紅底透睡
あらい

歯がゆいだけ うまれたがる。
砂で汚した濡れた未知。
モミジのように、
蜘蛛の巣に通りかかった、
天使はもとから羽根もない。

えんの下、指の股から、花が生まれていく
銭の視覚、とめどもなく 助けを求めている
厘の飛礫。故に遺された 明後日みたいなメモリアル

輝石は僅か

通りすがりのショーウインドーの
EXITに挟んだ 片足だけのひとは容易に

小さな手を繋いで坩堝と任命する
日曜日の算段。白昼夢らしい、落葉

わかりきった足取りで杖をつく
消え去るまで、わたしと往く
ほらコーデュロイの秋風と 
はらはら、ひとつ 物陰から
踊り出た 少しの遊戯に興じる

お下げ髪の少女は 透明なネグリジェでも 
ひらひらできれば。ぎこちない影絵の都市に、
とてもみだらなみだ 蜘蛛の糸で 
均衡がとれた 偶然の大地に、糧として奢れるのに

男は
大きな鞄を広げて 抱擁と梳けていき
そして誰もいなくなった。
嬰児は
産声を着せて   どこかしら 運ばれてしまう

(ごめんなさいね)

内側に拗れて 少しだけ時を殺して 雨を拐っただけ。
こちらをうかがう湿った道は耀けるはずだ、
きっと、わかれのときまで色づいていた 虹の橋を 

踏みしめて 亘るだけ


自由詩 紅底透睡 Copyright あらい 2021-11-16 22:06:07
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