缶切りで鯖味噌缶を開封し背中まるめてわぶわぶ食べる
薄荷飴ひとりで舐めてさびしがる君のことなど想ってみつつ
朝刊の明朝体が目に刺さる夜明けどこかで鳥が鳴いてる
晴れた日の午睡が好 ....
サイダーは陽射しで
わたしはまなざしに
溶けてからんと音がなる
はずかしいくらいに慾をむきだしにして
蝶々が卵をうみつける
濃い影が床を一周するあいだに
わたしたちは手をつなぐ
....
風説
風に喰われたページ
歯形
柔らかく
ソフトスクラッチ
紫陽花の葉半分
雨に討たれて
映える
花
雫
蝸牛
本を閉じて
君を見つめて
風殺
エロシズム
欠けたページは ....
宗教上の理由で
挨拶 謝罪 感謝等
封印してみた
朝起きてメシ喰ってたら
年上の同居人が
「おはよう。」
を無理強いした
ダッフルのフードに
マフィンかくして
家出するしかなかっ ....
山奥の針葉樹林で生まれた
朝露のひとしずくは
無数のひとしずくと共に
苔や羊歯の間を縫って
ひたすら傾斜に従う流れになった
渓谷では
無邪気にはしゃいで
いたずらに透き通って
....
指からこぼれる うたをうたう。
喉からあふれる うたをうたう。
食べるように 眠るように
あたしは毎日 うたをうたう。
醜く 大きく育ってしまった
ジャガイモの芽
不気味な赤紫色のそれは
えぐって
調理をするのも
はばかられる
見たくない
もう 芽は養分を吸い取り
ジャガイモも少し
シワになっ ....
*一時限目 数学*
美しき微分/麗しき積分/淫らな糖分=知性の所望するもの<睡蓮たちの睡魔
無限の輪っか((エタニティー=ハニーディップ×2))
を、黒板の隅に小さく描く
カリカリカ ....
電停をおりて橋を渡る
引き潮の時間に
この川を見るのが恐い
川底の石たちが
洗い流されるのを
見るのが恐い
少し濁った
なま暖かいような
満ち潮で
どんよりと凪いでいる
昼 ....
魚になろうって
きみが言ったから
ふたりは裸になって
思いっきり水になって
魚になった
重たい水をおし開く
揺れているきみの顔が
泡つぶだらけで
ひげのある恐い魚にみえた
魚 ....
こんなおとなに
なるはずではなかった
きょうもどうようを
うたっている
こどもたちはためらいなく
じゆうにものをうみだせる
おとなであるおまえはもう
だれかのまねしかできない ....
泣きながら走る時は雨の日がいい
首を抑えて注射を打って穴を掘って埋める
昨日は4000頭
叫びながら走る時は雨の日がいい
10km圏内じゃもん判ってる
今日は5000頭
....
屈折率がちがうので
液体があるのだとわかった
ひんやりとした
理科室が好きだった
フラスコやビーカーやアルコールランプの橙色をしたたましいみたいな火
....
隔てられた 闇の空に 瞬く星は 儚くて
・*・〜・*・〜・*・〜・*・
5/29「自由詩」につづく
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=211219 ....
私の実家の犬には「ハナ」という名前があった。だが私はどうしても「ハナ」と呼べずに「犬」と呼んでいた。自然との流動的な親密さに耐えられなかったのだ。
「ハナ」という言葉は他人の所有する暗がりのよう ....
微かに発泡する空気の後味と
聞き覚えのない鳥のさえずりが
夢の波打際を漂う意識の
頼りない輪郭をなぞっていった
縺れ合った昨日までの経緯が
きれいに解けたような錯覚を
心地良く引き ....
生きていく事がひどく
滑稽に思えてきたのです
紡いでいく朝
邪な思いを甘やかす小部屋
この道の先にあるものは
高が知れているだろうに
私は今日も滑稽な光に
身を委ねる
怒声が聞こえない
クラ ....
海岸線に寝ころんで
国の皮膚が破れたところを見ている
ざぶざぶと水が侵入しては
さらさらと砂を溶きほぐして
ありきたりに
去って行ってはまた侵す
起き上がり
波打ち際に立って
まだふれ ....
・
衣替えが近いので
冬服を夏服に入れ替えることにした
天袋の奥にしまいこんでおいた段ボール箱をおろし
夏服を一枚ずつ箪笥の引出しにおさめてゆく
最後に
去年の夏によく着ていた
さくらん ....
ばあさんが男を一人しか知らないとしても
人生の物足りなさはそこに在るのではなく
今日もやかんの熱湯をポットに注ぐことや
皺だらけの寿命の尽きるのが
再来年でも明日でも変わりはしない
そのこと ....
落ち着いて。死はまだそこまで来ていない。
大丈夫。私があなたを抱きしめなくても大丈夫。あなたを抱きしめてもあなたから恐怖は去らない。その恐怖に根拠はないのだから。その恐怖に根拠がないから、あなた ....
雨の音がまるでオルゴールのようだと、ナナが言った。
僕はオルゴールなんて見たことがなく、それがどういうものなのかは知らない。そう言うとナナは目を丸くして驚いた。
「ゼロはオルゴール ....
気圧の上がらない交差点で
空を見上げた
そこには少しの眩しさを残して
手の距離よりは遥かに遠く
銀鼠の雲が広がっている
知らない街の知らない人々が
交差点とは名ばかりで
これからも互 ....
きき手の手首が
にぶい痛みを届けてくる
午前二時に起きて
針を持つ
からだの芯部から
花びらが
溢れて
とめどなく溢れて
殺風景な部屋を赤やピンクに
踊らせる
女は陽炎を抱えき ....
鯨に住んではや十八年。
十八年間ひきこもり。
一度も外へ出ちゃいない。
積もり積もった借金のがれに、苦肉の策で鯨に住んだが、こいつが案外居心地がいい。
絶対安全な隠れ家を貸します、ってんで ....
金を使っているもの
だけでなく
ほら
この錆び色の茶碗も
....
雨粒の 2つ重なり落ちる如く
君と重なり
落つる術なきか
ブラウスの
透けて露わるる細腕に
心俄に騒ぐ夕暮れ
雨に濡れ
走るおんなの横顔を 目に焼き付けたる
....
わたしのフガイを見ませんでしたか?
ちょうどあなたと出会う前に無くしてしまったようです。
だから偶然あなたに会っても
あんないフガイ無い会話しか出来なかったのです。
あの時、私のフガイ ....
{引用=
空っぽの水瓶がひび割れる音がする
誇りを失ったその時は殺して
無様に誰かの足元に跪くことのないように
空想の純潔を
手折る薔薇を
遠視する愛を
合わせ鏡に映して
時々 ....
うみにいったら
なつかしいにおいがした
血と肉がまじった
たぶんこれは
おなかのなかでかいだ
におい
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