ほどけてしまいそうな
女の子のからだから
春をとり出してならべる
つみぶかい瞳が
まだそこにおよいでいる
名前の知らない五月の旗
活字から顔をあげて
だれをみる
外をみた
窓 ....
ソックス好きのサックス奏者はデラックスなフォクスのソックスをマックスまでサックスに装着。ルックス的にはハイソックスの方がオーソドックスであるがコンプレックスを無くすためパラドックスとしてあえてサックス ....
凡庸なひとりの人の内側に
身を隠す「豆粒の人」は
いつも光を帯びている
脳裏に取り付けられた
あるスイッチが押され
心の宇宙に指令は下り
凡庸なひとりの人の内から
....
夜風を、友よ、
ぼくは、青春と呼ぼう、
黒の日だまりのなかで
ひとりを抱えて
自転車をこいでいる
いくつか光を過ぎて
セルロイドみたいな
外灯のそばの新緑 ....
病人は目を醒まし
言葉にならない声でさけんでいる
葬儀屋が切り取った脚を
箱に入れて去っていく
皮膚は黒かったが
骨は白いままだろうか
もっと遠い窓の向こうでは
咲いたばかりの花が
離 ....
訳もなく
お砂糖の糸の溶けて漂う
コップの中の水の宙が
明るい、そこへ
悲しい左目から順に
預ければいい
ほら
眼球が融けて、眩しい
それから右の頬 ....
寝ている隙にブーツの中のにおいを嗅いだ
気が遠くなるという言葉の意味を知った
君を好きな気持ちに変わりは無い
寝ている隙に鼻毛を抜いてみた
殺すぞゴラァと胸ぐらをつかまれた
君を好きな気 ....
風の強い朝に吹き散らされた雲の放恣な広がり
僕たちの寝乱れたシーツのようだねという君を
横目に見ながら私は昨日身体の中で一度だけ
咲いた水の踊りを思い出そうと必死だった
テーブルの上に置かれた ....
朝起きたら布団がチーズになっていて
僕はトーストになっていたんだ
左脳の辺りを噛みちぎられて
イメージだけで世界は動く
しまった僕の新しい顔はもうない
昨日サンドウィッチになって
全部食べ ....
苦笑いの男は残酷な少女にこう言いました
「生まれ変わったら 一緒になろう」
残酷な少女は少し笑って言いました
「うん いいよ」
そう約束して二人は別れました
苦笑いの男は無知な ....
おでことおでこをくっつけて
君と春のうたた寝
寝息が波のように遠ざかり
いつしか君は夢の中
匂うような春はこんなふうに
小さな子供に戻って
やさしい眠りに包まれていたい
そっとそっとゆら ....
きょう
たんぽぽとはるじおんを食べた
すこしだけ耳が伸びて
神様の声をきいた
あしたは
すみれとばらの花を食べる
すこしまた耳が伸びたら
まだ聞いたことのない
あなたの声が聞け ....
とうめいになる
そらでもなく
流体でもない
ただとうめいに なる
ボクはここにいて
キミを見ている
キミはボクを見ようとしない
意思の力で
とうめいになる
全身で
....
「ここになにかがありまする」
そう言って彼女は化石発掘用のトンカチで
私の胸をとんとんと叩く
いつもの陽だまりの午後
「なにもありませぬ」
「いやいや、なにかあるであろう」
....
BSつけて チラ見しながら 授業案
腰をフリフリ いつしか号泣
生まれ変わったら、
猫になりたい。
生まれ変わったら、
あの人の兄弟になりたい。
あの人と、猫として、穏やかに暮らしたい。
今は会えないけど、その日まで、さようなら。
美はいたるところにある
何も考えていないこと
歴史
寝ているあなたのすがお
すがた
美はいたるところにある
走っていく電車の音
朝はたくさん
昼はときどき
夜 ....
ため息をつく男 という絵画を観ていた というのは嘘
凍り付いた大地 という映画を観ていた というのも嘘
悲しみに暮れて という彫刻を観ていた というのも嘘
失われゆく楽園 という演劇を観ていた ....
ソメイヨシノが いっせいに咲かなくなる
春が やってきてしまった
陽炎の丘を歩く少女 青空色のブラウス
液晶の中を舞うハイビジョンの花びらが
ひらひらと ひらひらと
....
ねぇ
あなたがいてくれたから
わたしこうして持ち直せたよ
あなたがいなかったらわたし
じぶんのいのち
食べちゃってたよ
日だまりに停車してある軽トラできらきら光るホットサイダー
おじいちゃん早く渡りな大丈夫道路は三途の川じゃないから
祝日に国旗を掲げる家なくて家主の世代交代思う
....
私の
心の半分は
麻痺しているので
触れないでね
痛い、とか
冷たい、だとか
そちらの側では
感じられない
ただ
ぴりぴりとしびれるような
ここでない
どこかの空の
....
緑色の体をした
体格のいいおとこのこが
通天閣のまんまえで
しんでしまった
からすは
そう、とだけ頷いて
仕事場である住宅街に
早々に飛んでいってしまった
鋭い瞳は
....
「せんせいのては やさしいかたちしてるね」
いきなり言われたので
僕は自分の手をじっと見た
どうみても普通の手だ
「どういうところがやさしいの?」
血管がういて筋張っているし ....
笑うな
負けてるくせに
余裕ぶったり
開き直ったり
居直ったりして
悔しい思い隠すな
負けてたらその歯を食いしばって
崖っぷちに立たされた鬼気迫る感じで
向かっていけよ ....
穏やかな日々というものがある
一日一日に
棘があり沼地があるのは
ほんとうは知っている
ひとびとは
うまく避けながら果実を探して
今日の美食を味わう
それでも僕は
虹の掛か ....
ひと折り ふた折り 届くと いいな・・
だれかのためなんだけど
だれのためでもなくて たぶん あたしの
折り返しては 悩んでみたり
振り返っては 折り成してゆくよ
あたしに
....
どの経を択ぶも花野
そう呟いて少女が
コスモスの群れに混じる
大げさに手をふる姿に見覚えがある
一八歳の唇の硬さも
一輪を手折って
握りしめた形のまま風になって
彼方から押し寄せてくる
....
ねぇ今どれくらい悲しい?
時が去って
過ぎ去って
失くなって
うずくまって
ねぇ今どんな風におもう?
甲斐なくて
隙間なくて ....
はじめまして うさぎ
大きなうさぎ
隠れ家のうたげまで
丸いしっぽを振ってさ
顔と変わらないでかさのヘッドフォンなんかが
かつて愛を共に真似た
Northって名まえのしろくまに似ている
....
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