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なんてことはないんだ。

今朝、母は雪を見ながら(正確には彼女にしか見えていない雪だ)卵焼きを作った。
キッチンに立つ母を見るのは久しぶりだけれどやはり、しっくり、とくる。
料理をするために洋 ....
真夜中のとばりに一人きり
風の音に目を覚ます
横に眠っているはずの君は
ここにはもういなかった

君は私の右腕に頭を預け
その髪の匂いに微睡んだ夏
あれからいくつもの季節が過ぎたけど
 ....
硝子細工の
幾つかの重なりは
小さな風の溜まり場をくるくるとかき混ぜて扉を揺らし
丘に続く小道を夢見るのです

夏が降り
気まぐれな模様を織りなして
あのひとの指に留まった雨粒が私の
 ....
きみの手のなかにあったもの
僕はそれがすきだった

きみの手のなかにあったもの
僕はそれがまぶしかった

きみの手のなかにあったもの
それはきみのたいせつなもの

あなたの手のなかに ....
「寒い」
と君は呟く

君に街外れで告白したのは
怖かったから
君はそんなふうに
すぐ
逃げるから


「寒い」
と君は呟く

僕はその頃
埠頭で潮風の匂いを嗅いでいた
 ....
どうせなら一度くらい殴っておくんだった
そうじゃなければ愛しているとでも言っておけばよかった
見上げたり見下ろしたり
飽きもせずよくそんな遊びを続けていたもので
今になって思い返してみれば 何 ....
中心へ向って途絶えない無数の
緑の中に駈け寄って

眼の後ろで呼ばれた光は
しだいに
向かい合わせた最後の場所で
塵に変わりゆく扉に刻まれても
痛みのオウトツを識らない

薄まら ....
君が眠っているうちに
パンが焼きあがったみたいです
お母さんはお父さんを呼び
小さな女の子はテーブルを手早く片付けて
髪を撫でてもらいました

君が眠っているうちに ....
                   − 素子へ、特別版 −


子供の頃は戦後のモータリゼーションが
発展し始めた時期で
うちの車は初代パブリカのデラックス
その頃は車のグレードと言った ....
黒い猫は雨に打たれて可哀想でした
可哀想だったけど暗い路地裏にいたので
誰にも気づかれないで一人でにゃー、とかぼそく鳴いているだけです

冷たい雨が
猫を打って


誰かに拾われたほう ....
沈みかけた夕日に
灰色のカーテンを浸せば
世界は爆発する


 *


うつくしい言葉を残すのはやめろ

あれは悲しみで あれは俺じゃない
多感な馬鹿
果敢な馬鹿
彼岸の馬鹿
此岸の馬鹿
対岸の馬鹿

たおやかな馬鹿
物静かな馬鹿
小うるさい馬鹿
夢見る馬鹿
現実の馬鹿
石橋を敲いて渡る

三途の川も馬鹿
地獄 ....
さかさまつげ と診断され
父に手をつないでもらって
眼科に通って いた頃

診察してくださった先生は
遠くをみつめなさい と言った

遠くの山の緑 遠くの景色を
とても 眼にいいか ....
消えていく記憶の
映像はやがて
色あせた
一枚の写真になって
避けられない風に
彩りをながしてしまうの


くるくると
回る
地球儀の おと


重ねた手のひらの微熱 ....
君に伝えたいことがたくさんあって
電話しようと思って君の電話番号をディスプレイに表示してみるけど
どうしても発信ボタンを押せない

僕からの着信コールを見て君はどう思うだろう

不安がよぎ ....
指でつなぎとめ
奥にひろがるはずの
水をかくした葦の
叢で
わらい戯れてひそみ
その口をふたぎあって
ちいさな音に身を寄せ
ぬくもる鳥となった

あたたかい日に歩こう
の約束は ....
夕闇に
かみひこうき
投げて

どこまで
飛んでいって
くれるのか

思い

馳せる

季節は春めいても
頬を撫でる風は
まだ
冷たい



ふと
隣に居な ....
 季節の名を呼ぶな。白紙のような、はじまりのような、実際にはでたらめの
地誌。そんな緯度にバビロンは無いぞ。想像上の怪物、あなた。私はすぐに忘
れてしまう、砂粒のようで、出かけようとしている、広が ....
そら に わ 
ゆび で かいて

わたし の へや

すっかり ながれて
みえなくなる けど

ずっと かお あげて
そこへ きっと 

すわって 
そよいで
ながれて ....
君は

紙飛行機の

折り方を

知っているかい





空に投げつける

紙飛行機の

ことじゃないよ




 ....
指先であそぶ旋律がピアノの鍵盤の上を流れて 
部屋に溢れるやさしい音階のすきまに
天球図は青くひろがってゆく
東のかなたの
さそりの心臓は自ら発火し
そのきらめきは引き出しの奥で眠るルビー
 ....
天気のいい日はたまらない

家からは出ない
窓も開けない

 (つらいのだ)

去年の夏は猛暑で
「来年の花粉はひどいでしょうね」と
誰かが言っていた


   *


 ....
天に輝く月をみあげて
あれが欲しいとおまえは泣いた
水を両手にすくいためれば
掌に小さな光の幻
それは本当の月じゃないと
おまえは唇をとがらせる
おまえの見ているその月と
今手の中にある ....
なんで 私が
あなたの詩が好きかっていうと
ソウルフル だからだよ

どんな アプローチでも 言葉も形
完璧じゃない

音や みてくれから くるものが
ほっとけない感じなんだ
 ....
買ってくださいとうつむき加減に
冷えた指先は白い花を思わせた
不幸を売り物にできる時代じゃない
他をあたれよと背を向けたとき
飛ばされた風に散らばる花片
見開かれたままの瞳は残像をとらえ
 ....
歌が聴こえない。
碁盤の目の街角で、
うなぎの寝床のその奥で、

紋屋町に紋はない。
糸屋町に糸はない。
今織町に今はない。

上七軒の花が枯れている。
織機の歌が聴こえ ....
さしこむ月明かりに
浮かび上がる
窓枠におかれた青白い手
古びたホログラムのような
その手の
輪郭が、ぶれ
はしる、ノイズ
握られたナイフの
かるい重み

ナイフは澄んだ鏡
凪い ....
やさしい音楽しかきけないときがある
と二度書いて消した
書けば書くほどに
それでいったいなんだっていうんだろうという気がしてならなかった
人間が正しくないセイブツで、言葉と表情を持 ....
いなびかりが消える前に
濡れた制服の女の子に
ワイパーが生む摩擦に
思い出してしまって大変
黙って指なんてなぞる

雨に拒絶された車の中の
あなたとわたしと蚊
輪郭があ ....
つづら坂のてっぺんが赤く燃えて
曲がり角のそれぞれに暗がりが生まれる
それがくねくねと蛇のように眼下の町へ
影法師が一組
手前の角の煙草屋の暗がりからあらわれて
穏やかな夕日にそっと目を伏せ ....
北大路京介さんの自由詩おすすめリスト(16330)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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IN_YOUR_HANDS_- 逢坂桜自由詩5*05-5-21
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引き出し- 自由詩1105-5-17
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沸点の雨- ________自由詩8*05-1-16
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