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ガス燈の灯る、
光の街は
地図にない
ヴィヨンの橋影が
夜の流れに
揺らめいている
街行く人も
名を伏せた仮面のまま、
濡れた石畳の道を
忙しく
通り過ぎた
裏通りの女も ....
犬の名前を並べる、
タロー、ルル、ブンタ、シロ
そのことを悔い、
喉元にキムチの色を塗りつけて、
俺たちは、見つめあった
北の城壁が高く聳えていた
たぶん、高さは、
喉の渇きで測った ....
政府が進めている、「ムーンショット計画」なるものがある。これは、2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現しようというものだ。ボクが説明するよりも、内閣府のサイトのア ....
想いは沈み、
夜の静けさに息が漏れる
やがて、
瞼の裏に灯りはじめた
遠い星、
砂風の吹く
異郷の、
赤い空と渓谷
蒸気を吹き上げ、
無数のプロペラで浮かぶ
機械式の文明が、
....
この星の全域が、
スラムと
清潔な街とに
分断され、
難民と
エリートに別れても
まだ君は
未来を信じるのか
正義が強制され、
否定する者が眠らされても、
まだ君は
未来を信 ....
白い牙を覗かせて、
獰猛なうねりが崩れ落ちる
老いた小舟は
海の奈落へ吸い込まれてゆく
ゴオオオーと大波は唸り、
水の壁をふたたび聳え立たせる
曇った空には、
騒ぎ啼く海鳥たちが浮か ....
やがて白銀の景色は薄桜に染まり、
雪風は砂風となってアフリカの砂漠へ移り吹く
ぐにゃりとした冷たい肌のやつは、
サハラ西岸の浅海で捕れた後、冷凍されて
TAKO と記された紙箱に詰められ海 ....
私たちが暮らしてゆくのに、
米を買うのにも窮するような毎日だったら
きっと憲法第25条は守られていない
ご飯と納豆だけの朝飯を食べ、
お昼は抜いて、
夜はカップ麺を食べて眠る
そん ....
静寂を沈めた海が、満月を映している
白い泡を浮かべた幾度目かの波が、
今夜も踊らない砂浜を濡らして、
ひとりの足跡が、塔のある岬までつづいた
打ち寄せる羽ばたく声と、
幼い飛沫が果て ....
背中で赤いやつが暴れてやがる
一生消せねえ黥の幽鬼だあ
酒と博打で女房は消えちまった
寒空に震えても、背中はいつも火達磨よ
地獄の鬼が暴れやがる、燃えやがる
のたうち回って転がったって
....
炬燵に潜った黒い詩のかたまりを蹴とばした
かたまりは、黄色く悲しい柄の炬燵布団を這い出して
畳に埋め込まれたトランジスタの蜜を指で掬った
雪と雨の雑じった空の涙を、吊し柿はただ見ている
正 ....
夜明けの海が磯際を洗っていた
スプニングリールに巻いた
ナイロンの道糸を
仕掛けの糸(ハリス)と直結するのに
結び方を選んだりはしなかった
一応、ストロングノットも知っているが、
トリ ....
白いテーブルに散らばった、
古い痛みと哀しみが
碧色のガラスの欠片とともにある
陽の当たる部屋から外を覗く
破れた写真をページに挿んで
永く閉じている本の背表紙に触れる
想い出は、夢の ....
幸福の纏わりついた夜の衣を脱ぐ
ジャージにウィンドブレーカーを羽織り、
フリースの手袋をし、小さなライトを握る
外へ出ると冷気が両頬をビンタした
星空の朝は、町中の窓がまだ眠っている
信 ....
「最近のカローラ、乗り心地良いね」
「あ、これ、メガーヌっていう車です」
出席するだけの会議のあと、家まで送ってもらい、
黄色いルノーを国産車と勘違いしてしまった
そういやあ、ヤリスとプジ ....
上手く書こうとするから
嘘ばかりを書いてしまうのだ
詩が書けないのじゃなくて、
それが本当の理由なのさ
嘘なら嘘を吐き通せば良いだろうし、
ことばを飾るのが嫌なら下手でもかまわない
ど ....
難波から紅いひのとりに乗って、
ひとり険しい顔で電光石火へと向かった
本店は広島にあるのだけど、
東京と名古屋にも店があったのだ
鉄板に載った人にやさしくは、
贅沢にも肉の量がダブルで
....
俺は 彷徨って い る
ついさっきまで
タイのスクンビットで
トゥクトゥクの屋根に乗って、
シェラトンから
中華街を目指していた
夕べは
カオマンガイを喰ったが、 ....
荒縄で首を吊るされて、
いつでも蹴とばせる踏み台に立っている
渇いた唇には砂粒がひっついて、
処刑を見るために大勢の人だかりだ
この町を仕切る保安官に
貴様が法律ではない! と怒鳴った
....
敵であり、
味方であり、
ボクの恋人であり、
油断の出来ない女だった
彼女が欲しいのは男らしさ
弱い男なんか目じゃない
心の傷を舐めてなどくれない
辛い時に、優しくもない
だけ ....
