ガス燈の灯る、
光の街は
地図にない
ヴィヨンの橋影が
夜の流れに
揺らめいている
街行く人も
名を伏せた仮面のまま、
濡れた石畳の道を
忙しく
通り過ぎた
裏通りの女も ....
さようならの時、楽しみ 楽しみ
だけども、どこか? 寂しく 悲しい
戒めの時を、受けずに 去るのさ
なにを残して、立ち去るのか?
雨が止んだら、空は晴れ
何事もなく、人は行く
最後の言 ....
青空は深いが、
こまかいことにとらわれている私は
つまらないのであった。
とらわれないようにすることにも
とらわれないようにするには、
今ある問題と向き合うことだ
もちろん
バランスをと ....
誰からも奪いたくない
それは甘い考えでしょうか
今まで
気力を奪う人
物を奪う人
人生を奪う人を
知ってきて
見てきて
されてきて
なりたくないだけ
この逆をしたいだけ ....
ムシムシ
またムシムシ
確信的ムシ
ムシし続ける
終わらないループ
ずっとずっとずっと
出口のないトンネル
まっくらで気味が悪い
そしてムシムシ
またムシムシ
平気でムシ
ムシが ....
システマティックに確認できないこと
人間の目視の職人技的正確性と
人間の目視だからこその不正確
今日もいくつもの瞳が瞬きを忘れて
行ったり来たり
大切なことは0と1の隙間にある
....
海の上だけが居場所
心があるのは網が続くどこか
魚たちが網目をくぐって去っても
くぐる様子を波音に伝えて
それが繰り返し鳴っている
確かなこと
いなくなった魚たち
駄目ではない
そ ....
蔓草の{ルビ畑=はた}の花木を絞めに絞め
夏受診診察までの四時間待ち
塀越しの貸家に白き{ルビ百日紅=さるすべり}
西瓜に塩かけるなといふ眼鏡女医
運転中
不意に現れ 目の端で捉える
蔦の絡まる建物
もう、その時期か
あの夏から
幾度 高校野球が開催されたか
懲りずに毎年
十七歳の夏に引き戻され ....
真夜中、夜の公衆便所
消毒済の白磁の便器のなかで
妊婦がひとり、溺れかけていた
壁面の塗料は、鱗片状に浮き剥がれ
そのひと剥がれ、ひと剥がれのもろ ....
髑髏山の蟻塚は
罪人たちの腐りかけた屍体である。
巣穴に手を入れると
蟻どもがずわずわと這い上がってきた。
たっぷりと味わうがいい。
わたしの肉体は余すところなく美味 ....
扉から漏れる光
次の扉を開けるのは怖い
本当に変化を望んでいるのだろうか
その変化は嬉しいものとは限らない
光はいいものだと思い込んでいる
生まれてからの日々しか知らない
....
忘れる
悪いことも
いいことも忘れる
千年前のことも
忘れた
ああ 忘れた
けれど
忘れ去らないで
思い出すこともある
いのち
今は亡き美千代さんが生前
私の笑顔を
「 ....
いつかは手に入れるだろうか
そこでほぼ一生過ごすって
どんな感じだろうか
帰っていく場所
My Home
未来はわからないのに
ローンで縛られること
どうして家ってこんなにも高い ....
娘はちゃっかり盗撮をする
後から送ってくるので
文句の言いようがない
でも今回は良いこともあった
仕舞っていたアルバムから
昔の家族写真をAIの動画にしていた
写真なら驚かないが、 ....
発車ギリギリの電車に飛び込んだ
座れたけれどだるい
夏期講習サボってどこか遊びに行きたい
そう思いながらYOASOBIを聴いている
サラリーマンのおじさんおばさんたちも
疲れた顔してスマホを ....
通貨はベイベイ横浜駅で
青いユニホームかぶった駅員が
帽子のあごひもキュッと締める
まるで駅員であることを確認するように
特急、接近、ハマ風が吹き、
ファッショナブルに回転する駅員
膨らむ ....
ネットの中では面白い現象がみられる
姿かたちや人となりがわからなくても、
勝手に想像して、素敵な人に見えたり。
昔馴染みの詩人さんの詩を音楽家が作曲動画編集、演奏をして
You ....
テレビを見ながら
僕は皿洗い
君は洗濯物をたたむ
よくあるひととき
ありふれているのに
ありふれているけど
永遠に続かないことを
まだ何も起きないのに
憂いてしまう
いなくな ....
僕たちはまるで
悲しみがみえないように
踊り狂った
みずがめ座のひとの
特性を僕は知らないけれど
自由と未来を手に入れたいと想っているのは
きっと間違いないだろう
....
体に絡み付く蔦
爪を立てるようにして肌に食い込む棘
否応がなしにそれらの思うがままに身を任せ
赤く染まりつつある姿を晒す私
放射線状に幾重にも映る我が身は
醜い一匹の老獣
どこまで行ってもきっと同じなのに
なぜ僕たちは止まれないのだろう
目を閉じて耳を澄ましてる
波の音がきれいだった
僕たちは
ここにいるよ
ここにいるよ
いつまでも
終わらない夢 ....
家に太陽光がついているから
昼間はクーラーが使い放題
でも午後六時をまわったら家中の電気を消している
そこに山があるから登山家が山を登るように
そこにハイライトがあるから僕はハイライトを喫 ....
あの日
まだ遊園地があった頃
待ち合わせて出掛ける夕まずめ
武庫川に架かる橋には溢れる人
背の高いその人が
欄干横の塀に私を乗っけてくれた
スカートが風にめくれ ....
懐かしい名前に出会って
僕はやっぱり僕だと知る
いつの間にか分厚い着ぐるみ
無言のパフォーマンスしてたね
ちょっと後ろのファスナー
下ろしてくれないか
風を浴びて
蘇りたい
逃 ....
大いなる孤独は自分で切り拓く為の厳かな凪
自分だけの答えに応えてゆく儀式のような砦
指南書も滲み
羅針盤も狂い
途方に暮れる寂しさに
あの頃に戻されそうになる
自身に毒を喰らう ....
子と行きし回転寿司や夏祭り
夏祭り検査の予約入りにけり
夏祭り消息絶ゆる{ルビ女=ひと}想ふ
夏受診余談の混ざるゆとりかな
出かける準備に
君は右往左往している
もう出ないといけない
ジリジリとする内心
何か手伝おうか
さあもう出かけよう
服はそれでいいだろう
せっかくの
楽しみを
最大限に味わい ....
白い本をひらく
そこは、永遠てしのない階段が続く
教えられたままに ゆっくりと登っていく
いつか空に近づくころ 段差は代わりに五線譜になった
そこからは、音符の上をのぼりはじめ ....
死に
たかる蟻たち
夏の羽をもぎ取り
脚を引き千切ってゆく
死の解体者
指の先で抓み上げても
死を口にくわえてはなさぬ
殉教者
死とともに
首を引き離し
....
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