月の灯り陽の光り
誰もいない銀の馬車
不幸など誰が予測できるだろう
誰も予測できないから不幸ではないのか
あの人たちも
傍らで見覚えのない家族が啜り泣いている
....
「また銀河ポットを買う」
町外れの
ディスカウントショップで
銀河ポットを買った
星や生命で
また遊んだみたくなったのだ
少し萎れてたので
肥料をやって水もくれた
新しい生命が芽吹 ....
二〇一四年八月一日 「蜜の流れる青年たち」
屋敷のなかを蜜の流れる青年たちが立っていて、ぼくが通ると笑いかけてくる。頭のうえから蜜がしたたっていて、手に持ったガラスの器に蜜がたまっていて、ぼく ....
空に、
光るもの。
心がわなわなする。
詩がキラキラしている。まるで星砂のよう。
河原で拾った石は持ち帰ったらおにぎりだった。段々露骨にオゾンの匂いになっていく。
とても慎重に生きていてしま ....
ふたりだけの世界があったなら
そんな世界があったなら
なにもかも
すててもいい
いのちさえも
すててもいい
ただならぬ
お言葉に
ふれたとき
そんな
お覚悟 ....
20アールほどある畑に散らばった
枯草やら枯れ木やらを一輪車で集めて焚いた
すごい勢いで燃え上がり気付くと眉毛が焦げていた
全身の水分がみんな抜けてしまい
時々期外収縮をおぼえすごくくたびれた ....
柿の木には柿の実がなる
栗の木には栗の実が
畑には麦や蕎麦が
田んぼには稲が米を実らした
貧困を絵にしたような暮らしの家は
藁葺きの古くて粗末な佇まい
それでも庭はそれなりにあった
....
冬の{ルビ夕=}小窓を占める巨{ルビ仙人掌=さぼてん}
くれなゐに芯のゆらめく冬日かな
日記買う届けるこころ計る為
日向ぼこ猫のつもりで小半日
冬眠を宿して疎ら山の樹々
彼の人がああ言えば
彼の人もこう言う
輪廻転生
無限の水掛け
既の所で一服すれば
微々たる事よと
御主が情どぅ頼まりる
茜差す
一之宮
茜差す
向こう岸
明日へ明 ....
しめったそで口で
動かないまま
秋は静かにながれていった
黄色な落ち葉が
くるんと円弧を描き
たのしく自分を捨てたのがみえた
水にひたされた情念は
真鴨のかき足に
優しくほだされていた ....
過去をつくる
慣れてしまえば
私の額から
表象を消せばいい
プラグは抜かれては
いなかった
電子は送られて
なにかにいらだっている
亡霊となれない
機械たちに
羨望している
....
夜がすぐそこにきたから
寝床に入り眠ってしまう迄の間
肉の欲望と葛藤するのさ
まだ若かったから
すぐに負けたよ
酒は飲まない
煙草なんてもってのほかだ
賭け事なんか手を出したら
身 ....
ドアは開いたままにしておいた
大型の遺体処理装置が台車に引かれ入りやすくするために
小さな窓からレース越しに薄く幅を調整したLEDの光が差し込んでいた
朝だ!ピクセル形式に時間は感覚に標す。 ....
星一つ有れば無月に山の影
一輪の菊のうなじに蝶の風
薄闇にそっと放って小春虫
石一つ置いて流星待つこ宵
クレヨンに水色無くて{ルビ泪=なみだ}色
さっぱりとした塩味の森の ....
月が死ぬ
日暮れから宵に沈む僅かな間
やがて消えていく
虫たちの声を聴いて
夜で夜を愛し
黒で黒を染めて
綺麗な歯を晒した後の
肌を覆う闇に浸る
冷たく ....
遠くで
どこかで
風が吹いている
耳たぶをさわりながら
少し冷静でいよう
三つ葉のクローバーを
親指と人差し指のあいだで
やさしくしよう
生きている
だけで
何かをよご ....
眠る種の声を聴いて、いたかった。
時を重ねるごとに汚さばかりに目がいってしまっては、生きていけない。
美しさは奥底から、逆算もされない世界で始まる。
鼓動の音、芽吹く瞬間に、溶けてい ....
バビロンまでは何マイル
ろうそくを灯して
行って帰ってこられるという
バビロンまでは何マイル
だがろうそくじゃない
禁断の火を灯せば
バビロンまでは瞬く間
行って帰ってこられ ....
ぼくの名前は
姓は閑で名は散
フルネームで閑・散といいます
よろしくね
ぼくには悪友が二人いて
名前は
姓は感で名は染
フルネームで感・染と
もう一人
姓はコで名はロナ
フ ....
{引用=脳に落ちました
今に
至ります
そういう蛙は
手のひらの吸着力は
詩魂で濡らす
井戸の縦長は
哲理の電解質です
雷が直下型に
地球のコアへ落すれば
炭化した蛙 ....
駅
早朝
辺りはまだ暗い
耳たぶが凍りついてしまうくらい寒い
ホームで電車を待っていた
十九歳
半年振りに帰郷する
一人だった
彼は落ち着かない
気分が高揚している
昨 ....
民間製ロケットが無事、
宇宙ステーションにドッキングできたらしい。
ついてみたら定員がひとりオーバーしていたらしい。
地上はコロナ渦で目まぐるしく回っている。
宇宙飛行士たちは大丈夫だろう ....
真っ直ぐなんて歩けやしない
平らなところで つまずいて
ぬかるみで ぐっちゃりなんて いつものことだし
おいしくない水だって 飲んでしまうし
....
二〇一四年七月一日 「マクドナルド」
けさ、近所の西大路五条のマクドナルドのカウンター席で、かわいいなと思った男の子に、ぼくの名前と携帯の電話番号を書いた紙を手渡したら、大きく目を見開かれてし ....
さてもさても
今宵も意味のないものを書いたか
と自問してみると
どこかから
そんなことはないよ
と聞こえてくる
耳鳴りだろうか
そうかそうか
捨て置け捨て置け
思いながらも
....
その奥に
何をしのばせている
そこにいて
どこにいて
なにをして
どんなかんがえ
ぼくが笑えば
きみはどうする
君も笑うか
かなしいね
そして君は君 ....
日向の中を歩いていても人は多かれ少なかれ誰でも闇をかかえている
んだと思います
表面と内面の食い違いから起こり得る軋轢に人は苦しみ悩むに違いないでしょう
普段から親切でやさしい人
でも ....
嗚呼これはあの日々の事だ
あの寒かった秋の海での出来事だ
曙光がその大理石の青白い肌を照らして
それは水の音 羽音 荘厳が立ち現れる気配
一切の神々は沈黙を遠のけておらず
....
何千回、何万回
「死にたい、死にたい」
と私はずっと想い続けた
初めて母に「死にたい」と言った小二の春
「じゃあ、一緒に死のうか」
あまりに簡単な返答だった
人の命は鳥の羽よりも軽いの ....
「飛行士の帰還」
一輪のマーガレットを買い
空を睨む
ぐわぁーんと
敗戦
神話を書き付ける
円形に
鼠蹊に
時間機械に
リラックス・タイム
おんざ
ブラッドベリ
さよなら
....
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