土星の衛星タイタンの海、
時空間跳躍施設のあるプンガの島々に
量子駆動によって遥々と運ばれた 卍 、
コンテナの中身はサルデーニャ島産のチーズ
生きた蛆虫の湧いた、カース・マルツゥだった
....
土砂降りの雨がおまえを濡らし、
からだが小刻みに震えているのを見た
星の巡りじゃなく、俺はここにいる
華奢でしなやかな声をキスで塞いだ
信じられるのは、息と瞬きだ
うなじや首筋 ....
白く浮かんだ綿雲が涼しげな影を作り、
緑の斑は噴煙のように大地を盛り上がらせた
いつもは動かない巨きな山たちが
突然、立ち上がって天空を掴みそうだ
現実と、非現実との見分けがつかない
遠 ....
ポエムちゃん、サヨナラ
汗ばんだからだでふたり抱きあった
昨日までの嘘は水に流して
今夜からは本は読まないで眠る
潔く、完璧な AI に譲ろう
思えば、想いはすべて映像だった
ことばは ....
愛って、皮を剥いた馬鈴薯だぜ
だから俺の故郷に愛なんかなかった
紳士録にも載ってねえ名前は
この街では沢山の愛の中のひとつだ
優しさは仕舞っておけ、
乱暴な拳もポケットに隠しておけ
奴 ....
地平線の彼方まで丸焼けだった
瓦礫と錆びたトタンで作った
家族でさえ疑って暮らすバラックで
卓袱台に載った、芋粥と悲しみ
ヤンキーに{ルビ集=たか}ってチョコをせしめた
空地で捕まえた飛 ....
夜をすぎて混ざりあった
イエローとピンク、
パステルカラーの朝が
たなびく空に滲む
満ちた潮の香りと
膨らんだワンピース
裸足になったキミは、ひとり
貝殻の残骸を数える
砂浜 ....
大きく裂けた口のある白い顔で笑い
煌びやかな衣を纏った記号が宙を行き交う
吊るされた語彙は真夜中の死体のように重く
暗い羅列が濁点だらけの股間にあった
大好きなキミの瞳を輝かせたいから、
....
土留色のナイショが蠢いている
秘めごとを沢山食べて大きくなった
巨大な海鼠にも似たナイショが床を這う
ナイショの匂いは潮風のようだった
こんなに丸々と育ってしまったら
きっといつかバレて ....
揺れる楕円がことばを塞ぐ
甘い香りと露出した果皮が目前に迫り、
獰猛な括れと若い膨らみが
荒い呼吸とともに 静寂を犯した
仮面を剥いだ匂いを指がなぞる
然も危険な場所を呼び覚ますように
....
ひだかたけしさんのatsuchan69さんおすすめリスト
(57)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
ヴィヨンの橋影
-
atsuchan69
自由詩
19*
25-8-1
犬の名前
-
atsuchan69
自由詩
22*
25-7-1
爺ちゃん、月へ行く
-
atsuchan69
散文(批評 ...
13*
25-6-16
星の儀式
-
atsuchan69
自由詩
18*
25-6-1
That's_smart_
-
atsuchan69
自由詩
17*
25-5-22
安らかな茫々
-
atsuchan69
自由詩
16*
25-5-1
桜飯
-
atsuchan69
自由詩
18*
25-4-1
憲法第25条
-
atsuchan69
自由詩
18*
25-3-27
グィネヴィアとエレイン
-
atsuchan69
自由詩
15*
25-3-1
黥
-
atsuchan69
自由詩
13+*
25-2-2
青い涙
-
atsuchan69
自由詩
15*
25-1-7
秋磯のアングラー
-
atsuchan69
自由詩
13*
24-12-25
碧の欠片
-
atsuchan69
自由詩
18*
24-12-4
冬の目覚め
-
atsuchan69
自由詩
14*
24-11-26
value
-
atsuchan69
自由詩
12*
24-11-18
魔術師
-
atsuchan69
自由詩
13+*
24-11-3
人にやさしく
-
atsuchan69
自由詩
11*
24-10-27
幽霊はワープする
-
atsuchan69
自由詩
16*
24-10-19
悪いオジサン
-
atsuchan69
自由詩
12*
24-10-12
傷だらけのダンディ
-
atsuchan69
自由詩
20*
24-10-6
タイタンの卍
-
atsuchan69
自由詩
9*
24-9-19
息と瞬き
-
atsuchan69
自由詩
10*
24-9-12
virtual
-
atsuchan69
自由詩
13*
24-9-4
素敵な嘘
-
atsuchan69
自由詩
13*
24-8-20
暗黒街の馬鈴薯
-
atsuchan69
自由詩
12*
24-8-4
私たちは食べてきた
-
atsuchan69
自由詩
13*
24-7-21
海の風
-
atsuchan69
自由詩
12*
24-7-7
曲芸
-
atsuchan69
自由詩
11+*
24-6-22
ナイショ
-
atsuchan69
自由詩
12*
24-6-16
夜の鍵音
-
atsuchan69
自由詩
9*
24-6-8
1
2
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