いつからだろう
わたしがわたしに
なれてしまったのは
やわらかなしかくい世界で
まるくなったとしても
とがってみたとしても
しか ....
なぜあなたは顔を少しだけ見せて
ほかの所へ行ってしまうのですか
諭吉先生は僕を嫌ってるのですか
聖徳太子はそうじゃなかったのに
僕に寄り添いつづけてくれたのに
聖徳太子は僕を愛してくれた ....
子供の頃
ぼくは信じていた
何処か遠いところに
黒い湖があって
そこには首長竜が棲んでいる
(お父さん
黒い湖はどこにあるの?)
ぼくが尋ねても
お父さんは何も答えずに
....
買えません愛がどこかで売ってても お金が無いし働けないし
拾っては捨てる神しかいないのか次は死ぬまで愛されてたい
本なんて読んでる場合ちゃうかった正面の席美女座ってる
右腕にマリコ命 ....
暗い 暗い 夜の淵を歩いていると
君が生きていた頃を思い出す
君は何も話さないで
静かに笑っているだけ
何も考えずに歩みを進めてみる
そのうちに僕は痛みがあることも忘れる
だんだんその ....
車庫へ還らぬバスは
停留所にも停まらない
ただ辻々で
わずかな客を乗せて行く
代金は要らない
誰もが代償を払っているから
今日は五人だけ乗っている
眼鏡を失くした男と
手紙を置いて ....
うまれると
もれなくしが
やくそくされる
しはなんだろう
うまれるとは
いきるとは
なんだろう
わたしはいま
はるをまっている
りゆうもなく
まっている
....
はじめての電話口での溜め息は
恥じらいながら憧れの色
「何色か聴いてみたいなきみの声」
「歌った声に似ているみたい」
話す声は低いのに不思議だよね
愛(かな)しがる声は高くな ....
遠くのほうで 貝殻色の天蓋に
やがてちいさな穴があき
こぼれる石笛の一小節を縫い付けた
あかるい羽衣の 恵みを象徴してもたらされるもの
鉱物たちがふくんでいる 大きな知恵の営み ....
正午ぐらいに
この公園の上空に
赤い飛行機がやってきて
幾つかの小石を落としてゆくのを
その妊婦はじっと待っている
背板にコカコーラのロゴが
描かれたベ ....
体が溶ける謎は説けぬ
君は去った街に残るのは
涙の水溜まり
途切れなく続いている毎日
心の端の方では落ち着くらしい
ほどけなくなった靴紐には
最終的にハサミの刃をあ ....
妬み、人を羨んで
時間は止まったまま
でもふとした時に還るんだ
で、悔しくなる
自分が惨めにもなるよ
なんにもできないんじゃないかって
今から目を逸らし ....
過剰な感覚
直観の感受
表出する感情
抒情を排し
かわいた言葉に
質感そそぐ
覚醒のとまどい
覚知を求める
覚悟の日々
身をけずり
心めぐらせ
目覚めよ叡 ....
ひらひらと、あたしのうろこがひかる
海の光と、空のひかりに
ひとつづつとしをとってゆくと
かたくかたくなってゆく
こころをまもってゆくんだよ
こわれないようにね
ぎ ....
短歌を超える詩が、あってもいい
詩を超える短歌が、あってもいい
詩人も、歌人も夜はおなじ寝床で肌をよせあって
眠るのだとおもう
今日はもうなにも書けなくて
はやくお風呂にはいってあし ....
すきといってよ
それでらくになるから
なんて、
こんなこと おもう わたしが いやだ
年賀状が届かなかった
そんな知り合いたちが増えていく
高校時代にはじめて付き合って
胸かきむしるように別れた女性から
朝食のサブウエイにいいね!って
そんなに乾くほどの時間が過ぎてしまっ ....
雨を切る
水面のふたえの眼差しを
かたちとどめるまで震わせる
水上に口寄せる雲のとうげ
向こうは見えず雨惑い
みなもとに降る縦糸の舟が
あまさず小道を払いおとし
南の淵から流れる北へ
....
萎み始めた意識の片隅に
かろうじて立て掛けてある
ギターの絃はたぶん錆びついて
降り積もる時間に埋れている
僕の指は踊れないから
意味を探してしまうから
残念ながらギター弾きにはなれな ....
目を瞑っても嫌な事はそこに在る
目を瞑っても轟音からは逃れられぬように
耳を塞いでも恐ろしい事は起こっている
耳を塞いでも嗅覚は異臭をとらえるように
鼻をつまんでも根本事由はごまかせない
鼻 ....
じゅうじか?
ううん
かざぐるま?
ううん
なにかのかざり?
ううん
なに?
しゅりけん
チラシを細く丸めた棒を二つ
十字形に組み合わせて
セロテープでぐるぐる巻いてあ ....
子供の頃
古めかしい三面鏡が
部屋の隅にありました
木目模様の板に貼られた
三枚の鏡はそれぞれに
蝶番によってつながっていて可動式でした
普段は折りたたまれているのだけれど
ぱた ....
あのひとは
気まぐれで意地悪
あたしの気持ちを
試すかのような言葉で
揺さぶりをかけてくる
かと思うと
子供のような
愛らしさ
彼は
いつも 大気のような優しさで ....
なぁ、もう啼いてもいいっしょ?
まだはやかんべ
....
とがらせろ
とがらせろ
ながれのすべてを
とがらせろ
握りしめた力が
入水した紙粘土のように ....
飼っていた黒猫が突然行方不明
家の玄関の鍵は掛けていた
どこか窓が開いていたのか
窓から見える風景は
空っ風舞う冬景色
街路樹の葉はあらかた落ちてしまい
魚の骨の並木道
ふと見る ....
強く高みを掴んだ
脚に力を射して
秒速の息づかいを届けた
筋肉の震え
ハチドリの余韻
ふたごの虹
高音域を続けたのち
からだをつらぬく絹糸
歌はすべて感情から生まれ
歌はすべてあ ....
例えばそれが愛だとして
私に何ができるだろう?
例えばそれが夢だとして
私は何を掴むのだろう?
熱い鉄を溶かしたようなこの思いを
情熱と呼べるとして
....
言葉なんて
なんの役にも立たない夜があった
抱き合った体温が
生きている今を
実感する唯一の術であると
感じた夜があった
舌と舌が出会い
いくつもの嘘を従えて
口腔内で生まれ出た言 ....
あの子は
人間樹木になって
森へ還っていきました
さあ
嘆き悲しむのは
もう止めにしましょう
春には
芳しき白い花を咲かせ
やわやかな緑の新芽を指先に這わせ
虫や蝶を友とし
秋 ....
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