テイブルの下に
ひきっぱなしの布団
みかん転がり落ちてるよ
段ボールから猫
なんもないのはわかってるんだ
ポンコツ話も聞き飽きただろ
こっちもうんざりしてるから
冷蔵庫にはたまご ....
引出し開けて眼球を愛でる
価値を産む祝祭の時の色
頭脳で汗かく情報煉瓦
起立するペニスと勃起するミサイル
濃霧に馬の後光の疾風
もっと話を聞かせてくれませんか
そうしたら、
あたしは、言葉のあいまに置かれた
なだらかな読点【、】に背をもたせ、
気まぐれに口をつぐむあなたの 数知れぬ句点【。】の
小さなその ....
うちがわにうちゅうがあるから
ふとんから
でられない
たいくつはしてないんだけど
ひとに
おこられそうだな
*
*
*
*
*
すもももももも
すみずみまでみずみずしい
ほしふるよるに
ビクターのいぬ
*
すやすやとやすらかに
....
深刻ぶるロックで動機づけて
釣り堀から川へ流れ出る水
魚が跳ねみぞれ白く転ぶ
山小屋で地図と革命のタイムテーブル
銀河に殉ずる仏群の大光
*
*
電車をおりたら、正しい冬の予感がした
冬の匂い!
冬の匂い!
冬の匂い!
冬の匂い!
冬の匂いが冬の匂いで
あたしはとっても幸せだ
今年の冬はシチューのC ....
{引用=
悲しむことなどいつでもできるのです
とどかない想いは、手にあまるほどなのに
あきらめない
今という日をすごす 今日
透明な引き潮は、
小さな入 ....
あをによし
奈良のみやこの若葉の頃は
群青 {ルビ縹=はなだ} {ルビ甕=かめ}のぞき
{ルビ藍濃淡=あいのうたん}に夜が明ける
{ルビ瑠璃=るり}{ルビ玻璃=はり}きらり
渡来の品を
....
前衛・側衛を薔薇で固めよ この行進に
軍服に階級章ナシ ゲリラ戦
暗闇にまぎれ上陸するボート
インドラと閃きつつ俳・諧
孔雀音もなく羽根ひらく
庭園に ....
あいという
あめだまをなめました
なんだかくすぐったくて
とけていくのは
じぶんのほうじゃないかって
ふあんになったので
はきだしました
すこし
こわかった
いぬは
....
家に静けさが降っているとき
五人の家族の顔は
お互いそっぽを向いている気がする
わたしはひとりで居間にいて
天気が悪いからって
掃除機をかけようかどうか迷っている
母は体調が悪 ....
タールに浸した翼を
バサバサと音を立てて
羽ばたこうとしている
悲しみはついに水源に至る
さるご婦人から頂いた
ラヴェンダーの香水を
春先に洗面所で誤って
落として割ってしまって
....
冬紅葉 鴉の瞳を染めて降る
凩や 潜熱の葉に森燻ゆる
*
....
{引用=off
部屋の明かりを消しても
真っ暗にはならないんだね。
夜たちからは、もうとっくに
ほんとうの夜なんて
消え去ってしまったみたい。
街灯の光がカーテンを透かし
....
木漏れ日から漏れたような
あなたを愛してみたい
ヒヤシンスの花のように
あなたを信じていたい
画家が描く睡蓮は光りに包まれて
沼の底まで生きている
そこは何処にあるの
額に収められたあな ....
どちらかといえば左
ひじは伸びる
壁紙を引っかく
高い窓の{ルビ顰=ひそ}みへ
うでを投げた
なでるのはちり
照り返しの灯
冷たい外気と通じたい
幼いころの無性の眼で
黄金色の空 ....
詩は世界を構成している
移ろう空の色
道端の小石
花びらのまあるいカーブに
詩が宿っている
だから
世界は詩で造られている
そんな気がするんだ
インドでの最後の日
褐色の海に
トビウオが跳ねる。
海底油田の採掘船の間をすりぬけて。
少女たちが物乞いをしている。
海を背にして。
彼女たちは自営業者なのか、と私は考える。
それと ....
一瞬の中に永遠があった
女の顔に夕闇があった
わたし
たちは
あえぎ、つぐむ。
怒りの中に悲しみ
嘘の中に真
光の中に闇があった
灰の中に黄金があった
王の中に奴隷がいた ....
その響きと
余韻しか知らない街で
親しく投げ交わされ
胸にぶつかっては
つぶれて香るトマト
ことこと煮詰めたソースは
ちょっとどころか
すごく甘くて
ふわふわした湯気のなかで
舌がト ....
ふと君と出会ったので
なにを思ったのか
結婚する気になってしまい
程なくして言葉に出してしまい
ふと言葉に出してしまったため
なにを思ったのか
結婚することが現実的に思え
程なくして ....
すべての人はかならず一度は行ったことのある場所
そこがカナシミビトの森
そこに行き着く道は誰も知らないが
ふかくふかく哀しい時
いつのまにか辿りついている森
そこにはカナシミビトが住ん ....
いーち、
にーぃ、
さぁーん!
四丁目の公園のわきを通ると
子供たちが叫んでる 一斉に
数を数え
数と数えられ
くたびれくすんだ任意の整数が
時速5キロの自転車で
....
新宿駅連絡通路できれいなひとに呼び止められた
朗らか過ぎる白い歯並びと
しなやか過ぎる姿勢の妖しさと
「あなたがあなたらしく生きているとき人は美しい」
白い歯並びからのぞく跳ねるような ....
よかぜはふく
ぼくらのたに
よかぜはひく
あのひのせいざ
よかぜははこぶ
よぎしゃのおと
よかぜはともす
ぼくらのえき
ぽつんとともす
わたげのいのり ....
わたしが
何も話さない事を
見破ると
あなたは
去って行きました
入れてと
言えなかった一言を
笑顔で
打てなかった相槌を
わたしも
少なからず
持っています
だから
....
駐車場のわきに
見知らぬ実のなる木があって
くるりとくれよんで描いたみたいな
小さなきいろい丸いのが
道にいっぱい落ちていた
わたしはつっかけサンダルの
ぴんくのつま先でそれを ....
年老いた魔女の許にクロネコがやってきた
魔女が乾いた血で拇印して届けものを受けとると
それは空の寿司桶だった
いやよく見ると空ではなく
透けるほど薄く切られたガリが貼りついていた
魔女は見落 ....
ゆうがた 河川敷でキャッチボールをする
おじさんとの日課だった
しばしば深い草むらにボールを見失う
ボールは地球の卵だからな
すぐに地球のふところに帰りたがるのさ
おじさんの口ぐせだった
....
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