いままでどれだけ花が散るのを観てきただろう
いままでどれだけ雲の移ろいを観てきただろう
ぼくはいまだ彷徨い 戸惑い {ルビ躓=つまづ}きながら歩いているよ
いまはどんな辛い事も嬉しい事も楽し ....
オレは世の中の99.9999%以上の事象を知らない
バカで バカで どうしようもないバカなのだ
酒を飲んではくだを巻き
夜の闇に溶けるだけ
たったそれだけの存在を
月だけが優しく頬笑んで ....
*1つのティーカップ1
整理するとこういうことになる。
まず、彼女は交通事故にあった(それは君の元ルームメイトから後で聞いた)。そして、幸いに怪我は軽症で済んだのだが、君は ....
(だれが呼んでも
(きこえないよ
(きみが、いちばん!
羽根のない子どもは月に擬態する
集団下校の輪の中に居たはずなのに
だれも名まえを思い出せない
古い友だちの口笛は
(風が散ったから ....
お骨はゆうパックで送れるんだって
へぇ
そんなわけで叔父の骨を預かって
春と夏が過ぎた からんと
最近は近所に犬を見なくなった
骨を差し上げるあてもなし
わたしが咥えてしまおうかしら
叔 ....
ふたりで拾った
透明で硬く紅い卵
ぼくが生き物係になって
手のひらで暖め孵化を待っている
何が生まれるのかわからない
虫眼鏡で眼を凝らしてみると
真ん中がトクトクと脈動している
....
きみが望むなら
この両手をあげよう
きみが望むなら
この心臓をあげよう
ぼくは風となって遠い旅をして来たから
もういいんだよ
いま欲しいのは
きみの頬笑みをひとつだけ
....
君のこと 好きに決まってるだろ
もちろん君の旦那も 君以上に好きだ
ゴメン ボクたちには
君に話せない 秘密があるんだ
察してくれ あまり深く訊かないでほしい
ボクたち 誰か ....
夜に潜む影
永遠の哀しみに藻搔く者
{ルビ紅=くれない}の、生し刹那を求めて
彷徨う我は ひとり
青白い肌に朱の唇
尖った牙と真珠色の爪
その姿は、美しくも恐ろし
夜の帳に包まれ ....
言葉をつづりたくなる
眠る時間は決まってない
なのに
真夜中は押し寄せて来る
ひとを求めている
スマートフォンの中に
誰かいないかさがしてる
話をきいて欲しいわけじゃない
この時 ....
いくつもの出会いを
得て
知った
大切な喜びに
私はつくられている
*レモネード1
初対面の君とあんなにも長く話し込んでしまったことが、僕にとっては意外だった。でも、案外芸術家というのは皆そういうものなのかもしれない。自分以外は皆お客さん、そういう ....
風が強く テントを打った
毀たれるような寒さの中で
ストーブにあたった
5つの頃 寂れた駅の入口で
飴色の夕日の中で
吹きすさんだ風と
おんなじ音が聞こえてきた
目を閉じると
あの ....
小学校の正門前
通学路を跨いで並び建つ民家の
玄関先に置かれる
バラの鉢植え
通勤途中に
つぼみが、
いつまで経っても
開かないわ と思っていたら
その日
薄 ....
仰ぎみれば
すっぽりと
闇のなか
煌々と
ただ
夢をみる
ほつとけーきを焼いている
───ホットケーキ ですか?
───はい、ほつとけーっ!
夢 ....
見間違えるほど
美しくなってゆく君は
夢の中で何をみているだろう
夜毎ぼくは眠れなくて
ウイスキーを舐めている
庭園に落ちると感じた刹那
ぽとりとひとつ紅い花
西の空を見上げては ....
お前のことを聞いたのは
つい最近のことだった
婚約者を残して逝ってしまった と
お前はビールが大好きで
出張先のホテルで溺れたと聞いた
お前は技術屋でオレは営業屋だった
オレたちは ....
丁度いい気温にならず蒸し暑い湿気しつこく纏わりついた
今見えた梅雨の入口湿気感髪が乱れる直しても直ぐ
町歩き庭が綺麗な家発見和風洋風上手く融合
最新の絵本を子等に読み聞かせ想像力に限 ....
回旋塔の葬列を
ひとり
見送る
詩人は今日も
生まれる
・
遠雷は
歌
私を
弔う
永遠
・
さようならの後は
何かの
始まりの時
約束を
思い出す
夜の{ルビ静寂=しじま}に独り遊びは慣れている
悲しみと 愛しさの狭間でウイスキーをあおり
君を待つ秒針だけが過ぎてゆく
期待と不安がよぎる交差点
ヘッドライトだけが過ぎていく
ぼく ....
ぼくが帰るとき
いつも停留所ひとつ抜かして
送ってくれたね。
バスがくるまで
ずっとベンチに腰かけて
ぼくたち、ふたりでいたね。
ぼくの手のなかの
きみの手のぬくもりを
いまでも
ぼ ....
このせまい場所をそっと歩いて下さい
豊饒な広い土地も
このエメラルドの光が囲む
この胸ほど広くはない
――エミリー・ディキンスン
....
何故… 何故…
君は其処にいるの?
遠くて
遠くて
いまはまだ届かない
水上飛行機のプロペラを回していけば
すぐなのに
いまは鍵を持っていない
予感が{ルビ奔=はし}る ....
鯛 花は桜いろ
サワラ 甘やかなピアノのメロディーは
赤貝 血潮の香りが胸を刺す
はた 深く広がるハーモニー
つぶ貝 彼方を眺め噛みしめる
え ....
その日、二ヶ月に渡る療養の挙句に会社に見捨てられた私は、まっすぐ家に帰る気にもならず、電車にも乗らずに当てもなくぶらぶらと歩いていた。田舎の高校を卒業して六年間、特別な野心も意欲も無いまま働き続けた仕 ....
四国に続く山脈に
雪が積り
社の石段に降る雨に
心を洗った後
醜く見える貴方の顔
その薄い唇に
私の唇触れた事が嫌悪を誘ったとしても
私の責任ではない
何 ....
わ~い
自動ドアだぁ
裏で奴隷が
歯車を回す
人力で
わ~い
デジタルだぁ
裏で社畜が
データを入力
手作業で
この街がネオンで彩られるころ
あの街の空には爆弾が降り
....
バリバリと
マヨをかけては
レタス食う
ドライブする
現時点で何も決めてない
直感に任せてみる
行かないような場所だったり
綺麗な絶景に出逢えたり
色々決めるのもいいけれど
直感に任せてみるのも
楽しいと思う
気 ....
7.コーダ
その数日後、葉子は数カ月ぶりに弟に連絡を取った。あの日起こった出来事については、自分の幻覚か幻想か分からなかったので、話さなかった。ただ、自分の気持ちだけを素直に話すこ ....
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