かたわらに かたわらに
木立 悟





川辺の光の
光のあやとり
すぎるものたちが
映り映らず
すぎてゆく


生きものは生きもののまま
在るものも無いものもつながってゆく
降る会話 巡る会話
水紋ではないものが
水紋に加わる夕べ


触れては戻る陽
塩になる曇
一度だけ着がえただけなのに
あなたはもう
朝を見ない


鉄の空に落ち
硝子を渡り
音は雨となり
枝を伝い
霧を結ぶ


白と黒の
街の名残り
旅とまなざしと
あらゆるものの
切れはしと



小さな金属の音たちが
道を道に延ばしつづけて
融けては忘れる言葉の波を
きっさきにきっさきに受けとめている



冬山の灯の
ひとつひとつに槍があり
見つめるものの片目に
常に狙いを定めながら
ゆらめいている


どこにも行けないのだ
と あなたは道を曲がる
曲がるたびに坂は増え
道は道を曲げ遠去かる
あなたから あなたから
遠去かる































自由詩 かたわらに かたわらに Copyright 木立 悟 2012-01-25 21:36:56
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