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雨樋を解体する音
水球を続ける少年たち
耳の奥底にある
何もないところで
あからさまな私語は
途絶えていった
水飛沫の色彩に
少年の一人が目を瞑ると
黙祷のように
放課後は終 ....
部屋の中に集落ができた
小さな集落だった
本家、という男の人が話にきて
畑で採れた作物を
いくつかくれた
学校が無くて困っている
というので、近所の小中学校と
市役所の場所を教え ....
英語のリスニングをしています
聞こえるものだけがゆっくりと
あたりを漂っています
味方はいません
けれど敵もいないので
リスニングは続きます
リピートして、あなた、もっと丁寧に
 ....
壊れた室外機に腰を掛けて
春が来るのを待ってる
いくつも季節は過ぎていくのに
春だけがまだな気がする
私は雲ではないけれど 
春が来たら食べたいものを思い浮かべ
その食べ物に
う ....
 
 
ニュージーランド、アイルランド、ポーランド、フィンランド
すべてのランドが良い所ならいいなあ
世界中の船乗りがそう思っているころ、光雄も例外ではなかった
光雄は数えで十五歳
まだ ....
午後が落ちている
歩くのに疲れて
坂道を歩く
人だと思う

エンジンの音
やまない雨の音
降り積もる
昔みたいに

曜日のない暦
夏の数日
確かに生きた
覚えたての呼吸で
 ....
 
 
水に濡れたまま
雨にうたれている
妻が傘の下からタオルをくれる
いくら拭いても
濡れタオルだけが増えていく
妻は可愛い人
こんな時でも傘には入れてくれない
濡れタオル屋でもや ....
 
 
墜落した紙飛行機が海に沈む
無人の自転車が男を追い越していく、と
男は置いてきた遺書の誤字に気づき
慌てて家族の待つ家へと帰る
妻は夜更けまで
サマーセーターを編んでいることだろ ....
 
 
海水浴場で父を洗っていると
監視員さんがやってきて
ここは海水浴をするところです、と言う
洗っている、といっても
石鹸もシャンプーも使ってないし
水を身体に濡らすところなどは
 ....
 
 
店員さんが運んできたコップの中に
凪いだ海があった
覗き込めば魚が泳いでいるのも見える
こんなにたくさんの海は飲めそうにない
先ほどの店員さんを呼ぼうとしたけれど
彼女なら里に帰 ....
バスを待っていると
昨年死んだお父さんが縄をもってやってきた
電車ごっこの相手を探していると言う
せっかくだから車掌をやることにした

もともと小さいお父さんは
死ぬ前にさらに小さくなった ....
ワカメは波平とフネの娘
サザエを姉に、カツオを兄に持つ
ワカメ、増える
増えるワカメちゃん

アニメのワカメは小学三年生の設定
以降、歳を取らない
永遠に歳をとらない
永遠に増えるワカ ....
ありふれたあなたの指先が
遅れてきた春先に触れている
今日も
曖昧な言葉で
あやふやな言葉で
愛は語られ続け
朽ち果てるのを待っている
同じものを見ていたはずなのに
あの時、あっ、 ....
近所に世界の果てが出来た
白いベンチがひとつあった
僕らはベンチに腰かけて
パストラミのサンドイッチを食べながら
突き当りで折り返して行く飛行機を眺めた
世界の果ての地面にも小さな虫はい ....
車を洗車したら戦車になった
仕方なく戦場に行った
遅刻をしてしまったようで
味方から怒られ
敵からも罵声を浴びせられた
激戦地と言われているけれど
生き残る方法は
偉い人が考えてくれ ....
人の息と
息の間で
僕は
息をした

僕の息と
人の息の間で
君は息をした

僕の息と
君の息の間に
朝はあった
毎朝
朝があった

生きていれば良いこともあるさ ....
ひだかたけしさんのたもつさんおすすめリスト(16)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
水球- たもつ自由詩424-10-21
集落- たもつ自由詩23*23-7-9
リスニング- たもつ自由詩123-4-17
春待ち- たもつ自由詩722-12-18
憧憬- たもつ自由詩420-3-26
引き出し- たもつ自由詩1120-3-10
濡れタオル屋- たもつ自由詩13*20-2-21
夏のコラージュ1- たもつ自由詩420-1-27
父洗い- たもつ自由詩620-1-19
ランチ- たもつ自由詩1520-1-5
ほくろ- たもつ自由詩819-12-3
増えろワカメ- たもつ自由詩419-11-3
春先- たもつ自由詩619-10-24
世界の果て- たもつ自由詩519-10-6
帰宅- たもつ自由詩4+19-9-25
毎朝- たもつ自由詩14+19-9-13

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