いつも
見えてるのに
手を伸ばせば届きそうなのに
淋しいよ
今度は
いつ逢えるのかな
明日 来週 来年 ずっと先
逢いたいよ
アナタに
聴いても返ってくる言葉は
分からない ....
{引用=
緑をゆらす
風は、なおらかに こんなにも
美しいものだから
少しばかり
すずろ歩き
季節をむさぼれば
不埒な 出会いが待っている
ちいさな 会釈
往 ....
次の冬のために
てぶくろを洗う
寒くなると
きまって血流障害を起こす
私のやわな指先を守るための
カバーたち
毛糸で編まれたもの
外国のお土産でもらった
ムートン製のグローブみたい ....
吊り橋の真ん中で二人は懐中電灯を消した
月も山の木立に光を隠した
手を延ばせばそこには異性がいた
何時も顔を合わせている相手だったが
不意に訪れた二人だけの世界に戸惑って
互いに黙っ ....
海藻の匂いが漂い
干し蛸がぶら下がる漁村の道を
おとめは エシエシ笑いながら歩く
焦げ茶色に焼けたうなじを
苦い潮風が打つ
塩をまぶしたような髪をほつらせ
おとめは よだれを拭きながら ....
或る深夜観たいものがある訣でもないのにTVを点けた
想わず眼を見張ったそこには見慣れた歩行器を必死に
掴もうとするいつかのぼくがいた
もちろんそれはぼくではなかった
ぼくと同じ脳梗塞で倒れ ....
「ぼくはなんで泣いてるんだろう」
蛙のルルは、そう鳴きました。
夜空に星が見えました。
星からの光線がとてもまぶしくて、ルルは目をしばたたかせました。
「ぼくはなんで目をしばたたかせてるん ....
春の風は遠くから来ます
夏の風は遠くへ行きます
あこがれ、とは違う
何処か知らない所へと
私を誘います
秋の風は通り抜けます
冬の風は通り過ぎます
喪失を知らしめ
懐かしい者どもと ....
驚きもしない
、中庭から羽ばたく音に耳を奪われる
素麻のキャンバスには西日が翳り
餌を求めに鴉が飛来して来たのだ
立て掛けた鏡の中で時間だけが立ち止まる
瞳の奥には一瞬の戦慄と震え
....
じじからもらつたわらばんしにきらいなにんげんのなまえをかいた。
「静かにしてくださいよ」という声がして、みんな黙りました。
残念です。結局答えは1つしか用意されていなかったのですね。
最初か ....
あるとき学校で飼っていた鳥が逃げ出した。
教室の渡り廊下から
、屋上の手すりを伝い
校庭の門の下をくぐり抜け街路樹の上
(まてよ、鳥かごが何処にあったのか)
、まるで覚えてはいない。
....
生まれろ緑
しずまるな緑
はやまるな愛
普通な愛を
取り戻せ愛を
泣かない夜に
生まれろ緑
いかないでくれ
あなたの思考よ
いかないでくれ
ぼくのなまえにゃ月がある
ぼくはかな ....
130514
昭和へのミニトリップに使うんだから
お客様を乗せられる
程度の良い
小型のオート三輪を調達して下さい
....
田んぼ
乾いた田んぼに水が入って
追いつけないままに去っていった
春の詩をようやく諦める
花菖蒲は元気に咲いている
紫陽花もゆっくり色づいてゆく
発芽した朝顔は満員電車みたい ....
130514
すっぽんの手下となってからは
なりふり構わず
化粧もしたことがない
眉を剃ることも
描くこともなく
石鹸で顔を洗わず
水で洗うから
生 ....
違う私になりたいなんて
思ったことは一度もない
違う私になってしまえば
たとえば
眼もくらむほどの美貌とか
今より
たぶん7センチ
すらりとのびた背筋とか
だけど
あなたに出 ....
風化した紙に閉じ込められていた、雲が、大海原の上空を滑り抜けていく。放ったのは誰。ここに人間が生まれていない時からの、長い旅を終わらせることが出来るのかどうか、その問いを。赤土が日を浴びて紅色の発光 ....
交差点で立ち止まる
君の肩に
桜の若枝が
撓垂れていた
あたらしい通学路に
あたらしい微熱が
恥しげに
淀んでいた
火葬場の匂いのこもる
鉈の重さの
春に
赤か ....
130511
摸倣の得意な伊賀忍
切り隠れ才蔵が有名
擬態が得意な甲賀忍
猿飛佐助が有名
二人そろって
各地の城下に潜り込み
手柄を立てて真田十勇士に ....
名まえのもとに咲く花があるだろうか ことばからはじまる思想があるだろうか
槐、槐 蜂は最初からしっていた こぼれる密の甘さを
槐、アカシア 隣り合っても争わず
咲く白と黄色の狭間に立ってみれば ....
分かり切って
いることだけど
悲しくて
泣くのではない
涙が出るから
悲しいのだ
だけど
本当に
悲しい時
涙が出ないのは
心が空っぽに
なっちゃった
....
ことっ
かすかな音が
わたしたちの奥の奥のずっと深いところから
した
ぶくっ
ぶくっ
おずおず
と ....
近所の人はおじいさんとおばあさんが
一緒にいるところを見たことがない
どっちがどっちにくっついて
おもちのようにふっくらまっしろ
のびていくしわしわ
仏のように柔らかな如 ....
順調に河をくだっていたはずだが
気がつけばこの船は
豪華絢爛な泥船で
狸顔したチワワ数匹
キャンキャン喚きながら
不安定な船の中で走り回り
客の老若男女たち
口々 ....
{引用=
御控えなすって
御控えなすって くださいませ
さっそく御控えくださり ありがとさんで ございます
軒下三寸 液晶一面 借り受けまして
失礼さんに ございます ....
ふかく沈み込んでゆくものひとつ
こころにあった
過不足のない生き方がしたかっただけなのだが
きもち押さえこまれてしまう
沈殿するものは多々あるがちょっぴり異議をとなえてみる
朝の空気にそ ....
電線には 雀
絶対に 会話している風な笑顔で
闇をも すり抜けた
鴉は 怖くない
そもそも 黒い存在を 忌み嫌う理由が
分からないのです、と
溜息を 吐きながら
嘘の ....
見失った目的を嘆いても始まらないのに笑えない茜色の雲ってさみしいし
見誤った人生を後悔すればまた諦めきれない陽が昇るってつらいけど
そんなことはないと慰めてくれるひとも必ず居ることを忘れない ....
「ガチで」と言うのは
玄関先で
火打石を打ち鳴らす音に似ている。
{引用=―M・T君に―}
「てんぎゅうをとりにいこう」
きみがそう言った夏休みに
ぼくらは残忍なハンターになる
もくもくと青空に湧く入道雲
稚魚の群れが回遊する島の海を
ぼくら ....
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