すべてのおすすめ
ひまわりを背に
端正な顔立ちがしっとりと崩れてゆく
シャッターの音が
シャッターの音だけが
あたり一面に 静かに 降り注いでゆく
火曜の午後
思いつくまま講義をすっぽかし
キミを ....
高台から遠浅の浜を眺めると波の照り返しには目が眩む。
鰯の群れを追いかけて飛沫をあげるスナメリが、
ハセイルカの一団を連れてやって来た。
小屋の喜三 ....
廃れた通り、その先の名前のない草たちが太陽へと貪欲に伸びる荒地のさらにその向こうに、梅雨の晴間の太陽を受けて存分に輝く海があった、水平線の近くでいくつかの船が、運命を見定めようとしているかのように ....
月に降る
塵の息を踏み
無言 震わせ
空のはざまが膝を落とし
再び立ち上がる
脚をくすぐる布の闇
二 三 五 六と言葉を拾い
左足と右手の小指の寒 ....
泣き虫だった僕が
泣かなくなったのはいつからだったろう
少しだけ嘘をついても
滅多にばれないことを知ってから?
怒られても開き直れば
強く言われないことを知ってから?
みんなと ....
宇宙に咲く花のように
秘かに青白い、
アジサイの花房濡れる頃
神の手が伸びて来る
雨降る季節を進めるために
無限を響かせ、無限が響き
鮮やかなアジサイの、微かな揺れに
一つの確か ....
詳しい事情は知らないから
発言することは
控えていたいと考えていた
でも
日本に六例しかない
難病の痛みに苦しみ
他人の介護を受けながら
それでも人として
役に立つことを模索し ....
熱い心を持った人々が
今日も花壇の雑草をむしるのだ
憎い 憎いよ 雑草が
土地の養分を勝手に吸って
土地をだめにしてしまう
憎い 憎いよ 雑草が
汗を流し 声をかけ合い
一生懸命 ....
いちばんだめなのが
いちばんなのだという
おかしな理屈です
それは
まちがっていますとも
なんかいめの
まちがいだったか
誰も
もう
覚えておらないのだ
もう
だれも ....
子供たち
と
遊ぶ
白い獣、
むき出しの
牙
と
ビスケット
緩やかな陽射し、
庭の歓声、
他愛ない時の流れの
そのひとこまに、
静止した
笑みは
遠い空に消え
....
目がいいというのは
単に視力のことだけではなく
同じものを見ていても
目に留まらなかったりすると
目が悪いのだと
たとえば一枚のスクショからいろいろなものが
見て取れるのだが
流行り ....
寂しくて寂しすぎて
そこら中の携帯を徐に鳴らしていく
すぐに返答か返信は来て
少し満たされて
わざわざ時間割いて会ってくれる人もいて
なのに会ったら会ったで
数分もせずに虚しさ ....
やけに赤い夕暮れ
仕事で何度もミスした
気持ちは今も落ちたまま
仕事帰りに独り酒
初めて入る古びた居酒屋
温かい店主の声がもやもやを取る
料理の良い匂い
酒の良い匂い
楽し ....
五月連休
オートバイで峠を走ると
舗装路の小石がよく動く
道路を横断する毛虫だ
轢かないように
かわしながら走るのだが
クルマはそうはいかないので
轢かれてしまうのかもしれない
醜 ....
今、「芋」の意味について討議している
「芋の{ルビ力=power}」を{ルビ蔑=ないがし}ろにすると云うことは
忌む者に「忌め」と云っているようなものなので
今後、{ルビ寧=む ....
学園祭で土井ちゃんは
ギターの弾き語りで出演して
松山千春の「銀の雨」を歌い
喝采を浴びたのを横目に見ながら
そんな風に歌うことは
格好悪いことだと信じて
疑わなかった
だから
雑 ....
嗄れた外気の中で、うたは旋律を失い、ポエジーは冬の蔦のように絡まったまま変色していた、ポラロイドカメラで写してみたが、案の定浮き上がった風景にそれらは残されてはいなかった、なのでそれを幻覚だと認識した ....
しおれた花の残骸が
赤茶け風に揺れている
昨日まで芳香を放ちながら
今は萎びてうつむいて
流れていく 流れていく
衰退の相、必滅の法
萎れた花の残骸は
やがて地に落ち来年の
春 ....
ざあざあと傘が泣いてる
交差点に人はまばら
忘れ物をしたようで振り向いたら
世界はどこにも無かった
息苦しさがどこから来るか
白く塗りつぶされる前に
見つけられたらいいのに
ぼくは錠 ....
新しい住居には新しい生活の角度と密度がある。そして空気の中で鳴る音がすべて新しい。新しい住居に越してくるとき、引っ越しをほぼ一手に引き受けた私は疲労から風邪を引いた。風邪は水のように満遍なく妻をも満た ....
もうすぐ生まれる君へ
いつか語り伝えたいことがある
君が懐胎されてから
初めての心拍確認の日まで
本当に大丈夫なのか
ちゃんと生きていてくれるのか
不安で心がいっぱいになってしまった
....
(Q.きりんはくびがだいたいどれくらい
のびるんですか?)
私は街の雑踏のなかのきりんを見たことがある
長い首で歩いているだけで、窓を覗いていると言われ
足下がおろそかになり、ひとにぶつ ....
謎が多すぎる
のに
肝心な謎の正体がわからない
謎が謎を呼んでいるからだろう
謎の数を数え出すときりがない
羊みたいに眠れなくなった夜に数え出したが
余計に眠れなくなった
夜 ....
哺乳瓶を手放した甥っ子が
コップに注いだリンゴジュースを飲み干した。
父に手を合わせ
今すぐにでも伝えなくてはならない。
病院の待合室
「いつか、孫と一緒に飲めたらいいね。」と
願 ....
早朝の総武線快速のホーム下り列車を待つ
自殺防止に設けられたガラスに鈍く、私の足元が映る
ふと、地元の塚に立つ墓標を思い返す
戦争で亡くなった英霊を祀る、神聖な墓標
その横に無縁仏を祀る墓 ....
インターネットに嵌まりこんでしまった
インターネット恐ろしき
気づいたら袋に入れられて叩かれていた
仕方ないか
インターネットの正体とはそんなものなんだろう
やっと目が冷めて
....
{引用=暖簾をくぐった
立ち食い屋で
月見うどんを食べた
丼の湯気に
うすくたなびく雲に
月がとろけていた
めんをすすり
つゆを飲み干して
店を出た
まだ肌寒い
....
14歳の頃 心から信じていた先生が言った
「今の君には無限の可能性がある」
「でも君がそのうちの1パーセントの可能性を選択した瞬間に、残りの99パーセントを失うことになるのだ」と
それは冷酷な ....
戦慄の瞬き、濃緑のうねり
冷え冷えとした岩峰、空に貼り付き
街道に沿って、男は進む
連れの女の乳房は揺れて
朝の四時まで密室に二人
都会から、遥か離れ人影無く
恐怖にすくむ、ガード ....
夏が来る
懐かしい夏が来る
一度として同じ夏はなかったのに
懐かしい夏が来る
そうなんです
夏が好きで泣きたくなる
涙を流すのは
恥ずかしいことだと
思っていた少年時
伸び放題の雑草 ....
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