ももこ
津煙保存


 どこにでもいる野豚
 愛されているようだ
 とてもまるまるとした体
 分厚くて堅牢な肉の張り
 つややかな桃色の毛並み
 支える四肢の尖るつま先
 飛び出た大砲の黒い鼻先
 与えられた小屋で暮らす
 アスファルトの上の
 電信柱のそばで
 マゼンタの水玉の首輪と
 しわくちゃな毛布の上に
 排気ガスを吸いながら
 顔をこすりつけながら
 伏目がちに睫毛を下ろし
 疲れたならねむる
 今日もまたねむる
 ねむっている




自由詩 ももこ Copyright 津煙保存 2021-05-10 13:38:33
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