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父のポケットに
ときどき手を入れてみたくなる
そんな子どもだった

なにもないのに
なにかを探してしまう
いくら背伸びしても届かない
指の先がやっと届きそうになって
そこには父はいなか ....
窓から見える空があんまり青くてきれいだから
窓を開けて少しだけ瓶詰にしました
でもとってきた空は青くなくて
それなのに窓の外はやっぱり青くて
僕は悲しくなって
僕がとった空の青はどこだろうと ....
その夏最後の一文を終えても
どうしても飲み込めぬ読点を眼に
含んだまま発音できず
ただ濡らし続けていたら
、あ、
同じ花の種がまた
何度でも生まれてしまい
まろやかなミルク色 ....
丹田呼吸法breathing exerciseを数分行ない
額の中央(第三の眼)へ朝日の破片が
熱い速度で注ぎこまれた
わたしはジェダイの騎士、ヨーダだ、
そして宮本武蔵だ、と十回ほど唱えると ....
自分が嫌いだ
身近な人を傷付けまわして
誰もいなくなってから後悔する
そんな自分が嫌いだ

くろ

人間が好きだ
身近な人を傷付けまわして
誰もいなくなってから後悔する
そんな人間 ....
成長期のはじまり、
おっぱいの お は おんなの子のものだった

ゆるやかにカーブがかった
右上がりの
短くも純粋な時間

いつだって
おんなの子のはにかむ口角に似ている


思 ....
すとんっと落ちた釣瓶の井戸に響くあっという間の出来事の
外はもう闇
急に冷え込む閉店準備の店内で
夜には強すぎる冷房で涼む集積回路
ホッとしながら「もっともわずかな安堵の時期である」と言った
 ....
はねを生やして飛び立とうとするのは
なにも言葉だけじゃない
重すぎる心臓を
あかく吐き出しながら
お前のことを絵にするのは
いいかげんにしなくちゃね
お前はそう、
ひっそりとやさしいに近 ....
{画像=081005021659.jpg}

砂浜の風が
朝夕に向きを変えるように
君は気分で風を変える

冷めている空気が
暁の光に変色する時
君は急に大人びた表情を見せ
自足の笑 ....
枯れてしまった花を詰め込んだ
荷物を背負って
帰るんだ 
うちへ 帰るんだ
野生の花が咲くまちへ
いつか大切だった本が
ホコリの中に埋もれてる
無為に費やした
たくさんの
愛しさと
 ....
私の頬についた
大きな大きな
キスマーク

冬の花火を
震えながら見ていた
屋上のベンチ

恥ずかしがり屋の貴方が
私につけた
俺専用って印


あざか怪我かと間違うくらいの ....
奪われないので
今日もひとり分を生きた
果てのない風船の暗闇で
惑星の君が手をふっている
伸びる道は無限に存在し
いつでも繋がっていると同時に
いつでも一定の隔たりがあり
謎 ....
ことしも
うみのむこうから
かなうことのない
えんきょりれんあいのとちゅうで
ぐうぜんりょうしのあみにかかり
しょくたくへと
ぐちをこぼしにでも
やってきたはずなのに
あいさつもなく
 ....
(一)

「ここも戦場になるのね」

キキはちょっと悲しそうに呟いて
刈り込まれた芝生の向う側に
迷彩服の男たちを認める
忙しく移動式対空レーダーを組み立てていた
目的のためなら一番大 ....
    (わたしは秋
     枯れゆく落ち葉のしたで
     春の夢を待ち焦がれている)



北国の夏はぬるい
日焼けした肌
汗臭いTシャツ
サングラス
海と空がひと ....
 
会議室を人が歩く
金属や樹脂などでできた
冷水機のようなものがあって
その向こうに浜松町が広がっている
どこまで行っても僕には体しかないのに
ポケットに突っ込んだはずの
手だけが見つ ....
いつか語っていた景色だったら
巣食っているのは本当なんだろう
少しだけ多くの時間をかけて
誰よりも歩いた気分になれる

腕時計、を外して
その跡を順番になぞる
縛られた指先が千切れると
 ....
静かな木漏れ日の向こうに
やさしい香りに包まれた人がたたずむ
朽ちた古城を背景にその人はいた
それは昔々の神話のような
何と感傷的な横顔
アポロンかエンディミオンを思わせる
木漏れ日は宝石 ....
君はいつも高みを目指して
私はそれに応えられず

空の路にはぞろぞろと
人の行列、先頭は君

次の星を目指すのだ
眠りについたこの星をすてて
豊かな緑を目指して歩く

空の路には人 ....
カシッ

くるみの殻
秋の日差しのなか
乾いた破裂音

くるみの林
赤や橙に色づいて
かさかさ揺れているかな

ひと吹きでぱらぱらと
涙のようではなく
思い出のようでもなく
 ....
{画像=081001232707.jpg}


想う

無責任な放埒さを

道は幾つもあった
途中には
見えて来たものが色々あった
それはそれで良い

片意地を張り両手を拡げた ....
その人が引っ越してきたのは3ヵ月前
いつもきちんとしたスーツを身に纏っている
隣の部屋に住んでいるせいか
毎朝のように顔を合わせる
その人があまりにも素敵だから
挨拶以上の言葉を交わせない
 ....
ほどなく
空は なだめるように
いくどかのまばたきをした
何度目かの夏
もうすぐ花柄の猫たちが
砂丘のほしに
帰ってゆく

波の音
水平にひろがる
君のこきゅうと 両腕
ほど ....
西日が射す
階段の踊り場から
子供の声がする
懐かしい声が
あれは
ボクの声だ

 ボクがそこに座り
 マンガの本を読んでいると
 台所のほうから
 タンタンタンとリズムよく
  ....
胸の想いは、
薔薇色の珊瑚だよ

だから貧乏だなんて
口が裂けても
絶対に、
言ってはいけないよ

こんなふうに、
今は。
志のある人なら誰でも
・・・・とても
苦しい、時代だ ....
蟻が
わらじの死骸を
運んでいく

気持ち悪い、とか
すごいちからだ、とか
そのさまに向ける言葉は
まったくの自由だ

だがそれは
彼らにとって
とても重要な生命の営みで ....
寒いね
さむーい
しんけいつう、になった
肋間神経痛だって
(初恋の痛みだと思いこんでた)
しんけいつう、に(も)付ける薬はないんだよ
あはは
おばーちゃんみたい
あはは、おばーちゃん ....
耳の周りや頬の近くやらを
冷たく刻み込むような
秋の驟雨が染み込む
家路を逝く靴音には
永い冬の訪れを
哀しむようにして
静かにアスファルトを
夜空よりも黒い色に変えてゆく

 *
 ....
たった一人で
たった一粒の
愛へ落ちてゆく

街角で
目があった
おんなのふるくなったひとは
ばふん、と笑い
わたしは
カシャカシャカシャチーン
「仕事の顔」から「家の顔」になる
 ....
水のそばに
水の羽があり
四つの水を映している

ひとつだけ蒼い波が来る
ふいにひろがり すぐに消え
ふたたびふたたびをくりかえす

窓に打ち寄せ
つもる影
屋根のつら ....
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