霧中
日々野いずる

永遠と続くような
耳鳴りの海と
目に入るのを遺棄する光線
何も見えない私が
愛になる訳がなく
一時、一時、一年
夢とする
どこを彷徨っているのかしら
暗雲であるということ
誇れないそれを誇り
それしかないから
どこも行けない、早く帰りたい
早く帰りたい

空が光だけ差して青々として
光って雲の輪郭が画く模様が綺麗で
濃くて薄くてそれだけを望んで
自分が薄くなれば
こうして何処にも置けない身の
処置にも困らない処理の
捨て場もある
捨て場に向かっている
じっと見つめる車窓の
外を緑と灰色が横切っていく
闇雲な雨が降って
まだらな目の上を滑る
喪中につき


自由詩 霧中 Copyright 日々野いずる 2024-01-13 19:15:24
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