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濁った沼のある寂れた町に
マリーという女が住んでいた
マリーの本名は誰も知らない
彼女は
夏の真夜中のような眼をした
中々の美人であったが
友達はいなかった
若者はみな都会 ....
後れ毛 梳くうて そっぽ向き

微かに震える伏せ睫毛
 
「辛くはないの?」と、宵の月


若やる胸に絡ませた

好きと嫌いの綴れ織り

先夜の淵に咲く花を

見ては見ぬふり ....
「西高東低の気圧配置はしばらく続くでしょう」と
天気予報のお姉さんが
カメラ目線でうったえている

僕はコートを羽織って
襟のホックを上手くかけられないまま
仕事へ行こうと玄関へ向 ....
病室の窓から見える金木犀の葉は
季節の変化と共に舞い落ちる
その葉は最後の瞬間まで
生命の光を放ち続ける

彼女は春からずっと此処にいる
医療の限界を超えた力に
少しずつ細胞 ....
ぽっかりと空いた穴に私は舞い降りた
瞳も何も映さず鳴り響く足音だけが
その存在を知らしめ
誰もいないこの場所にて私は舞う

忘れよう 忘れなくていい
思い出 未練 忘却 苦しみ 
渦巻い ....
マリアの下の
小さなお人形
 
そのアタシを
初めて笑わせた紳士
 
床についても
忘れまいと
柔らかに抱きしめ
 
あの世でも
忘れまいと
静かにねむる
 
ああ
青白 ....
アイスクリーム
持っててね
って
いつまで
待たすつもり?
 
とけた液体が
腕まで浸透してきたよ
 
お気に入りの
白いカーデも台無しで

香水のローズの香りの代わりに
チ ....
君を空に重ねて見たら
本当に君の顔が出てきてさ
驚いてる僕の横で君は笑ってた

君と空は似ているね
なんて言ったらさ
嬉しそうに笑ってた
目を濡らして笑ってた

君は空
君は空
 ....
青い空がそこにあったので
とりあえず君のことを尋ねてみました
答えはわかっているから
聞かないね


いつから
そうすることがクセになったかな
あたしは左にひとつにまとめた髪をくる ....
紡ぎ繋ぐ言の葉を

深海の波音に乗せ

唄って

漂い揺れるこの身を

深海の潮流に乗せ

流して

泪頬を伝う夜に

聴けない声を恋しがり

鳴き交わすイルカの群れ ....
嗚呼嫉妬する己が醜い
彼の人を見つめる貴方が愛しい
殺してしまいたいよ
貴方の愛する人を
消してしまいたいよ
貴方の脳内の記憶から
嗚呼切がないと貴方は言う
それは分かって ....
一夜限りの戯れでも
君の手が{ルビ私=わたくし}の乳房に触れた時
蜻蛉、来たりて
今、この恋は{ルビ私=わたくし}の精神から羽ばたいて
現実のものとなりませう

くれないの紅を塗り終えて
 ....
「何を見てる?」

答えを期待して してないふり

「おまえを見てる。」

その言葉で 一瞬にして氷が解ける

そんな感じでゆるむ私の顔

単純だなぁ 私。。。

でも 

 ....
気付いてしまった

この気持ちは恋なのかも

溢れ出す木漏れ日や
やがて綺麗に咲くだろう
桜のことを想うと

二人で同じ風を感じ
同じ日差しを浴びて
心底穏やかな気持ちでいる自分を想像し

となりに君 ....
答えのない事柄に
あえて答えをつける行為を
落としどころを探るという事を
この前学びました


落としどころの無い話を
途中で打ち切るにあたって
潮時を見極めるのが大事という事 ....
かわいいいあの子は
雨の下
少しあせてる水玉の
傘で雨などなんのその

かわいいあの子は
雨の後
東で澱んだねずみ色
気にせずてくてく歩いてた

かわいいあの子は
霧の中
遠く ....
とりあえず色んなものを書いてきました
最初は恋愛ものが多かったかな
書きやすいってのもあるし
それなりに受けも良かったので

難しい言葉を羅列しただけのもあったな
別に大して意味なんてない ....
ああ
また
自分の吐いた
言の葉が
イビツなかたちで
とんでいった

やっぱり
そうだ
着地点をまちがえて
グシャッとつぶれ
ピシャッとわたしにはねかえる

てんてんと
ま ....
昨日まで



{ルビ花氷=はなごおり}のように

硬く

わだかまった


かのように

感じても


やわらかく

まるく

溶けていくから

温かく ....
無意識の深淵にひそむ邪鬼たちは
まどろむ私を
五次元の奈落へと
密かに誘う

封印を解かれた
亡者の魂は
生ある息吹をもとめて
閉ざされた扉から
怒涛となってあふれ出る

彼らの ....
誰が教えたわけでもなく
指で三つ、をつくる
しいちゃんは
たくさんを
それはささやかなたくさんを
欲しがろうとする


絵本読んで、と
わたしの膝上に乗っかって
ほお擦りするように ....
重たい例のあれを背負って歩いていると
エレベーターがあった

金属の扉だった

すらっと扉が開いて
ぴっちりした詰襟のエレベーターボーイが
真っ直ぐ立って
「上へまいりまあす」だと
 ....
ずっとなかった

アタシだけの匂い

キミは持っていたのにね


確かに香水せいだけじゃないのも

分かってたし

人ごみに紛れてしまったとしても

キミがアタシを嗅ぎ分けら ....
慣れる怖さをしっているから

少しの合間

地上に顔を出し

儚く地面に散ってゆくのか
あと3歩だけ
歩いてみないかい?
きっと何か変わるよ


1歩
学校のこと思い出す
楽しくて
楽しくて
かけがえのないもの

2歩
親のこと思い出す
何度も怒られたけど
生 ....
てのひらに乗った 雪が
溶け出して、僕の
一部になってゆく
降り始めに気がついたのが
どちらだったか
もう忘れてしまった

雪は
これで最後かもしれない、と
最初に言ったのは君の ....
     「おかえりなさい」


     胸をしめつける


     この言葉


     「ただいま」
     と言えるしあわせ
いろんな人の
いろんな意見があり

それは何が正しいとかは問題ではなく
気に入る 気に入らないの問題でもなく
それはその人の自由であり また
その人の生き様でもある

いろんな人の
 ....
  「冬から春へと変わっていくだろう?陽射しとか」
  わたしはうなずいて、コーヒーをひとくち飲む。
  「ふと思い出すんだ」
  またしても、わたしはうなずく。
  夫はまだ、コーヒーを飲ん ....
新しい一日が始まる 変わらぬ毎日が流れる
どこで区切って 何で笑って 生きているんだろう
夢から覚める前に 現実に冷めてしまった

先の見えない時間を 一人で背負いすぎて
振り払えない不安を ....
北大路京介さんの自由詩おすすめリスト(16330)
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