚めたように
数字が淡く点滅する 淡くて少し掠れていて
なぞる 指がつめたい
わたしはまたほどけようとする
全部がいちぶ いちぶは全部のごとく移ろい
そうか海は個と全の明 ....
アイソニアの騎士は、この混乱の中で何をしていたのだろうか。
アースランテにも諜報組織はあったが、
アイソニアの騎士はクールラントに潜入して以降、
イリアスの所在を掴むのに苦労していた。
「 ....
その間にも、水面下では様々な野望が渦巻いていた。
ヒスフェル聖国では、ひそかにアースランテとの和平を画策していた。
ファシブルは、アースランテの軍隊を防ぐので手一杯だった。
クールラントの祭 ....
中でも、アースランテに降臨したドラゴンたちは強力だった。
彼らは、火炎によってファシブル、ラゴス、クールラントによる
占領地を焼き払っていく。そこに慈悲はなかった。
ハッジズは、多少の自国民の犠 ....
{ルビ蜩=ひぐらし}の歌う
夕暮方に
西の空は 蒼く透けて
予感が
宙に解ける
{引用=※五行歌とは、「五行で書く」ことだけがルールの、新しい詩歌です。}
ラッシュアワーを過ぎて車輌には
まばらな乗客
停車したその駅では誰も席を立たない
低い土手が迫る人影ないホーム
竹の混ざった雑木が金網で仕切られていて
絶え間無し 葉を落とし ....
ドラゴンたちがライランテ大陸に現れて一か月、
各国の魔導士たちは、ドラゴンを手なずける術を手にし始めていた。
中には、ドラゴネイアスという、人に変身できる種族がいた。
彼らは、各国の魔導士たち、 ....
ドラゴンたちは、それぞれに快適な場所を塒として求める。
ドラゴンたちが現れたのは、アースランテばかりではない。
ファシブル、ラゴス、クールラント、そして、
ライランテ大陸の東半分に広がる、ヤーコ ....
各国がそれぞれの思惑に捉われている間、
アースランテ、いやヨースマルテには天変地異が訪れようとしていた。
それはもちろん、エランドルの仕業である。
ライランテ大陸の各地に、ドラゴンたちが舞い降り ....
おやすみ
の水面に素足を浸して
拡がる波紋は
冬の岸辺に
触れるのでしょうか
淋しい女のかたちで
立ち枯れる両脚は
白い冬に
駆けだした素足を追う
夜の終わりには
うなだれた星座が ....
焼酎の お湯割りチビチビやりながら
彼女とラインで ふけるひととき
アルデバランの人
夜気の澄み
情けは
人のためならず
輝く
なるようになる
と思いたい。その時に
私のいないその世界で
あなたは自分の誕生日を
迎える
死以 ....
耳をすます
と冬の足音が春を追いかける
探し当てる
木の根っこに絡んだ宝物のありか
溶け出していく
溶け出して流れて行き着いて沁みわたる
あの海に
この胸に
手を合わせて
触れて ....
だらしない悲しみが
寝そべっている
海までの通り道に
誰かほうきで
掃いてくれる人はいませんか
と呼びかけてみるが
返事がない
仕方なくそいつを
折り紙のように折り畳ん ....
OVER THE HILLS AND FAR AWAY。
●「なんていうの●名前?」●「なんで言わなあかんねん」●「べつに●ほんとの名前でなくってもいいんだけど」●「エイジ」●「ふううん ....
議論の行き先が見えない時、そこに必要とされるのは、
確かなカリスマを持ったリーダーである。すなわち、ラゴスの国王アウゼル。
「両者の言うこと、たしかに分かる。このライランテ大陸においては、
ラ ....
「そのエインスベルです。我が国の諜報機関、ヨアリブによれば、
エインスベルは、クールラントではいささか厄介な立場に立っています」
「知っている。監獄に収監されているのであろう?」
「されていた ....
「それよりも気にかかるのは、ヒスフェル聖国の動向です」
ケンパは言葉を継いで言った。「かの国は、以前からクールラントとは
密接な関係を保っていました。しかし、ここへ来て、
アースランテとも懇 ....
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