仮面を被った少女は薔薇を抱き
読みかけの小説が傍に散らばっている
空想の中で眠るように生きている
夢見心地のままで目覚めるな
灰色の空が待っているから
夢見心地のままでいるなら
薔 ....
愛が罪を引きずってくる
静けさの中
封印されたはずの
運命がこぼれだした
唇に人差し指当てて
日常を脱ぎ捨てた二人は
裸で眠った
日が昇らないよう祈りながら
欲しかったのは
シャ ....
二人の傷跡見えないように
明かりを消して
唇と唇が触れたとき
月明かりを閉じ込めた涙が光る
残酷な言葉に斬りつけられて
無数の傷が口を開いた
流れ出した血の匂い
身動きできず膝を抱え ....
闇の中宵待草の灯がともる
風薫る自慢話を聴く余裕
隣家よりハタとふ魚の御礼あり
わたしがあたしを見つめたとき
あたしの心が安らいでいく
あたしがわたしに微笑んだとき
あたしの未来が見えてくる
新しいところに行くために
今までのものを背負っていく
誰もが未来の山を登る
....
■同じ少女■同じ男の子■同じ世界■同じ場所■同じ小路■同じ国■同じ地方■同じもの■同じ言葉■同じ見方■同じ人間■同じ問題■同じ階段■同じ手段■同じ方向■同じドア■同じ形■同じ理由■同じ意味■同じ場所■ ....
近くの公園で
詩集を読んでいると
小さい虫がページのうえに
で
無造作に手ではらったら
簡単につぶれて
ページにしみがついてしまって
で
すぐに部屋に戻って
消しゴ ....
あさ、仕事に行くために駅に向かう途中、
目の隅で、何か動くものがあった。
歩く速さを落として目をやると、
結ばれていたはずの結び目が、
廃棄された専用ゴミ袋の結び目が
ほどけていくところ ....
左と右と言っても
建前と本音と言っても
開国と攘夷と言ってもいいが
話を進めよう
分裂してるぅ~
明治維新で開国を選び
大正デモクラシー
いい時代があり
しかし対外屈従、攘夷に ....
晩御飯を作っている君の背中が
何かを僕に言おうとしていた
静かなキッチンの端に君の残像
発しなかった言葉はシンクに流れてしまった
いつからか二人の未来が見えなくなった
影が忍び寄るのを
....
糠雨や草も混じりてあやめ咲く
優劣の付かぬ五月の花{ルビ美=うま}し
赤き実の風に擦れ合ふさくらんぼ
古い骨の破片を取り出し
命を再生できる世界
もう一度生かされ
3025年に生まれたなら
何を見る
何を選ぶ
同じ過ちは
冒さないか
結局孤独に
彷徨うだけか
バイオの技術も ....
どうしようもなかった
そう言われたらそうだ
それでも見殺しだろう
どのように死んだのか
膨らむ想像が胸に重く
良心が掻きむしられる
後ろめたさも心を乱す
忘れていたことも確か
それでも ....
細い月は
つややかにしろくひかる
両端はするどく研がれて
夜を切り裂く
しずかに
きれぎれてふってくる
夜の
はぎれ
地上の犬たちは
それらを
おもいおもいに選んで
てんでに ....
人間のやることは
間違いだらけ
仕方ないけど
落ち度のあるプログラム
もう何回目
ブルーライトが
瞳を蝕んでいく
影響範囲が広がっても
エラーの原因見つけられない
時間と疲労の蓄積
....
白い牙を覗かせて、
獰猛なうねりが崩れ落ちる
老いた小舟は
海の奈落へ吸い込まれてゆく
ゴオオオーと大波は唸り、
水の壁をふたたび聳え立たせる
曇った空には、
騒ぎ啼く海鳥たちが浮か ....
握手をしたら
相手は刃物だった
血が流れても
誰も咎めやしない
悔しさだけが
胸に錆びつき
刃が冷んやりと
血の温度を下げていく
それでも信じたい
人のあたたかな掌
滲む血 ....
俺たちの時代を連呼する
前世代のゾンビと対峙して
赤ずきんは立ち尽くす
赤いケープ翻し
腐敗した風を避け
御伽話からリアリストへ
子供のお使いからは卒業
虚構の世界に鞭を振るい
....
雨上がり山の若葉のグラデーション
夕闇やみかんの花の香に寄する
わたしはサイくんのおしり
おしりにできたぶつぶつのおできです。
でもサイくんは、どんなにかゆくっても
てでかくことはできません。
(だって、てがとってもみじかいんだもーん)
あしでか ....
仕事の夢を見て悪夢だと思う
だから現実も悪夢の中を生きている
崖っぷちギリギリに
目隠しされて立たされている
手探りで伸ばす指に触れるのは
錆びた鉄のマニュアル
黒塗りで
行 ....
人棲まぬ庭の切株{ルビ躑躅=つつじ}咲く
花の名を問ふてしらんと遊びけり
孫可愛い母の日あるを忘れをり
森の奥
木の葉が私の羽に絡まる
苔の鼓動
微かな羽ずれの音
迫る夜に小さく鳴く
風が木の葉を揺らす
川が流すinstrumental
夜の裾に隠れた光に導かれて
羽を広げてゆく
私が ....
ああ、神様、
私は煮詰まっています。
午後の週末です。
それは非常に活発な議論です。
あなたのひげに会えて良かったわ。
長い間、会議に来なかったわね。
主人は自分の携帯電話で滑って眠りに落 ....
夜がガラスのように
砕けた朝に
散らばる夢の欠片
止まらない時計の針は
呪われたように
勢いよく回り出す
乗らない気分が
脈を締めつける
手足に冷たい鉄の鎖
苦しさのため息
無理や ....
夜明けを求めて扉を叩く
刹那の現在
次から次へと
巡る一秒先の見えない軌道
乗せられただけの僕
星が流れる
尾を掴む
その手に自由が宿る
目覚めて夢の余韻が残る
空っぽの掌にため ....
僕の黒が夜を染めていく
君の白が朝を照らしてく
別々の景色 触れた指先
壊れるその瞬間に僕ら交わる
バラバラになる音が響く
君と僕の色が混ざり合う
始まりと終わりが溶ける場所で
新し ....
あなたと私の立ち位置に
汚れのない小川がある
近くでもなく
遠くでもなく
長い付き合いだねと
あなたは言った
私もそう思っているけれど
あなたはいつも私の中にいた
大勢のファン ....
{ルビ夫=つま}の忌や庭は若葉の森となる
子は餃子作り置きして帰りけり
野良猫も居心地の良き木陰かな
隠された事柄は
ある日ひょんなことから
氷山の一角として人目に晒される
ぼくは目撃者となった
それを黙殺すれば
棺桶まで持っていくことになるかもしれない
一時の面倒臭さを優先したら
一生 ....
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