耳の不自由な彼は
音が見えた
と 言った
わたしには聞こえただけだった
目の不自由な彼女は
色が薫った
と 言った
わたしには見えただけだった
後ろめたくなかった
....
午後ずっと涙色した曇り空無くしたものを探すの中断
飛行機の音は嫌いと君は言う耳を塞いで飛行機を見る
晴れマーク見て安心と晴れやかさ今日は遠足息子ワクワク
電車去り次の電車がまた去って ....
夜をすぎて混ざりあった
イエローとピンク、
パステルカラーの朝が
たなびく空に滲む
満ちた潮の香りと
膨らんだワンピース
裸足になったキミは、ひとり
貝殻の残骸を数える
砂浜 ....
青いそらに
一本の縄バシゴをかけて
一人で昇って行くのだ
小さくなってゆく姿を
地上の人々は
誰も気付かないままに
陽に憧れてのぼって行くのではない
高い塔か ....
永遠なんてありはしないんだと
なんども云ったから
わかってください
愛と呼ばれるものの
なにもかもが
夜桜の写真の中に閉じ込められたみたいな
なにが目的なのか
なにひと ....
子供の頃は
辛口が食べられず
甘口を食べていた
いつしか辛口が
食べられるように
カレーを作った料理
どれも美味しい
また食べたくなる
毎日食べたくなるぐらい
それぐらい ....
無
と聞いて
深く思う人と
浅く思う人が居る。
無もさまざまに受け取られる
いつか、詩人は、わたしに、森 鴎外の『舞姫』のパスティーシュを書きたいと言っていた。
愛がわたしを知るとき、わたしははじめて、愛が何たるものかを、知ることになるのであろう。言葉の指し示す ....
涙の夜に
生と死を思い
絶望を失った。
生を楽しむ
そう決めた
竹藪はひんやりとした風が吹く見た目からも涼しさを得る
細い木も太い木もあり山となり動物たちの好む環境
朝早く外の空気は新鮮で夏場の朝は自由が見える
良い風が吹く昼下がり上手くいく良い ....
グラスの縁を
指でこする
音は
遠いあの日とつながっている
あの日もじんわりほほ笑んでいた
死にたくないのに死んだ人が居た
その人を思い出したんだ
私が死にたくなった夜に
私を助けてくれた
死者
・
今 ここに
私の
いのちがある。
さまざまな
いのちに支えられて ....
陽のかげる時
美しくなる人だった
陽の輝く時は
自分から遠くなった心を
捜しかねているのだ
まして雨の時など
濡れた頬に
昨夜のベーゼが生き生きと甦っている
....
「真実なんて、どこにあるんだろう?」と、ぼく。
「きみが求めている真実がないってことかな?」と、詩人。
でかかった言葉が、ぼくを詰まらせた。
文章を書くということは、自分自身を眺 ....
朝から雨
雨はすき間だらけ
貴女へと降りそそぐ雨
雨傘の下の
雨漏り
或る足音を乱す雨
アルコールを和らげ
甘く染まり
悪童に遊ばれる雨
雨に出会うと ....
花は
散り
実り
芽を出す
さびしい?
・
芽は伸びて
光を目ざす
青空へと
うちあけるのは
しんとさびしいからです
・
青空の
静けさは
身にしみて
澄 ....
光の骨をなぞる指のことを もう思い出せない
言葉を思いかえすほどに
少しずつずれて嘘になってゆく
そのグラデーションをせめて美しく
夕映えに織り込んで
待っているうちに
身体は闇の鱗で ....
からだのなかの
海が
凪ぐ
一瞬
永遠の血はささやく ありがとう
{引用=たった一杯のカクテルに託した夢物語}{引用=月の流れのように見えたのは
私が酔っていたから
あなた自身の美しさを知らないあなたの
金糸雀の様な笑い声を
頭上高くに聞く}{引用=そのシル ....
スーパーが出来る話は立ち消えに空地のままで寂しさ残る
町内に小さなスーパー一軒だけ百円バスで隣町行く
一軒もホテルなどない過疎の町観光もなく衰退の一途
魚屋の小父さん声がよく通るつい ....
掲示板
イタコです。週に二度、ジムに通って身体を鍛えています。特技は容易に憑依状態になれることです。しかも、一度に三人まで憑依することができます。こんなわたしでよかったら、ぜひ、メールください。ま ....
{引用=ハイヒールの足許が男の鼻先を嘲笑う
「欲しければ尾を振ってついておいで」
街の角で ふと女の姿が消えた
「欲しければ、そこで涙をお流し」}
※
天上か ....
その子の瞳に
歪な丸さの ヒが躍る
画用紙の真ん中で
赤み帯びた鮮やかなオレンジは
吠えたける
甘い香りも
緑の葉蔭も
棘のある茎も
パレットに襲って来る溶岩 ....
大きく裂けた口のある白い顔で笑い
煌びやかな衣を纏った記号が宙を行き交う
吊るされた語彙は真夜中の死体のように重く
暗い羅列が濁点だらけの股間にあった
大好きなキミの瞳を輝かせたいから、
....
いまひとつ燭光が足らんのじゃないか
どれくらいと返事の代わりに訊かれ
冷めた皮膚が
透ける
はらり
吹き消してもっと
ください言ってトランク潰し倒れ臥し
吸いつくす限り
風に焼けた ....
欲が出て限が無いが
放てば
満ちる
と思い
自分をなぐさめる
・
不安がわいて限が無いが
放てば
満ちる
と思い
自分をなぐさめる
・
限が無いことばかりだが
....
一秒ずつ古くなっていく
と同時に新しくなっていく私
自らの光に
自らの闇を
照らされて
よく冷えた琥珀のワイン
オイルサーディンで作った
新玉ねぎとトマトのサラダをつまみながら
扇風機で乾かす洗い髪
遅い梅雨の訪れ
濃すぎる緑の広さ
軽い頭痛におそわれ ....
快晴の青空に
真っ黒なちいさな穴がみえる
なになのかは
わからないけれど
細胞が怯えているのは感じる
けれど
なにを対処できるわけもなく
時はただただ過ぎてゆくだけ
....
バッカだなぁ
永遠なんて
ありっこないじゃないか
忘れられない永遠みたいな約束を
かたくなに憶え込んでしまって
そうじゃなくなった罪を
嘘みたいだと詰るくちびるわずかにふる ....
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