二〇二一年四月一日 「時のいたみ」


 ロマンティック時間SF傑作選『時の娘』の5作目は、バート・k・ファイラーの「時のいたみ」10年の歳月をかけて時間旅行したのだが、それがあまり役に立たなか ....
「ご覧ください。これは木切れではありません。燐寸と言うものです」
ヨランは静かに言葉を続ける。
「燐寸? それは何かの魔道具なのか?」
「いいえ、魔道具ではありません。科学の道具です」

「 ....
「これは魔法ではありません。火を起こす道具です。
 どうです? 今は、あなた様にもこの紙片がご覧になれるでしょう?」
「うむ。しかし、分かり兼ねるな、これが何を意味しているのだ?」
エイミノアは ....
あ・だむを、つくりました。
あ・かねで、ころしました。
あ・りすが、とりをやいてる。
あ・もんが、ひとをたべてる。
あと・むと、ばはなりました。
モササウルスに喰われた記憶なのか、
中生代にも自分という現象は何らかの、
身体をもってそれに賭したのだろうか…
二〇二一年三月一日 「生きていた火星人」


 ロバート・シルヴァーバーグの『生きていた火星人』を読み終わった。火星人が生きていたことがわかったところで、物語は終わる。主人公の10歳の少年と9歳 ....
舶来産のまがいもの、これ幸いとばかり抱え込み
国を挙げてのばら撒きショー、さながら非加熱製剤のごとく
テレビプログラムで胡散臭い、司会者と博士のプロパガンダ
いかに安全で素晴らしいものか ....
「では、何だと言うのか? この部屋は、我らを閉じ込めておくための、
 牢獄ではないと言うのか? オスファハンは、
 エインスベル様の、そしてクールラントの敵に違いないのだ。
 祭祀クーラスとも通 ....
「なんだと! お前はそれを知って、黙っていたというのか?」
エイミノアの怒りは、さらに激しくなった。
「はい。わたしどもがここに捕らわれた、そに日のうちに」
「それを我に隠していたというのか!」 ....
ヨランとエイミノアが、オスファハン邸の地下室に捕らわれてから、
およそ三日の日にちが経った。
エイミノアは憮然としている。
それもそのはずだ、ヨランはいっこうに動こうとしない。

「おい盗賊 ....
「俺はこんなにも無力だったのか!」
怒声とともに、アイソニアの騎士は机を叩いた。
「くそっ、祭祀クーラスめ!」その憤怒は収まらない。
彼の怒りは、その召使たちにも向けられた。

「お前たちは ....
朝から蝸牛に じーじー
せみ時雨

けだるさに ぼーぼー
しょげかえる

 …一雨ほしいな

撫でてみようか
なつ時雨
まばゆい夏制服の午後をも
陽はゆっくりと、やがては暮れ

あれほどまでに心の通じた学友とも
いつの間にか、もう間に合わず
 酷暑の中、日傘もささずにこの村を歩く者がいる。
 正午の鐘が鳴る。
 家々の窓は固く閉ざされている。
 黒いマントを纏ったこの男は、片手にステッキを持ち、長い石畳の坂を上ってゆく。
 ....
おかえり
やってくるものたちよ
君らのことは
昔から知っていた
真っ赤な顔して
小さな手足をぐーぱーしていたころから
思えばそのころ
宇宙のすべてを知っていたはず
だんだん忘れたわけな ....
二〇二一年二月一日 「ルミナス」


『90年代SF傑作選』下巻の8作目は、グレッグ・イーガンの「ルミナス」数学の話で、なんのことについて書かれてあるのかはわからなかったが、小説を読む楽しみはあ ....
そして私は
静かに
狂う
小径で すぅと
鬼やんまとすれちがう



ありがとうが
口ぐせの私だが、
礼も過ぎれば
無礼になる
それでもさ



誰もいない
林の陰で ....
あなたの
ありがとうに
ありがとうさま。
あなたと
会えて良かった



涙雨
さあさあと降る

さようならは
言えないまま



雨は上がり
ウマオイの
すいっ ....
病室の窓から
夜の空を見つめる
何もない
何も起こらない
ただ黒いだけの空を
病院の灯りが反射するなかを
幻想の円盤が立ち止まる
意味ありげに
知性を持つもののように
私にその姿を見 ....
バイエルの教本の新しいまま
ピアノを辞めてしまった日の夜か

右手、指番号の1番2番にて
恐る恐る、亀頭の皮を剥いたのは
いまとなっては
最大のチャンス
「下関名物毒フグ」で
ウラジミールを
暗殺しちゃえば
核武装なんて
物騒なはなしも
なかったろうにね
ついでに
街頭演説なんて
するときには
 ....
「軽々な発言はしないほうが良いぞ」
エインスベルは、振り向かずに言った。
「ご安心くださいませ。わたしはあなた様の味方です。
 そして、祭祀クーラスを憎む者です」リグナロスの声が響く。

「 ....
石壁に横顔を当てて、エインスベルは耳をそばだてていた。
廊下の向こうから、足音が近づいてくる。
エインスベルは急いで寝所に潜り込む。
その足音、それはリグナロス・アルテのものだった。

エイ ....
二〇二一年一月一日 「わが愛しき娘たちよ」


『80年代SF傑作選』上巻の4作目は、コニー・ウィリスの「わが愛しき娘たちよ」女子寮にいる女の子が主人公。そのモノローグで語られる話がちっともおも ....
戸外では叩きつけるような雨が降っていた。祭祀クーラスは、
一人考え込むように、チェザリの盤面を見つめている。
時折雷鳴がとどろいた。しかし、クーラスは動じない。
ふと見上げると、蠟燭の炎がゆらめ ....
アーゼン・クラウトとは、ヒスフェル聖国の闇の組織である。
その影の仕事によって、ヒスフェル聖国は小国ながらも、繁栄してきた。
しかし、オスファハンにはアーゼン・クラウトを取り仕切る力はない。
今 ....
夜を越えてぼくらは生きてきた
いくつもの世界をたずさえながら

時を言葉に変換してやっと生きてきた
ぼくの笹舟は銀河のどのあたりまでゆくのでしょう

ぼくは僕であることが面倒くさくなって
 ....
「オスファハン様、どうしてあのようなことをお話しに?」
石造りの牢獄を出ると、オスファハンの侍従長が待ち構えていた。
「控えていろと言ったはずだ。命令が聞こえなかったのか?」
「はっ。それは心得 ....
「わたしはそれを探り出してみせますよ」ヨランが再び微笑する。
「それがお嫌であれば、今すぐわたしを殺すことです」
「わたしはクールラントとの火種を望んでいない。
 お前も、そこにいる傭兵も、わた ....
「ハーレスケイド? そんな幽冥界の名は聞いたことがありませんが?」
「それもそのはずだ。他国の文献には載っていまい。
 ハーレスケイドは、時間が止まった冥界、とも呼ばれている」
「冥界? それは ....
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