白い景色の中で回るメリーゴーランドに人はいない。
何かの気配を感じる朝はいつもより濃い目の珈琲を飲む。
人工的な村は閑散として涼しげだ。
そして私は今日もまた何かに迫られて過ごすのだ ....
1
張りつけられた心は
鉄を含んでもいないのに
錆びるさびるサビル
錆びて凍てついた心は
剥がれる
剥がれる
根こそぎ剥がれてしまう
はがされた裏に何があるのかのぞいてみた ....
ぼくがきみのためにしたことと
きみがぼくにしてくれたこと
まよなかのこうえんでむかいあって
たばこをすいながら たしざんひきざん
マイナスばっかりだ…
おもわずたばこをなげすてて
にが ....
自由に首をつられた貴女の
瞳の中でパーティーを
このリズムなら踊れるでしょう
手を取り合ってフロアの中心へ
ゆらゆら揺れる手足には
綺麗な宝石を飾りましょう
ネックレスをしていた場所には
....
よるのくらがりのなか ぼくのてが
どこまでもなだらかなカーブにふれる
きみのかたちをしたなにかが
ぼくにかたりかけてくる
わたしはおんなであることをこえて
わたしはわたしであることをこえ ....
検収金額を改竄して不正経理処理
極秘図面は取り決めた場所以外の所に置きっぱなしだ
もちろんお客様キーマンから嫌われ
仕入先様からもまったく人気がなく
出張報告書は督促を経理から ....
ぬっとり湿った夜の膜を
そっとふたつの指で広げれば
胸を裂くような光のしたを
あたたかさ、なさけなさの影が歩いていた
カーブミラーの歪みのなかの
少しだけ正しい領域を
裸足で歩くわたし ....
蝸牛の中身が暴露される
申し分のない肉体
ピンク色の肌身はうねりをもっている
海みたいなうねり
ずっと昔みんな海だった
その証拠に水分は我々と敵対しない
どんな乱射にも耐えうる水分
水を ....
退職の翌日は、僕が司会の朗読会
――三十年前の今日、事故にあいました
高次脳機能い障がいの詩友は新妻の弾く
ピアノを背に吠える ぱんくすぴりっつ!
ある日ふとおかあさんとおとうさんに
問わずにはいられなかった
「戦争ってそんなに悪いことなの?」
「当たり前のことも分からないなんて、そんな教育をした覚えはありません!」
「僕たちが平和の ....
いったいどこに行ったんだろうか?
消えてしまったんだろうか?
閉じ込めているうちに
吐き出しているうちに
質量保存の法則というやつは
こういうことにも適用されるのか?
....
コトコトと煮物を煮る
人生にはそんな要素が必要な気もする
アンテナを高く張ってトレンディなことも必要なのかもしれない
誰もいっぺんには多くのことはできないから
天才でもないので特に高み ....
やさしく繊細に
絹の肌に触れるよう
口づけるよう
ひとふで ひと筆
なぞる
空から大地に
筆を這わせ
力まず
上手すぎず
理想の色に染める
究極の美を求め
独自の感性 ....
冷蔵庫をいつもの如く勝手に開け
これおいしー?とコンソメキューブを持って聞く
これはそのまま食べられないよと言っても
好奇心の悪質は止まるはずがない
ダメダメダメダメ!
カンシャク
....
クイーンが封入されていた
封書が届くと
鐘が鳴るたびに
ゴミが散らばった
夕暮れに同意を求められて
孤独の鴉が間を感じる
根っこのような夕陽だ
カラスの目がねっとりとカーブを描く
太い ....
あたしかみさまっているっておもった
あたしいまかみさまをかんじた
だから、
もう一度だけ、
神さまという名のぬくもりを
思い出して
縋ってみようじゃないか
もう一度
....
夕暮れが濃い青であることに同意してくれた
ふすまの模様がウサギみたいだと言ってくれた
天袋のホコリを捨ててくれた
鎖骨から心音を聴かせてくれた
それでも
ずっと前を歩いてた
先にフッと居な ....
石楠花を右に折れ
道なりに進むと
大きな手で盛ったように花の咲く庭がある
かつて愛した日々が
遠くなるごとに輝きを増して
いまではもうかたちを捉えることもできない
それから ....
夕空がずっとあのままになってる
写真みたいだね
つりさげられて展示物のふり
僕は脹らんで大きくなってる
とめどなくすりつぶされているというのに
このことには驚いているよ
僕は僕になるんだね ....
皐月
初夏の日差しに
こころ躍る
目に染みる景色は
老人の心に
夢を与える
水無月
蛍火が
躰を湿らせ
夏のあこがれに
星をさがす空
年甲斐もなく
希望の二文字しかない
夏は ....
そんたく、かあ
雰囲気づくり
出たとこ勝負
なるようになるさ
神様は人間、だ
ホースで花や葉をかきわけ
土に水をさしていく
庭のお花に水をやる
ちい ....
咲いた翌日から続く
低温と
強風にも耐え
寄り添って直立を支えあう
ある日訪れる真夏の陽気に
結束は緩み
感熱性の花びらは
ひた隠してきた
雌しべ雄しべの位置をも露に
くろぐろと ....
河川敷の高架橋の下に
近隣住人達と一緒に逃げてきた
誰一人として取り乱したりせず
それは落ち着いた様子だった
空の高い位置で爆弾が爆発する
肉眼ではっきりと確認できた
誰一人として逃げ ....
曖昧に照り輝き
君は照準をなくす
人から言われた言葉で踊り
どこかしこに突入する
子供の頃は
そそのかされて褒められ
大人になってからは
どこまでも自由だ
....
ところどころ染みがあったり
生活のほつれを永遠に修復の終わらない遺跡のように身体に
こびりつけたまま時に非日常の夢を見る
晴れときどき詩人みたいな気がする日には
あえて蛙の被り物を棄てて芋 ....
こころ揺らぎ
怒りが溢れ出す
沸々と煮えたぎる様に
細胞を破壊して
ストレスとトラウマを与えては
傷つける
この憤りの数々
計算できない
様々な出来事に
揺さぶられ
戸惑い
制御 ....
うすい影がゆれている
くちばしで
虫をついばむのだけど
やわらかな影であるから
獲物はするりと逃げてしまう
{引用=命でなくなったものは
もう命には触れることができない}
それでも ....
海を見ていた。
港を行き交う人々の足音を聞いていた。
岸壁に寄せる波の音に海鳥たちの鳴き声がかき消されてゆく。
視覚よりも聴覚が敏感なそんな午後だった。
海の色は藍色。
....
ふわりと
つかまえて
この夜の帳を
やさしく
ソフトに
そっと そっと
くちびるかわし
だきしめて
ふたりの夜を
うるおって
ひとつになって
魚になって
闇をおよぐ
どこまで ....
その代わりに、
骨と対峙すると
頭蓋骨が白くなる
白は
雪の色、
鳩の色
体の中で燃える
血の色みたいな
雪が
降りしきる
錯覚・錯覚・錯覚
街角のビルの窓辺に
垂 ....
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