月蝕
あらい

育て上げられたダイヤグラムと、降り注ぐばかりの五線譜が射貫く
ひとつあわせのカルタ、破れにくい腐敗臭に流れ星をあてる、

菫色を広げた 地平線の証。戸口はしまり 小上がりに充満する 
劣情に横流された、末始終を思う。かわいた風が 触れている

ゆくさきに伽藍堂の梁の傷。炙り出した手記を培養する 母性愛
ぬらぬら 嘲笑ったような気がした。
この先の夜が、闇につまっていても。軽率さを、小舟と翳る
星になるのだと知ったかぶりをして。

やさしく包み込まれるような、魂の輝きに
見合うことはないのだろう

あれこれよ、立ちくらんだ、なおざり
堰を譲る。滂沱であった

規則正しく並べられた亜麻色の焦燥 発色を手回しする
末席架空の丈。毒を含んだ尊重は きりが なかった

ひとつの木

明瞭に記録する満ち引きをたよりに、古ぼけたあの辺りへ
ご機嫌とりに終始する、一枚の見取り図には
頃合いを図り、連れ込んだ相応の虚偽、
だが、プラネタリウムにはゆめがあった

当時を 
垢ぬけていく冬は、
雲を霞とする

足跡は泥まみれでも かえすことばもなく
泣きそうな夜に 一点の曇りもなく、鮮やかに開けている


自由詩 月蝕 Copyright あらい 2021-11-19 08:28:58
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