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意味を忌みimitation
忌々しい今のimagination
今際の際まで
   極まるまで
   燦くまで
窓から夜明けがはみ出してくる
それを待ち望んでいたのかも
もう忘れてしまった頃

あるいはいつしかむしろ
望むようになっていたのではないか
夜が終わらないこと を

夜が長すぎたから
 ....
光の中で見えるものを見て
闇の中だけで見えるものを見て
いまそのどちらでもない
薄暗がりだからこそ見えるものを
見ている君の瞳が
葡萄のように熟れてゆく
君と僕とのあいだに
置きたい言葉があるとして

それはいつも最初の言葉であり
最後の言葉

初めての言葉であり
いくたびも繰り返されてきた言葉

すでに過ぎ去ったこと
あるいはいま ....
思惟のふちから
言葉が崩落してゆくとき
僕は君の夜を抱き
君は僕の夜を抱く

その暗い球体の中に
守るべきすべてが
あるかのように

たとえばそこに
紅い薔薇
暗さの中では
も ....
あまりにも純粋で
故に{ルビ果敢=はか}なく捉えがたく
けれど
強く深く

轟きでもあり
静寂でもあり

満ちあふれ
けれど虚ろで

鋭く
けれどやわらかく

かぎりなく甘 ....
濃い青の空に
白い雲の城砦がいくつも立ち
なかぞらを埋めつくす蝉時雨
他のどの季節にもない濃密さで
夏は君臨する

けれどその夏の中に
巨きな空洞がある
夏のあらゆる濃密さが
そこで ....
亡びたもののあかるさが満ちる夏の庭
もう誰も時刻を読むことのない白い日時計
茂みに囲まれた小さな池

茂みをざわめかせていた風がやむと
あちこちの陰にひそんでいた気配たちが
(それが何の気 ....
灰青色のかなしみが
時計の針にまつわるので
空気が気怠さを増してゆく部屋で

六月の似合うそのひとを
あなた という二人称に委ねないために
窓外に滲むあじさいを
しずかにただ眺めていた
 ....
五線がある
君はそこに音符を置く

   それは仄昏いどこかからやってきて
   君の感覚を通過するとき
   音符のかたちをとったもの

君は識っている
その音符が
鍵盤と指とを通 ....
一面銀になびく草の原を
未明の馬が駆けてゆく

どこからどこへ駆けてゆくのか
ほこらかな そして不思議にしずかな躍動で
一面銀になびく草の原を

駆けてゆく未明の馬は
そうだ きっと
 ....
君の翅を食べた
君がそうすることを望んだから
君の翅はよくできたお菓子のように
心地よい甘さで
もろくあわく溶けていった
最後に君の背に残る
翅のついていた痕をそっとなぞると
それも夢の ....
この胸から一枚の
夏の風景をとりだしてひろげよう
青い湖 まわりは緑の森
そのむこうになだらかな丘々
湖には小さな桟橋 つながれている幾叟かの小舟
ほとりに小さく白い館

そこで僕らは
 ....
暗い風が吹いた
濃くあかるい夏空の下を
暗い風が吹いた

暗い風が吹いてもなお
夏空は濃くあかるく
白くかがやく雲を湧き立たせた
蝉たちは鳴き 鳴きやめ また鳴き
鬼百合 向日葵 百日 ....
君はその身体に
神話と寓話とを
ありったけ詰め込んで
旅立つよりほかなかった
君が旅するほどに
君の身体の中でそれらが育つので
君はいつも張り裂けそうだ
君の身体から
抑えきれず放たれ ....
春が来ると
君が心臓に飼っている星座が
かぼそい声ですすり泣く
それを夜ごと聞きながら
どうすることもできない
ただ ほら
ルビー色のチューリップが咲いたよと
君の記憶の窓のむこうの
 ....
光が ふるえている
小さくかすかな光が ふるえている

君の中の
青く昏い場所
小さくかすかな光は
自らの源を知らず
また何を照らすのか知らず
小さくかすかなまま ふるえている

 ....
{引用=*四行連詩作法(木島始氏による)
1.先行四行詩の第三行目の語か句をとり、その同義語(同義句)か、あるいは反義語(反義句)を自作四行詩の第三行目に入れること。
2.先行四行詩の第四行目の語 ....
意識の表面に 皮膜のように貼りついた
夢を剥がす 淡哀しく雪が降る ログイン
ログアウト 扉の向こうに 景色をしまい込んだまま
日々は眠る ログイン ログアウト 小さな痛みが
星のように瞬く  ....
バビロンまでは何マイル

