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でたらめで、バラバラで、どこからでも飛んできて、どこへでも飛んでいく、そんな君だったけれど、君を構成する粒子は少しずつ君自身の色を帯びるようになってきた。

めちゃくちゃで、ぐにゃぐに ....
新しい住居には新しい生活の角度と密度がある。そして空気の中で鳴る音がすべて新しい。新しい住居に越してくるとき、引っ越しをほぼ一手に引き受けた私は疲労から風邪を引いた。風邪は水のように満遍なく妻をも満た .... もうすぐ生まれる君へ
いつか語り伝えたいことがある

君が懐胎されてから
初めての心拍確認の日まで
本当に大丈夫なのか
ちゃんと生きていてくれるのか
不安で心がいっぱいになってしまった
 ....
新しい家はマンションの1階がいいわ
君は未来の住居を思い描いている
チャイルドシートは長く使えるタイプがいいわ
君は未来の子どもの姿を思い描いている
名前としてはこれとこれとこれがいいと思 ....
君と初めて出会ったとき
ひとすじの命の流れが
恥じらいながら軽やかに跳躍した

君と一緒に旅行に行くたび
ひとすじの命の流れが
その深い色を一層深めていった

君と結婚したとき ....
大きくなった君のおなかに
毎晩クリームを塗って
赤ん坊に声をかける
人間の果実は君のおなかに実る
この果実の中では赤ん坊が
手足を動かし呼吸していて
少しずつ人の形として熟していく
 ....
安定期に入った君は
おなかに子どもを宿して散歩をする
今日は前から気になっていた
新しい道を歩いてみたの
子どもはきっと変化を好む柔軟な子になるだろう
今日散歩していたら
空き店舗にラ ....
僕と君はお互いに色を塗り合いたい
おしゃべりは絵筆の一刷き
互いにおしゃべりすることで
相手に色を塗り合っている
君は思い出話で僕を桃色に塗る
僕は仕事の話で君を水色に塗る
そうして互いの ....
僕の人生と君の人生は紅葉を編むように交じり合った。僕の命と君の命は流血事件の後のように抱き合った。これまでの二項で紡がれる世紀に急襲する新しい三項目が、いま世紀を全く新しい流域へと変革していく。これか .... ご飯を炊いて
魚を焼いて
味噌汁作って
食事をする
生活の回る
快い音が聞こえる
幸せとはこういうものだ

洗濯をして
ベランダに干して
部屋に取り込んで
きれいにたたむ
 ....
食材と調理器とのパズルを解いて
今日も君は正解を導き出す
その正解は少し焦げていたり
しょっぱかったりするかもしれない
だが少しの偏りはみな正解である

