人間は一人立つ余地があればいきてゆけるものだ
人間は愛するものをうしないつづけてつよくなれる
だれもふりむかない路地裏の暗闇のなかに人生があったり
戦場を迎える兵士は誰に誕生日を祝ってもらえ ....
二〇二〇年十三月一日 「学園紛争」
ぼくは同志社大学の1980年度生だ。1980年度に入学したって話だけど、ぼくの大学一回生の後期の授業は、学園封鎖で潰れた。後期テストはレポート試験だった ....
その人の思い通りに
ならないからって、
私が気に病むことはない。
遠雷
今日も私を生きる
いろいろと会話したら、
他の存在のために七割位
自分のために三割位の
力などを注ご ....
盗賊ヨランと傭兵エイミノアは、
オスファハンの邸宅の前に佇んでいた。
「おい、ヨラン。オスファハンへの取次はもう済んでいるのであろうな?」
「取次ですか? そんなものが必要でしょうか?」
....
「祭祀クーラスは何よりも政治を重んじる人間です。
ですから、前言を翻せば、多くの者が彼から離反すると心得ているのです。
今、エインスベル様は、アースランテとの戦争を引き起こした、
政治犯と ....
さんがつに
ひさびさ
にほんのつちを
ふみしめた
あなたは
とてもあたたかかった
いっしょに
ふとんに
はいっていると
ゆたんぽつかおう
なんて
おもいもしない
だから
そ ....
いろんな事が
次第に
しまわれていく
いろんな事が
くすんで
薄まっていく
病むこと
悩むこと
立つこと
断ちきること
見ること
省みること
言葉を ....
「どうやらお前は、わたしの知らないことを知っているようだな」
エイミノアが静かな声でヨランに話しかける。
二人はすでに、夜の森に向かって歩き始めていた。
もちろん、野営の跡は消しておく。誰が疑心 ....
盗賊ヨランはにやりと笑う。
その笑いの意味を、エイミノアは推し量れなかった。
「くそっ、これはエインスベル様を助けるための旅ではないのか!」
「あなたにはまだ焦りが見えます。エイミノア様」
....
もしもの時も
何とかなるよ
だめな時はだめになるだけ
だけど終りが来るまでは
またね
{引用=※五行歌とは、「五行で書く」ことだけがルールの、新しい詩歌です。}
強烈な光が瞬いている間に、エイミノアは三体のグルレッケを葬った。
(敵にも焦りが出てきている。人の造りし物に怯えているのだ)
ヨランは、盗賊にしては不気味なほどに落ち着いていた。
(これが、エイ ....
エイミノアはヨランの皮肉など意に介さなかった。
続いて、第二、第三のグルレッケへと向かってゆく。
狙うのは喉元。致命傷になる部位だ。
「ヨランの攻撃と合わせて、これで半数のグルレッケは葬った」
....
今日も
色々とあった
でも
何とか今日も
おやすみできる
{引用=※五行歌とは、「五行で書く」ことだけがルールの、新しい詩歌です。}
・溜まる夜、純度の高いチバの声
・サーストン、ムーアの覗く錆びた海
・処方箋、カート・コバーンの夜は更けて
・膝小僧、覗いた先のシド・ヴィシャス
・ライダース、Oiた身体で ....
「孤鳥」
規則正しい通りの両側には、規則正しく家々が立ち並ぶ、それぞれの窓は開け放たれており、バルコニーには規則正しくbirdが並んでいる、birdは均等に朝を迎える、birdはお互いを決し ....
「ございます。しかし、魔法弾を浪費することは避けたほうが良いでしょう」
「ならば……」と、エイミノアはひときわ大きなグルレッケに向かって、剣を構える。
「お前がグルレッケの{ルビ頭=かしら}か。い ....
グルレッケたちは獰猛だった。ヨランとエイミノアを食餌にしようと、
襲い掛かってくる。ここは荒野、誰に助けを求めるべくもない。
エイミノアが一頭のグルレッケに向かって斬りかかる。
しかし、群れの長 ....
ヨランが魔法弾を投じる。空が割れて、幾条かの雷が閃いた。
そして、グルレッケ数頭に向かって放たれる。
「ギャッ」という声を上げて、それらグルレッケたちは倒れた。
エイミノアは唖然とする。
....
ヨランの落ち着き払った様子に、エイミノアは苛立った。
自分にしろ、数々の戦いを経験してきている。
それなのに、このヨランの冷静さと来たらどうだ。
まるで、怖い物を目にしても物怖じしない赤子のよう ....
「rain」
雨、という現象が
印象派の庭です
水の詩集をさらさらとめくる雨音が
萌芽の眠りを妨げて
やわらかく湾曲してゆく
午後からのカーブを描いてゆきます
「あの人は、光 ....
ごめんよみんな
ありがとうみんな
どの道私も
そっちへ行くよ
それまで生きるよ
私は
バカを通り越して
パカになって
しまった
小鬼の私が泣いている
笑って ....
「奴の自負などどうでも良い」と、エイミノアは思っていた。
「奴は、ただ逃げようとしているだけではないか?」と、
ヨランからは離れたところに寝所をしつらえながら、エイミノアは思う。
「盗賊の考えな ....
ヨランは苦笑した。彼にはエイミノアには見えていないものが、
見えていたのである。それは盗賊としての本能のようなものだった。
「わたしがどこを目指しているのか、お分かりですか?」
と、ヨランはエイ ....
二〇二〇年十二月一日 「年間SF傑作選7」
きょうから、寝るまえの読書は、『年間SF傑作選7』の再読である。これは4作ほど憶えていた。バラード、ラファティ、ボブ・ショウ、バロウズの作品だっ ....
それから
100年も過ぎたような笑顔を見せた君は
振り返らなかった
ぼくたちの間には、鉄橋が
背の高い、ぼくの背よりも
ずっと、ずっと高い所にあって
ぼくたちの距離感をもってしても
届か ....
石をつつむ
壁をつたう
伸びていく
一本の蔓は
しなやかに
陽のなかを
炎と雨と風
受け止める
一粒の豆の
一つの芽が
時の ....
季節は夏から秋へと移り変わろうとしていた。
盗賊ヨランは今、旅の途上にある。
目指しているのは、ヒスフェル聖国だった。
そして、ヨランの伴としてエイミノア・ラザンが同道している。
「もう少 ....
「なんだと? お前は虹の魔法石を盗めるというのか?」
リグナロスは気色ばんだ。それに対して、ヨランは即答する。
「可能でしょう。わたしが虹色の魔法石を盗み出しても良いのですが……」
何か訳ありの ....
どんなことにも耐えられる力があるじゃないか!
と言っていた僕の心は
一回の入院で折れました
耐えられるわけあるかいや
人には耐えられない痛みがある
あとは養生あるのみ
僕そういうの ....
逸脱した想像力でかろうじていきているのかもしれない
人生にはときどき小さな推敲が必要なのかもしれない
戦いを降りた人間はミニマムのエネルギーで生命を維持する
だから村上春樹の海辺のカ ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271