ろうそくを灯して
行って帰ってこられるという
バビロンまでは何マイル

だがろうそくじゃない
禁断の火を灯せば
バビロンまでは瞬く間

行って帰ってこられ ....
多分 午睡の夢に
君がくれたセルロイドのホーリーカードが
舞い込んだんだ

だからほら
空は薄青いセルロイド
雲は白いセルロイド
どちらも淡く虹色を帯びて

道の両側に咲く
ピンク ....
長い夢を見ていたようだ

白い陽が
ハイウェイの彼方へ落ちてゆく
言葉がひとつ ふたつ
淡く発されては消えてゆく

別離の色彩が
こんなにも静かでやさしいことに
少しとまどいながら
 ....
其処は中庭
周囲がすっかり閉ざされて
何処から入ればいいのかわからない中庭

其処で
プロローグと
エピローグが
手をとりあってくるくると回っている
モノローグと
ダイアローグが
 ....
清い流れに沿い
{ルビ鶺鴒=せきれい}が閃くように飛んで

揺れるねむの花
ねむの花はやさしい花 と
誰かが云った

小さな手が生み出す
鍵盤の響きはたどたどしくても
その無邪気さで ....
部屋の片隅に
壊れてしまった時がいくつか
転がっている
それらは この夜に
透明な襞を寄せてゆく

やがて その襞は
包んでゆく
君の記憶を あるいは予感を

あるいは 記憶と予感 ....
詩を書くと
詩のなかに彼方が生まれる
その彼方について詩を書くと
そのまた彼方が生まれる

身体は此処にとどまったままで
幾重もの彼方の谺を聞く
外へ 外へと
言葉が拡散してゆくとき
内へ 内へと
深く問うものがある

あの日の歌が回遊してくる
おなじ言葉に
あらたな意味を帯びて

今はただ
あらゆる方向を指し示す
矢印た ....
浅い春が
私の中に居る
いつからかずっと居る

浅い春は
爛漫の春になることなく
淡い衣のままで
ひんやりとした肌のままで
佇んでいる

(そのはじまりを
 浅い と形容されるの ....
濃密だった夏が
あっけなく身体からほどけてゆく
世界から色を消してゆくような
雨が降る
雨が降る

あの光きらめく汀を歩く
私の幻は幻のまま

それでも
夏はこの上なく夏であったと ....
あの日僕らは
夏をいっぱいに浴びながら歩いていた
中空を惑星のようにめぐる虹色の夏の果実を
気ままにもぎとっては
かじりながら歩いていた
ふと蝉の声が途絶えたとき
目の前に幕があらわれた
 ....
ひだかたけしさんの塔野夏子さんおすすめリスト(31)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
囈_言- 塔野夏子自由詩3*24-4-21
春_雷- 塔野夏子自由詩3*24-3-21
obscure- 塔野夏子自由詩5*24-2-15
合言葉- 塔野夏子自由詩7*24-1-27
抱_擁- 塔野夏子自由詩9*23-12-19
THIS- 塔野夏子自由詩5*23-11-9
夏の空洞- 塔野夏子自由詩12*23-8-15
夏の庭にて- 塔野夏子自由詩15*23-8-7
あじさい- 塔野夏子自由詩12*23-7-5
楽_譜- 塔野夏子自由詩5*23-1-9
未明の馬- 塔野夏子自由詩5*21-12-7
君の翅- 塔野夏子自由詩13*21-10-5
夏の風景- 塔野夏子自由詩14*21-8-29
暗い風- 塔野夏子自由詩8*21-8-15
沈黙の語り部- 塔野夏子自由詩9*21-7-11
記憶花壇- 塔野夏子自由詩6*21-4-19
ふるえる光- 塔野夏子自由詩2*21-2-19
四行連詩_独吟_<静かに>の巻- 塔野夏子自由詩4*20-12-29
淡哀しく雪が降る- 塔野夏子自由詩5*20-12-1
バビロンまでは瞬く間- 塔野夏子自由詩2*20-11-19
セルロイドの秋- 塔野夏子自由詩4*20-10-23
長い夢- 塔野夏子自由詩2*20-10-11
ローグ- 塔野夏子自由詩6*20-9-19
夏の練習曲- 塔野夏子自由詩7*20-8-5
夜の襞- 塔野夏子自由詩3*20-7-5
彼方が生まれる- 塔野夏子自由詩7*20-4-17
銀_化- 塔野夏子自由詩2*20-3-31
浅い春- 塔野夏子自由詩4*20-3-19
晩夏の雨- 塔野夏子自由詩5*19-9-1
夏の至聖所- 塔野夏子自由詩11*17-7-31

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