その間、アイソニアの騎士とヨランからの連絡はなかった。
敵国(ヨランにとっては自国である)において活動する以上、
その行動には慎重を期さなくてはいけなかった。
それでも、エインスベルは彼らの活動 ....
エインスベルは、まずはオーバ・ニーチェに取り入ることから事を始めた。
戦士エイソスを、偽名をもってその組織に潜り込ませるのである。
戦士エイソスは、貴族である身分を偽って、オーバ・ニーチェに潜入し ....
戦士エイソスは、エインスベルの計略にもうすうす気付いてた。
「お前が何を考えているのか、俺には分かる。
 祭祀クーラスを抹殺するというのであろう?」と、エイソス。
「これはかつても言ったことだが ....
エインスベルは、まずイリアスの身を案じた。
彼女の身の安全を確保することは、
アイソニアの騎士を味方につけることにも通じる。
アイソニアの騎士の存在は、何よりも彼女の計略に不可欠だった。

 ....
エインスベルは世界の平和について考えていた。
しかし、自分が世界にとっての害悪である、という考えも分かる。
戦士エイソスは、祭祀クーラスは、そのことを懸念していた。
エインスベルは、あまりにも強 ....
水平線のそこから上は
鳥たちのかつて見た夢で埋め尽くされ
彼らはそこを掻き分けて進まなくてはならない
なので鳥は決して落ちることがない
夢が助けてくれるのだ
もしくはその浮力で
落ちること ....
「わたしは、イリアスが……いや、
 アイソニアの騎士が、幸福な未来を手に入れてほしいと思っている」
「わたしの妻、クシュリーは貴女に救われたが……
 アイソニアの騎士の事情は異なりましょう。彼は ....
「戦士エイソス、協力してほしいことがあるのだ」エインスベルが言った。
「貴女が腰を低くすることは珍しいことですね。
 何か、企図があるのですか?」と、エイソス。
「そうだ。祭祀クーラスを亡き者に ....
各国では、ドラゴンたちとの戦い。そして、ドラゴンを味方につけた、
{ルビ魔導士=ウィザム}たちによる、国と国同士の戦いが始まっていた。
まず、アースランテはファシブルの領土に踏み込んでいた。
ア ....
 深夜から勤務の節分は
 その年幾度目だったろう
 もう分かっていた七時過ぎの休憩
 だから持ってきていた
 サッポロ一番味噌ラーメン

 休憩室のガスコンロでぐつぐつ
 さて、からだも ....
イリアスが誘拐されから、一か月半の時が経とうとしていた。
アイソニアの騎士、そしてヨランからの連絡はない。
エインスベルは、戦士エイソスの邸宅に身を隠しながら、
それでもイリアスの行方を探索して ....
ライランテ大陸では、各地でドラゴンたちと、兵士たちの戦いが
繰り広げられてた。そんななかエインスベルはその身を隠す。
祭祀クーラスは、これを絶好の機会と捉えていた。
アースランテ、ラゴス、ファシ ....
そのころ、エインスベルは一つの直感に捉われていた。
エランドルが、自分に執着を持っているのは分かる。
しかし、その思惑はアースレジェを幸福に導くものであろうか?
エインスベルは逡巡していた。
 ....
●森川さん●過去の出来事が自分のことのように思えない●って書かれましたが●たしかに人生ってドラマティックですよね●齢をとってもいいことはたくさんありますが●じっさいにそれがわかるのもそのうちのひと ....  僕の瞳にはオレンジだけど
 君の目には何色なのか

 そよぐオレンジの群れに
 君はお尻を向けて移動中
 ちょうど僕の胸の高さに居て
 翅を広げる
 胸部と腹部の背中がはっきり
 見 ....
「ライランテは、いや、アースレジェは直(=じき)に大戦に突入するだろう。
 今回は、とくにヤーコンの動向も気にかけておかなければいけない」
聖王オアシムの予感が当たっていたか、そうでないかは、
 ....
「他国にハーレスケイドのことを悟られてはならぬ」
「はい。しかし、オーバ・ニーチェも動き出しているということです」
「クールラントの諜報機関か。もしや、我が国の人間のなかで、
 オーバ・ニーチェ ....
「ドラゴンたちは、ハーレスケイドから降臨したのです」と、オスファハン。
「やはりか。しかし、ハーレスケイドのことは、我が国においても、
 一部の人間にしか知られていない。公にはなっていないことだ」 ....
ええやんで、声ださんちゃ、言葉は星になるからね。音になって、声なるんじゃけ、鳴くみたいに本棚から詩集でもとって朗読するんじゃね。ここんとこ焦げついて苦しかったろ、煤けけ、しろけむ、はきだしんしゃい。海 ....  うずくまる白い象かな 伊吹山
   夕日背にして息吹く山肌
軍事に関しては国際交流するくせに、
犯罪に関しては国際捜査もできない。

まぁ、今に始まった恥でもないか…

曇ったそらからゆきが降る。

リストのラ・カンパネラって、
やっぱり神 ....
ライランテ大陸では、すでにあちこちで戦火の炎が立ち上っていた。
ドラゴンたちを倒す者、逆に味方につける者、
それらの者たちが集まって、戦争とも内戦ともつかない様相を、
各国は呈していたのである。 ....
「この一か月、いいえ、正確には二週間の間に分かったことですが……」
ヨランはもったいぶった口調で再び話し始めた。
「イリアス・ナディは、カラスガラの北辺にある
 バルケスの塔という場所に幽閉され ....
「とにかく私は、オーバ・ニーチェに当たりをつけてみます。
 戦争が未だに激化していない現在なら、イリアス嬢もきっと無事でしょう。
 祭祀クーラスは、依然として彼女を駒として考えていると思えます」
 ....
「星ころし」

悲しいことがあると
星を見ていた
お姉ちゃんは夜に泣く
一番小さな星を探していって
順番にころしていた
悲しいことが多すぎて
埋葬された星の数は
あと一つで百になる
 ....
自分のおさないころ、
「おまんじゅう」のつつみと言えば、
「経木」であったのです。

それはいえいえ、「かしわ」だって、
「さしみ」だってなんだって、
つつんでいたのです。

あの ....
「それが、エランドルに利益をもたらすとは思えないが……」
「エランドルの思いには、隠された一つの秘密があります。
 エランドルは、ククリスというかつての恋人の復活を望んでいるのです。
 そのため ....
「おい、ヨラン。イリアスが誘拐されてから一か月の時が
 経とうとしているのに、なぜ未だその所在がつかめないのか?」
「クールラントでは、今オーバ・ニーチェという秘密組織が、
 幅を利かせています ....
イリアス・ナディは、バルケスの塔という廃屋に幽閉されていた。
この一か月間、祭祀クーラスはイリアスの存在を隠し続けていた。
しかし、アイソニアの騎士は容易にその姿を現さない。
「アイソニアの騎士 ....
液晶のなか目覚めたように
数字が淡く点滅する 淡くて少し掠れていて
なぞる 指がつめたい

わたしはまたほどけようとする
全部がいちぶ いちぶは全部のごとく移ろい
そうか海は個と全の明 ....
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