soft_machine

   蟻



 辛抱づよいのか
 気もそぞろなのか
 個性はどこにでもあるのだなぁ
 けれど 蟻よ
 それは どう見ても ただの小石だ

 次の時間
 木の葉の波でひと休みして
 風に攫われていったのか
 望んだ海は見えたかい

 月の舌はあたたかく
 かすかな水を顔に弾かせ
 あまい裂け目から
 こちらへとくぐる
 固まってゆく躰にそでを通し
 淡い外気に従う
 その声を
 少し 聞かせてくれないか
 動かせないものについて
 話したいんだ 蟻よ

 けれど じゃあねと
 静かな列へにも
 色いろな自由があって
 まるで河のように
 鳴らすかかとに 驚きもせず
 いつか小石も きっとねと





自由詩Copyright soft_machine 2023-09-15 10:45:50
notebook Home 戻る