立春
次代作吾

立春の日
わたしは何も見ていなかった
空の青さも
道端のサムシングも
自分も
すべて が通過し
何も心に残らない
右足を前に出し
つぎに左足を前に出す
一瞬一瞬を生き延びている
苦痛の根源がここにある
一冊の名著だって気休めさ
明日になれば
また陽はのぼって
無慈悲に西へ沈んでいく
なんという暴力だろう
春が来るなんて
グーの手で
あっちの方向へ
押し出しておきたい
抜けがよくなったらおしまいだ
抜けがよくなったらおしめーだ。


自由詩 立春 Copyright 次代作吾 2017-02-05 01:24:31
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