願いが叶わなかった日
遠く、命の向こう側から聞こえてくるのは
ニイニイゼミの声
毛穴から染み入り、毛細をとおって
脳内に聞こえてくる

頭上を爆撃機がかすめて飛んでいた
なのに街は箱庭の ....
 会社の大会議場のお客様控室に
 ちょっとアンティークなドレッサーがある
 清掃に入ると鏡を拭くついでに
 ヘアスタイルを確認したりしてしまう

 くもりない三面鏡が私を映す

 一面に ....
草を刈る朝餉の前の小半時

草刈や鋏の音に背ナ押され

汗かきて残り湯に入る心地良さ
灰青色のかなしみが
時計の針にまつわるので
空気が気怠さを増してゆく部屋で

六月の似合うそのひとを
あなた という二人称に委ねないために
窓外に滲むあじさいを
しずかにただ眺めていた
 ....
夏の昼間の空は
澄んでいて
空っぽの
わたしの頭のようだと思う

どこまでも青くて
遠く冷たい宇宙と
頼りない月に
手を伸ばしている

呼吸も
愛情も
欲望も
暑くて仕方ない ....
電気ポットの内側に、「ここまで」という表記があり、いつもそのずっと手前までしか水を入れられない。なぜきちんと水を満たさないのか、と言いながら、夫がコップから水を注ぎ、ぴたりと「ここまで」に合わせて .... 渋柿の文月俳誌雨読の日

災難は一秒の差や夏豪雨

果樹の葉の宙に揺るるや蜘蛛の糸
目の前に一本の道が現われた。

この道を行けば、海に出る。

ほら、かすかに波の音が聞こえる。

見えてきた。

海だ。

だれもいない。

天使の耳が落ちていた。

 ....
 小鬼らの足あとに少女もはだしを載せましたら
 堪えきれない心が蒼へと染まり
 瞳に映らなくなりました

 そこから見えますか
 少女の唇が呼ぶ雨と
 少年の肩を締めつける光
 そして間 ....
縁者の少い
私の身内
いとこ半の
恭ちゃん

母方は
敬ちゃんだけよと
恭ちゃんは
いつも言う

去年の春に
恭ちゃんの夫は
長い患いで死んだ

二人が家に来たのは
遠い ....
暴れ梅雨青き花弁に雫置く

意味知りて身の養生す夏土用
一発の打つ手命中藪蚊かな

木の下をゆく度{ルビ転=まろ}ぶ李喰ふ
しとしとしとと
あめが降る

夜毎の夢に
出で来るは

見知らぬ人の
顔ばかり

夕べ見た夢
あの家が

少し気になる
朝でした

虫の知らせと
言いますが

霊の ....
 暗闇の中には沢山の物語がある


  パリの老いた靴作りが
  ハンチングを傾けてかぶっているのは
  むかし街の女に
  とても粋だわ と口笛を吹かれたからという話

  それでそ ....
急ぎ足{ルビ片蔭=かたかげ}{ルビ選=え}りてポストまで

梅雨明けや気怠き昼の無為の刻
一人でふたり分の荷物を整理する

なんて過酷で残酷な(笑)

やり始めるとやっぱり記憶に飲み込まれそうで

それでも時々、楽しくて


壁のシールを剥がせば そこだけ白くて

こ ....
蚊の群に写真撮る間の気の焦り

物売りの電話のベルや昼寝中
 カメラを構え
 しんと静まる
 あの感じ

 シャッターが切れる直前の
 無限に近い感じ

 出来上がる
 誰にも見せられない
 風景にしてしまった
 取り返しのつかない
 圧 ....
 給料日 仕事上がりに立ち寄るATM
 その銀行の隣に花屋がある
 軒先、白い看板には飾り文字で「花音」

 店内は細長いスペースで奥行きあり
 入り口に色とりどりの花の苗が陳列していた
 ....
朝の歌を、小鳥の声にまぎれて。わたしはコーヒーを飲む。ねむれない。

カルフォルニア・ミソサザイが鳴いている。わたしの全て否定しているのだ。

カラスがゴミ集積所を漁っている。猫も。敵同士なの ....
きらきらひかる
わたしの遊園地は
暗闇のなか
世界を彩っていた

頭のなかの
わたしの遊園地で
ぬくもりのなか
空を飛んでいた

貴方に出会った
あの日

翼が堕ちたわたしの ....
エインスベルは、オーバ・ニーチェに潜入した戦士エイソスや、
独自行動を取るアイソニアの騎士や盗賊ヨランに関しても懐疑的だった。
もしも己の利益を取るのであれば、あるいは無私の精神で行動するのであれ ....
その夜、ヤーコンのエイエントスが、ラゴスに宣戦布告した。
ヤーコンから、ライランテ大陸の西端にあるラゴスまでは、
早馬を使っても十日の距離がある。
エイエントスの王であるコイノス・ヤー・ガレンは ....
一方、そのころエインスベルも迷いのなかに包まれていた。
イリアスの所在は分からない……エイソスの報告では、
フランキスがイリアスを連れてどこかへと赴いたということだった。
アイソニアの騎士はその ....
 手をコピーする。左手をコピーして、右手を
コピーする。腕をコピーする。左腕をコピーし
て、右腕をコピーする。顔をコピーする。光を
見ないように、目をつむってコピーする。肩と
胸をコピーす ....
躓かぬように
丁寧に均した心に地平線はあるか

太陽はそこに沈みゆくのか
月はそこから昇るのか

それでお前は納得がいくのか
安らかに眠れるのか
みてみて あの二の腕、ボンレスハムみたい

黒レースのアームカバーの上に お肉が乗ってるわ

しかもあの表情はなに? 彼氏のイケ・メンタロウ君に向かって、仏頂面

きぃぃ なんなのよ なん ....
若い日は
友とゐること
愉しくて

言葉を選ぶ
こともなく

心をつなぐ
日々でした

ひねた大人は
難しい

かしましいひと
耳障り

マイナス思考も
お断り

 ....
新調の薄刃でカット瓜サラダ

鋏持つ手に群れ来たる藪蚊かな

実の重く曲りしままのとまと熟る

子のメール一喜一憂俄雨
舌鼓打ちつ鰻丼五つ口

昼寝覚寝起きの電話{ルビ喧=かまびす}し
ひだかたけしさんのおすすめリスト(7722)
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あやかし- soft_machine自由詩4*23-7-2
恭子ちゃん- けいこ自由詩9*23-7-2
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- けいこ俳句2*23-6-30
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エインスベルの迷い(二)- 朧月夜自由詩1*23-6-26
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地平線- 印あかり自由詩4+*23-6-25
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若い日は- けいこ自由詩8*23-6-25
今朝の状況句- けいこ俳句3*23-6-25
寛ぐ日には- けいこ俳句1*23-6-24

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