硬い砂の上に描かれた
線に
震える眼球を沿わせてまだ
溶けていない地形を探した
色褪せた花びらの表皮に
記されていた法則は
遠ざかっていく熱とともに
失われたらしい
白い木枠の内側から ....
蕎麦すすり独り咳する
塩を舐め焼酎あおる
冷えたおでんに眼を落とす
水飲むカエルと酒あおるわれ
琥珀の水に深化する刻
最近暑さが増してきて
日差しに負けそうになる日もあるけれど
大きな壁にぶつかって
めげそうになる日もあるけれど
夏が近づいて夏バテになりかけて
食べることが十分にできない日もある ....
ああ窓の外、ちょっと下のアスファルトの上
何時かの死体が落ちている
相互的なの止めようか
それじゃ結局救われない
差し出す手に価値が無いから
っぽ
の鏡像が喚いてる
....
次第に近く聞こえてくる潮音が
夏の間近にやって来た
汗ばむうなじをフェイスタオルで拭きながら
海沿いの路をトボトボ歩いて
バス停近くの
紅い暖簾の中華そば屋にたどり着いた
一息吐いて
....
山の彼方の遠くから
ほら貝と鈴の音が聞こえている
白装束に包まれ
神妙と横たわる私を
私は見た
父母の往ってしまった世界からではなく
中空の狭間に漂って
その屍を見ただけのこと
....
星座の煌めき
乳白色の宙
小波が寄せてくる
脈打つ鼓動
白い肌を染め
堕天使が誘うメロディーに
抑えきれない欲望
ふらつく足をさらわれる
堕ちて行く官能 ....
てのひらに転がる
大粒のガーネットは
何処からやって来たのだろう
静脈血のような深い色を湛え
ぼくの手のひらを転がり
グラスの縁を回り
ぽとりと
奈落に落ちた
失われた少女のように ....
琥珀の一滴が今夜を満たす
疲れ果てた肢体に染み込み
長い眠りに就いていた樹液の色が
今日一日の出来事を慰めてゆく
狂乱と協奏と競争に埋もれ
喘ぎながら走り続けたのは
何時からなのだろう ....
恋人たちは喜びをわかちあい
老人達はバックギャモンに余念がない
子供達は無垢に世界を徘徊し
大人達は株価のチャートに気を取られ
僕はといえば太陽に労いの言葉をかけて
しけた煙草に火を ....
荒れ狂う波にもまれ
心乱れ漂っている
海の底に沈み行く
酸素を吐き出し
泡と化して
沈み行く
静かな暗い海底で
心静かに眠る
黙ってただ生きる
ということができない
永久に
見つけてもらえないから
暗いさみしい器の底で
発語したがる
別なあたし
世界中でたった一人の
ひとに向かって
そのひとだけに
....
朝の光に濡れた電車には
七人掛けのシートに七人が腰を下ろし
つり革にも人の手がゆれていた
厳つい男と痩せた男の間に
若い女がはまり込み
ゆらーり ゆらりと
自分の世界で揺れ始めた
....
鮎は一年
人生80年
較べてみても変わりはない
それぞれの生を営み
生まれては
滅んでゆく
今は花咲く季節
若葉の繁る季節
人は眩しい季節を迎え
若さを取り戻し
夏を越 ....
腹話術専門学校卒業と思えないほど口動いてる
原子力空母の上に寝転んだ恋にやぶれた女がひとり
緩やかな流れに触れたいと想う
雑多なものをすべて洗い晒してしまう水のちからに
ただ流星の軌跡をおいかけて
その先の消滅を想う
ときに走りときに休みときに泣いて
やはり今がいいとおもっ ....
酔い酔いて
暗い夜道を
たどる路
忘れた家の
足どり重く
血脈に流れる記憶の底に
空想の龍とドラゴンが息づいていた
微かに忍び寄る恐れと豊穣を願う龍
恐れの象徴であるドラゴンは
同じ穴のムジナなのだ
畏敬を仰ぐか
恐れを抱くかは
それぞれの ....
其処は絹の路といわれた白骨街道
東から西へと千里を越えて
一か八かの夢を叶えるために
死を賭して人々は砂漠を越え
オアシスで葡萄と瓜で渇きを癒やし
伽羅とミルラと乳香と白檀に癒され
人々は ....
滝壺の向こう側にその世界は在った
とうとうと清らかな水が流れ
樹々には瑞々しい木の実がなり
人々は思い思いの楽器を鳴らし
踊りながら行列を成していた
ぼくはあっけにとられ
立ち尽くしている ....
私は来年の初夏の青空の下
この身体を保ち続けているだろうか
貴方と買い物をしたり 食事をしたり
笑いあったり ふざけあったり
本当は野良猫も 飼い猫も 動物はみな嫌いなのだ
アレルギー ....
夜
ビルの間を車で抜ける
慣れた街の裏通り
ちょっとエモーショナルなHOUSEを聴いて
心地よくて人生を忘れる
意識が消える瞬間はいつも素敵
うるさい自我が吹き飛んで
音 ....
通りすぎた時
触れ合った手に
金色の光が見えることがある
それが縁というもので
その光がはっきり見えるようになるのは
手が触れたずっと後の話である
縁があった人の思い出は
....
戯言に心奪われている間に
刻々と
夕景は色を変え
惜しむことなく一日の終焉を飾る
何も出来ない人の器を
笑うような神々の所作
手を見つめる人はやがて死ぬといわれるけれど
私は自分 ....
祝祭は終わった撮影が終わるように
ビジネスが始まってる街に雪が降る
もうインディアンは見失ったブランケットを捜さないだろう
トンキン湾に展開した第七艦隊は着弾しないミサイルを満載して
....
有機的な汚れを拭い去られ
白い月はやはり月なのだな
手の届かないほどよい宙空に
ふんわりきりりと存在している
ちょっとした手順の間違いを
指摘されそうなでもやさしく
流してくれそう ....
遥かな青い空の彼方に羽ばたいてしまった
ぼく…
もう其処には還れないのだと想った
鋼色の群青色に吸い込まれ
旅立ったからには
もう帰還は許されないのだと
それは私の罪
そして ....
蔦屋のなかのタリーズで
本を読む君に恋する
このあたりには哲学書や詩集を読む
女子なんぞめったにいやしない
でもちっともキャッチーではない眼鏡っこの君に惚れたのは
僕が非効率な耽美主義者 ....
死にたいような殺意
もはやもはや夏い
前髪を焦がす爆音がくせぇ
焦燥感に高揚感が鬱屈
番号少女は満員電車の中疾走する
もういいかげん愛想つきた
記念公園にチェインソウが爆笑 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257