Winter Solstice
月乃助

冬のたどりついた日
海峡は慈悲のない 風でした


限りなく動揺する
どこまでも
消え去る端をも
わけ広げる海風景


北風の冷たさに波頭は白く飛沫をあげ
人などだれも許さぬ厳しさに
流木たちが許しを請うように
体をよせあい
磯の間に翻弄されていました


子供たちは、
頬を赤く染めながら 目をそらさずに
ただ冬をみつめることに忙しい
この時とばかりに、


身を打つ風のうちに
長くのばした髪を無残なほどに切る
決意らしきものの 言葉にならないものが
やってきては 私を変えていく


海鳥たちの鳴き声に
はやされ


私は、
私の中の女を捨ててしまう


それは、去勢された宦官のような男になるのではなく
子宮の導く声をうとましく思うことでもないのです


やわらかな体は、
それが宿すものをあまりに制限するものだから
私は、女を口実にして生きてきた


だから
赤い月が耳を切り取るように
その身を
欠けてみせる


潮溜まりが
そこに映す空を手に入れたよろこびや
磯に打ち上げられた枝の
色をかえぬ緑に嫉妬しながら


残されたものをひろいあつめては、
すこしばかりの期待で
容赦のない潮風を、
おしかえすために


私はある







自由詩 Winter Solstice Copyright 月乃助 2010-12-22 15:22:49
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