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脳みそを溶かすような金麦のジュワっとした喉越しに
今日の海を溶かし、流し込む
夏の味だって、まだ梅雨真っ只中だけど
スイカの匂いと塩素のつーんと痺れる感触が瞬時に思い出される
夏、というワード ....
早朝の総武線快速のホーム下り列車を待つ
自殺防止に設けられたガラスに鈍く、私の足元が映る
ふと、地元の塚に立つ墓標を思い返す
戦争で亡くなった英霊を祀る、神聖な墓標
その横に無縁仏を祀る墓 ....
「きょうのあなた」
昨日は 自動販売機
今日は ミルクせんべい
毎日変わる お気に入りを
クリームパンのような手で
かかえながら
まんまるくなっ ....
琥珀色のぬらりとした
リボンのようなハエトリ紙を
白い壁の間借りした部屋に垂らす
夕焼けに光るそれはまるで
蜜をたらふく蓄えた大樹のようにみえて、
懐かしい実家の情景を誘って ....
あるのかないのかわからないかみさまの
偶像に思いを馳せるよりも
台風の後のオレンジ色にひかる
空と雲の中に よっぽどかみさまをかんじる
奇跡なんて信じていれば
起きるわけではなくて
傾 ....
・落下女
その両手を手放した瞬間から私の落下は開始していた
たまに香る金木犀は私を拒絶した時のまま咲き誇っていたから
もう望むことを忘れた脳内では
いくつもの事柄が変換されては生えて、 ....
蝶
小さい頃
簡単に見つけられていた
色のない蝶々が
最近見つけられなくなってきた
視界の端で
鋭利に騒ぐ蝶々を
捕まえてはネットの中に
押し込めることを
よく していた ....