謎が多すぎて
こたきひろし

謎が多すぎる
のに
肝心な謎の正体がわからない

謎が謎を呼んでいるからだろう

謎の数を数え出すときりがない
羊みたいに眠れなくなった夜に数え出したが
余計に眠れなくなった

夜更けに降り出してきたのだ
なぞなぞの雨が
答えられないから
右と左の耳を
右と左の手でそれぞれ塞いだら
聞こえなくなったのだ
全ての世界の音が

いつの間にか
眠ってしまったらしい

全世界の黄金が一同に集められ
金粉に削られて
空に舞い飛んでいた

まるで完結のないドラマだ
得体のしれない不安に
神経が炙られる

帰れない
出発できない苛立ちに
思わず爪を噛んだ
爪を噛んだ


自由詩 謎が多すぎて Copyright こたきひろし 2021-05-13 01:02:55
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