料理と僕とのパズルを解いて ....
本質は本質として朽ちていき、装飾や細部にこそ神は宿るのだった。仕事は論理によって組み立てられた城であるが、その堅固さを基礎づけているのはむしろ至る所にある建具の装飾なのである。龍の形をしたり雲 .... 葉が咲いている
膨大な緑素の内側に隠されていた
すがすがしい高熱が
いま葉をじりじりと焼いている
葉を継ぐものたちへと自らを遺すため
いま葉は美しい自殺を持続している
葉は世界の画素と ....
一日が浮遊しはじめ、太陽とともに旋回するに先立って、私は何かを収穫している。赤やピンクや白で美しく色づき、うっすらと毛が生えているこの「桃」と名指される何かを収穫している。夏の果樹園には一面に記号 .... 快晴の空に
描きたいことは尽くせず
快晴の空から
雨でも雪でもない
何かが降って来ることを期する
快晴の空は
毛布のように柔らかく
どんな硬いものでも包み込む
快晴の空は
分 ....
〈孤独の光〉
人は多くの孤独を抱えているほど豊かな人間だ。
仕事に就いて人と沢山情報交換していると孤独は消えてしまったかのように思える。
だがそのときいよいよ光を増してくる孤独の数の分だけ人は人 ....
冬の初め、リンゴの収穫の合間に、友人の車に乗って文化センターの展示を見に行こうとした。時候の挨拶のような何気ない会話をしているうちに、車が急に左に寄って、コンクリートの壁に斜めにぶつかっていっ .... 殺人事件が起きたとテレビが報道した。現場のマンション付近からレポーターが事件のあらましを緊迫した口調で話していた。テレビには事件の重大さを示すようなテロップが表示された。別れ話がこじれて男 .... 始まりと終わりはどこまでも流れ落ちていくので
現在の幅に射し込む水の光だけで流れていく渓流
岩は感情のように水の流れを変え
木の葉は矜持のように水の面を彩る
僕はその川の方向のよう ....
そんなに汚れた動機なんていらない そう思って動機を片っ端から捨てていったら 動機は全て消えてしまった そんなに美しい結果なんていらない そう思って結果を片っ端から捨てていったら 結果は全て消えてしまっ .... 月日に月日が掛け算されて
人と人とが割り算されて
登りなのか降りなのか分からない階段を
一段ずつ 時には一段飛びで
川底に延々と流し続けた
枯葉は月から降ってきて
腐ることなくきらきらと石 ....
散歩者たちが、特に詮索するのでもなく、歩行の余興のように視界の端にとらえておく果樹園。それは、少し中に入ればわかるが、空間を切り開き、うねるようにして迷宮を作り出している、風の身体によって隅々まで踏み .... 私は実家の南にある野菜畑で産まれた。私は幾重にも重なった肉の皮の中で、羊水に浸されながら、地下にへその緒を差し込んで、水分や養分を吸い上げて少しずつ成長した。その肉塊が十分熟したとき、肉の皮は一枚、ま .... 言葉が沢山散らばっている野原で 僕はその言葉達の背後にある哲学を編もうとした 多種多様な関係の枠組みを総動員して僕は一個の一貫した哲学を読み取ったつもりでいた だがもう一度その野原を眺めるとその哲学も ....  詩はなぜ「難しい」のだろうか。詩はなぜ「わからない」のだろうか。それは、「わかりやすい」文章が一義的であるのに対して、詩は多義的であるからだろう。解釈が一通りに容易に定まれば、何も難しいことはない。 .... 林檎や梨が
その位置を偶然から必然へと動かすとき
その表面へ差す光は
外部に言葉を与え 内部を言葉から離した
再び
林檎や梨が
その位置を必然から偶然へと移すとき
昼の底にある闇が
 ....
存在するということは いつも決まって挨拶だから 時間が渦を巻くところに 僕も決まって挨拶を返す 今日も歴史が生まれましたなあ いえいえ単なる磁場ですよ そうして僕は踵を返し 存在しないということは い .... 二人のホームレスが同じ公園に暮らしていた。一人は家庭の不幸により、暫時行き場所を失った優秀な青年。もう一人は幼い頃からの窃盗の常習犯で長く浮浪生活をしていた。二人は意気投合し、配給される食事を一緒に食 ....  文学と社会科学は無縁であるかのように思われがちだし、実際、文学をやっている人間が社会科学に明るいかというと必ずしもそうではない。むしろ、社会のことなんてそれほど興味がない人がたくさん文学をやっている .... 四つ葉のクローバーはたまにあった
摘んでみると奇形だということが分かった
君もまた奇形だった
五体満足だったが理知の骨がない
幼年の輝く混沌、その奇形
大きな闇に覆われ、大きな光に開かれてい ....
鵜飼千代子さんの葉leafさんおすすめリスト(39)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
人生が始まる- 葉leaf自由詩122-9-25
妻を苦しむ- 葉leaf自由詩321-5-13
伝達- 葉leaf自由詩221-5-13
風船- 葉leaf自由詩221-2-22
ひとすじ- 葉leaf自由詩121-2-12
果実と花- 葉leaf自由詩221-2-7
散歩- 葉leaf自由詩121-2-3
色を塗る- 葉leaf自由詩121-1-10
妊娠- 葉leaf自由詩120-12-19
幸せ- 葉leaf自由詩519-11-6
料理- 葉leaf自由詩119-8-19
三十五歳- 葉leaf自由詩417-7-31
紅葉- 葉leaf自由詩416-11-3
桃獲り- 葉leaf自由詩116-8-14
快晴- 葉leaf自由詩216-2-21
人へ- 葉leaf自由詩214-7-10
被害- 葉leaf自由詩1113-12-11
事件- 葉leaf自由詩113-11-19
無色の欲望- 葉leaf自由詩513-9-27
twitter- 葉leaf自由詩813-9-3
老年- 葉leaf自由詩613-6-8
果樹園- 葉leaf自由詩513-5-24
- 葉leaf自由詩713-5-24
twitter- 葉leaf自由詩813-5-21
山田亮太詩集『ジャイアントフィールド』について- 葉leaf散文(批評 ...9*13-5-19
静物- 葉leaf自由詩713-5-14
twitter- 葉leaf自由詩713-4-17
詩想- 葉leaf自由詩413-4-7
社会科学と文学- 葉leaf散文(批評 ...3+*13-4-4
奇形と世界- 葉leaf自由詩613-3-26

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