おれの子が食べるそのパンをあなたの子が食べることはできない
ゼッケン

経済的に自立できない障害者にスーパーマーケットの惣菜の売れ残りを配る

おれは誰かを傷つける必要がある
真人間になるために
おれは瞬間接着剤を耳の穴に垂らす
音が聞こえなくなると
おれは善良な人間になった
有限の宇宙では
誰かが存在するためにその空間と時間は占有される
おれの子が存在する空間は
あなたの子が存在できない
おれの子が生きる時間は
あなたの子が経験できない
おれの子が食べるパンは
あなたの子が食べることはできない
あなたの子が食べたいパンを
おれはさらに他の誰かから奪わなくてはならない
それができないならば、おれはすぐにおれの容量を解放しなければならない

おれはどん底の体験がしたいんじゃない
すでにどん底の人間だ

自傷する言葉で媚びへつらい、
偽善と独善のどちらかを選びながら、
視覚的な合理性しか持ち合わせないおれは
有限の中に無限は見ない
他人のポケットに手をつっこんで
ビスケットを出す


自由詩 おれの子が食べるそのパンをあなたの子が食べることはできない Copyright ゼッケン 2021-11-18 00:26:56
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