思いどおりにならない
今日一日さえ
ましては人生も
思い通りには
はこばない
待たねばならない時がある
全ての時に時がある
飯を食らうのに時があり
寝転 ....
手紙がある
うす桃いろの
手ざはりのよい 小ぶりな封筒の
崩した文字の宛て名も品が良い
封を切つて なかを開けるに忍びなく
窓際の丸テーブルに置かれてゐる
さて 何がか ....
糸を伝わる震えとぬくもり
声の往信が私達をつがいの鳩にする
時間が道路なら振り返って走ろう
白線にそって回顧の草を摘みながら
あの白い家屋に飾ってある
陽に焼けた一枚の写真を目にするため ....
青空 雲一つ浮かび
景色 燃えるように色づく
窓辺に陽光 差し込み
ひかり散らばる
初冬の空気 冷たく冷え
朝晩はコタツに頼る
時は移ろう 春夏秋冬
人は年老 ....
空白 余白 余韻
無音 ない ない ない
白 しろ
何もない
ただテーブルにみかん
ひとつ
空間 から 殻 からからと
無 無
空っぽの私に
....
小学生の僕
真夏の昼下がり
祖母の家で寝ていた
自由人の昼寝だ
窓を開けて寝ていた
網戸を閉めて寝ていた
虫に食べられないように
思い出したかのように降ってきた
雨の音を聞いていた ....
命を頂いて生きている
だから頂きます、というらしい
けれどそれはそんなにありがたく
罪深いのだろうか
鶏が産み落とした精の無い
卵をいくつも使ったケーキは
悪徳の味がするのか
命を失った ....
天高く
伸ばすてのひらヒラヒラと
透きとおる風、雪舞わす風
あなた待ち
こころがきゅんと鳴る音と
聴かせてあげたいシャランと月光
倒れ込む
キラキラ夜空の下の街
初冬の ....
自分を大切にできる妻は
他人をも大切にする
働き者で、勤勉で、怠らない
人を助け、人のために祈り
人の話をよく聞く
謙遜で、高ぶらない
私はそんな妻の姿に
キ ....
昔からパジャマを着た事がない
寝る時は冬場でも下着だけ
それでも
夜中に悪い夢に魘されて
はっと目が覚めた時は大概冷たい汗をかいている
そんな時はなぜかオシッコも満タンになっていたりして
....
ガラスケースの中には
成人を迎えた晴れ着姿の女や
子どもを抱いた夫婦、百歳を
迎えた女の満面の笑み
とぼとぼ、夜を歩けば
冷やかな風が問いかけてくる
その顔はなぜ、俯いているのかと
....
平成最後のなんとかに
みんな全ての瞬間が 人生最後の瞬間だと
忘れちゃったのかなぁ
天使だって、
死ぬんだ、って。
それは、
凍りついた川の岸辺に
天使の肉体がたどり着いていた。
なぜか、
人が、
人の心を、
疑い、
恐れる、
荒野の街の、
夕間暮れ。
....
日陰に隠れていた
雪の子が見つかり
陽の下に散らされ
きらきらきらきら、と
子どもたちや猫たちの
軽やかな足音と踊って
あの空に昇っていくよ
だれもが春めくなかで
ひそやかにひ ....
怒りが沈殿している
叫びが封印されている
呪いといえば
そうかもしれない
爆破してやる
暴走してやる
叩きつけろ
怒りを、叫びを
そして呪いを
呪 ....
浮かんでいる言葉をつかみ取り
並べたり、眺めたり、呟いたり
日常が絵になり詩になる
それが、ミミズが這っているだけでも
カラスが鳴いているだけでも
おもしろい
詩を死と言ったり
....
何がいけないのだろう
何が咎められるのだろう
信じていればいいではないか
自分を、他人を、何かを
「これでいいのだ!」
とバカボンのパパは言い放った
これでいいのではないか
....
ああ、できれば
わたしだってもっと若いころに
もっと感性ギスギスしていたころに
こんな風に
詩作とか
おこなっていればなあ
学校にだって
通学路にだって
いきつけの本屋にだって ....
呼ばれたむかし
そんなことも
なかったけれど
なぜか
悪者と
呼ばれていたわけは
わからない
わからないけれど
みられる熱い
まなじりだけは
ほおを刺すように
感じら ....
黙って手の指を見つめる
いかにも繊細すぎる指が伸びる
まるで毛細血管のよう
心も考えも何もかもが細かく
脳のシナプスのように連なる
見えない何かに怯え
聞こえない神の声もキャッチす ....
南の空に黒雲が立ち込める
殴り倒したい怒りに支配されても
沈黙し自分を責める
こころ
根底に潜む憤り
怒りが俺を蝕み
死をもたらそうとする
西の燃える空に
最期の三日月が突 ....
外は曇り空
親指の爪が伸びている
じっと見つめる
この歳になっても
相変わらずの不器用もの
若者をみて妬んだり
羨ましいと思う
雨音の予感がする
恵みの雨の予感がする
....
目を離した隙に
幼い子供は大人になってしまい
取り返しのつかない歳月は
アルバムの中に閉じられた
明日へとかかる橋の欄干に寄りかかって
遠くに見える昨日の夕陽は
泪に霞んでしまう
....
みかづきをみた。
空は真っ青なよる。
すべりこみセーフならいい、
いや別にどっちだっていい。
たるんだ自転車のハンドルをふらふらさせて、
よみち。
狸がひらいた居酒屋があるんだって、
と ....
帰り道に空になった弁当箱に納めたのは月でした
夜の道路にころりと落ちて悲しくて
これでは死んでしまうと思ったので
それにしても十月は騒がしく
息は
吐かれるのを忘れられたまま
コン ....
みたこともない
みなみのくににむかって
いっせいに とびたつ とり
ないかもしれない
あした にむかって
ゆめを 放つ
たどりつけるのかどうか
じつはわからない
ふゆのむこ ....
もしも、
ああ、もしも、ね
もしも願いが叶うなら
もしも、
ああ、
もしも許されるのなら、
今年のうちに
すべてを忘れてしまいたい
古い記憶から
あの日の寝室の記憶ま ....
僕は、
「君の背負った悲しみを僕にも分けてくれないか」
と懇願するから、
君は、
お気軽に
「いいわ」
と応えてくれないか?
君の背負った悲しみを僕にも分けてくれない ....
手も足もでない
遠さを感じ
わたしは青空を見上げて
懐かしいイワシ雲を見つけた
ずーっと
見上げつづけているだけだと
わかっていたんだけど
見も知らずの人に
歌を褒められて ....
人間
生きている間は生身
時には本能に逆らえなくなって
欲望に従順になるさ
男と女
女と男
たとえ愛し合ってなくても
一つ屋根の下に暮らしてしまう事はあるだろうよ
一つ屋根の下 ....
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