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敷地のすぐ南側に土蔵がある
今や歴史はすっかり耄碌し
殆ど零れ落ちた漆喰のそこを
しかし私は依然として
こよなく愛でる
穏やかに晴れた日は
土壁の体温が心地いい
昼下 ....
父さんはニ層式洗濯機の中で
ぐるぐる洗われている
家族みんなに
臭いって言われるから
姉さんは乾燥機の中で
父さんと同じように
だけどひっそりと回っている
好きな ....
魚の小骨のように胸腔にナイフが引っかかっております。
子どもの時分からずっと引っかかっているのです。
(おかしいですか?
たいして悩みでもないのですが、
やみつきだなんてとんでもない。 ....
僕の彼女は半月に一度、まるで発作を起こしたかのように暴走する。これは別に大げさな言いまわしなどではなく、「そのとき」が来ると、彼女は急に地面にうずくまり、体をふるわせながら獣の咆哮を響かせるのだ。目 ....
生まれたばかり――
あまりにもまぶしかったので
まぶしい と
叫んだはずなのだったが
揺籃期――
プロレタリア文学だと称する
ひなびた小説を口に入れるが
不味くて ....
辞職願には「一身上の都合」とだけつつがなく書いたものの、本当の理由は「生きることによる倦怠感」であった。生きる、という本質的な目的がわたしの中で、ピントの合わない眼鏡をかけているように、急にぼやけて ....
明るい心臓の奥深くに
私のかたちに似た木が一本
ひっそりと佇んでいる
その木は、
常緑と呼ぶにはいささか
難解で
落葉と呼ぶにはいささか
陽気である
そし ....
「骨音」
その森の中のまぶたは
たいへんうつくしい
背骨を失った世界よりずっと
まぶたに広がる昼下がり
湖のほとりで
老人は 骨を拾う
露の輝く草を分け
....
母が私の靴をはいて出てしまった。
『せちがらい世の中です。どうか探さないでください』
朝起きると母の書き置きがあった。あまりにも淡白なセンテンスだった。私は泣きながらトーストをかじり、泣きなが ....
(私はいつも仰向けで寝入り
決まって仰向けで目を覚ます)
その日天井のしみは、妹のクラスメイトの顔だった
昼下がりに学校を早引けしたきり妹は姿をくらました
(私はいつも仰向けで寝入り ....
もともと世界は一連の階段だった
一段一段に彼がいてあなたがいて僕がいる
その下には彼とあなたと僕のご先祖様がいて
「あ」が「あ」になるように「さ」が「さ」になるように
首をひねって
....
(てらてら笑うニンゲンはたいがい……)
ずっとむかし叔父のいった
そのつづきを思い出そうとする
(てらてら笑うニンゲンは)
(たいがい……)
(たいがい……)
....
アラガイsさんの豊島ケイトウさんおすすめリスト
(12)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
土蔵の中の子供
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豊島ケイ ...
自由詩
11*
10-11-16
ちぐはぐな家庭
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豊島ケイ ...
自由詩
28+*
10-11-6
反映
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豊島ケイ ...
自由詩
17*
10-11-1
今夜の月は綺麗だね
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豊島ケイ ...
散文(批評 ...
4*
10-10-30
軽妙なるクロニクル
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豊島ケイ ...
自由詩
14*
10-10-21
ゆるやかな生活
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豊島ケイ ...
散文(批評 ...
18+*
10-10-18
私のかたちに似た木
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豊島ケイ ...
自由詩
13*
10-10-15
骨音_他二篇
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豊島ケイ ...
自由詩
16*
10-10-10
母の靴、私の靴
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豊島ケイ ...
散文(批評 ...
18*
10-10-6
しみ
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豊島ケイ ...
自由詩
17*
10-10-2
無題
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豊島ケイ ...
自由詩
6*
10-9-19
てらてら笑う
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豊島ケイ ...
自由詩
10*
10-9-12
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