あなたは
毎月というわけではないけれど
三十二日目の決められた日に
季節は流れるのだと言う
あなたは
今日は三十一日だから
明日になればまだ冬の余韻の中
次にやってくるのは春でしょう ....
好きな歌をうたうように
自分の願いを言葉にできたらいい
今日はずいぶん湿った空
暗い雲のむこう側は見えないけれど
きっと今夜もいくつかの流星が
音もなく燃え走る
今日はずいぶん ....
あるひきみは
ねむらないことにした
さみしくなったら
おいでよ
いつでもきみを
なぐさめてあげるから
と、いって
なぐさめられるりゆうなど
そのときぼくにはなかった ....
北 横殴りの吹雪
厳しく美しい その事態を 知らない 彼らが
雪原で 凍えながら 夜空を見上げている きみのことを
南 さらさらした柔かな 砂浜の上で サングラス越しに
スクリーンから 眺め ....
近所のスーパーの駐車場で
学校帰りの中学生が
わいわい騒ぎながらハイタッチしている
その頃
近くの交番の前で
原付に乗った少年が何やら警官ともめている
その頃
そこ ....
うずらのたまごの
からに
お花を挿して
ちいさなちいさな窓辺に飾る
窓はまだほんのぽっちり
かすかなあかりを入れるだけ
川べりをそっとあるく
ふたりで
手なんかつなげたらいいけ ....
いろいろなものを
誰よりも多く掴もうとして
硬くなってしまった
てのひらの
欲張りな力を
少しずつ緩めてみよう
うっかり掴み損ねたものは
そのまま放っておけばいい
本当に必要な ....
ゴジラかよ今後はご飯が放射能
映画みたいといって浴びる放射能
放射能ガンで死んじゃう放射能
原発は嫌いだけど電気は好き
テレビと電気に飼われ泣いたりしてる
....
この場合
祈り
とは、どういった理学だろうか
願い?
決意?
誓い?
善意?
舌先で呟くマゴコロの言葉で何が動き
誰が癒され、どの患部が摘出されるのだ?
こうした言辞は心霊治療を ....
雨が降る
黒い雨が降る
*
夢の島
誰が名づけたのだろう
ぐぐったところで明確な由来などでてきやしないこの島で
静かに眠り続ける一艘の船
東西冷戦の最中
高 ....
何万人死んだって種としては生きながらえている
だからこれは種としての悲しみとは言えない
種の悲しみというものがあるとするならばそれは
生き残った種たちの妄想にすぎない
だから何 ....
ちょうむすびも
おりがみもない
とおいところで
そのこはまだ
だれもしらない
てあそびしてる
おかあさんが
だれかもしらずに
つち
などではない
いのちなのだ
ひとすくいの
つちを
すくうために
きみはいのちに
きがづいた
「当たり前」の皮を剥くと
「ありがたい」の餡が出てきた
わたしはその餡だけ食べた
ある日
わたしは餡をこしらえた
一晩水に浸けて
ゆっくりゆっくり煮て作った
傑作の餡を
「当た ....
ウマウアカの谷に
春が来たよ お嬢さん
ウマウアカの谷が
歌っているよ お嬢さん
聞きかじったフォルクローレが
頭の中でループする
空を突き刺す白い山脈の彼方から
響いてくる ....
けさ
鶯の声をきいた
まだ うまく鳴けない
チョッピリ ハル
と聞こえた
口笛で春を 呼んでみる
チョッピリ ぼくもぎこちない
花の耳をかたく閉ざして
美しく凍えるひとよ
ホ ....
たとえばだれかのこうふくが
だれかのふこうのうえにあるとしたら
それはかなしいことかもしれません
そのかなしみがまた
だれかのよろこびのかてになっていたら
とてもふくざつすぎてもう
た ....
どこにも安定点は
存在しない。
いつも不安定な所に
存在する。
それが生物と言うもの
満足をしたら終わりだ
常に進化し続ける。
環境形成作用を活かす。
悲しみよさようなら
楽 ....
空からいきなりに
恋心は舞い降りたので
ぼくの長靴は
仕事なんか放り投げて
あの子をなぞりに行きたい
たどりに行きたいとさわぐ
やっとあらわれた
あらわれてくれたのだ
光芒が
父が死んだ時も見た
さぞ悔しかったことだろう
今日までここにいたのだ
まだいくわけにもいかなくて
今やっといけたのだ
....
100円にも満たないスープを作ってみたら なるほどお湯より温かい
震えているのは会いたいからではなく 家人のいないからこその遊び
冷たい耳を塞いでみると地鳴りのような音がして 血の乾いたさ ....
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撤退する? しない?
引き際ってあるのかな?
方向転換? 戦略的撤退?
心が悴んだ?
景色が急に日陰した気分?
....
やわらかく
冷たく
甘い
蜜のかおり
深々と吸いこむ
吐く息に
漏れる体温が
表面をかすかに湿らせる
そっと
唇をあててみる
....
緩やかに
時は
さみしさと
むかいあいながら
深呼吸する
広島で一番
遠いところが見えるのはどこかときくと
君はちょっと首をかしげながら
「江波山」だねって答える
去年だったかな
それっきり忘れてたけど
遠くが見たいと考えた途端に
君の怪訝な顔 ....
春のほとり
川面に木の葉が舞踊る
夜露には
てんとう虫の直滑降
あわててキャベツにかくれんぼ
朝の花曇り
雲の裾からおひさまが覗く
まもなく主役が顔を出す
一念発起とがんばってみるのは
容易いけれど
がんばり続けることは
なぜか難しい
*
それって三日坊主
だよね
悔いてはみるのだけど
いつだって
他のひとの視線が気 ....
密やかに正体を薄らげる
かすかな雲に七色のにじみ
月はいつもひとまかせで
美しい虹色の夜景を照らす
ネイルを数えるように
なにもかもを数える声
それらすべての合計は
生まれた数に等しい
....
君は
ひとつぶ
哀しみを
螺旋構造に宿したまま
この世に零れ落ちてしまった
ひとつぶ
君は
ひとつぶ
喜びの
光にくすぐられて発芽し
言の葉の二葉を広げてしまった
ひ ....
なみだは
にんげんのつくることのできる
一ばん小さな海です
青森県で生まれた詩人の
寺山修司が書いた一ばん短い抒情詩
・・・
瓦礫の道に立ちつくす
ひとびとの涙が止まらな ....
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