砂漠でプールのチケットを買うような日々
ラクダにのったダフ屋が 指を三本立てる
市営プールじゃあるまいし
いまどきたったの三百円だなんて
ダフ屋は首をふって
金ならいらない これが欲しいんだ ....
書かなくては、と一年ぐらい思って、書けなくて、私よりも書くべき人たちがいるような気がして、(待っていたのかもしれない)、未明、眠れなくて、アイスクリームを食べたら目が覚めてしまった、薄暗い。こんな朝。 ....
告げた
告げられたこともあった
書いた
書かれたこともあった
そんな、繰り返し
サヨナラと書かないサヨナラ
曇の裏側 霧の糸
半分の眠り 半分の過去
器からあふれる
布地の光
闇を描き足す指の痛み
静かに眩む暮れのまばたき
ふいに近づき 消える影
遠のくことさえ知らぬ影 ....
天気予報によると午後から曇り、ところにより雨、らしい。傘を持っていくか一瞬迷ったのち、会社の置き傘を頼ることに決めた。階段をおりて、自転車に乗って、駅まで。いつもの道をペダルを漕いで進み、通学の児童は ....
ROKUROKUBI (ろくろ首)
夕暮れの観覧車に
絡みついた
わたしを解いて
BMWの助手席に
しがみついた
わたしを引き抜いて
あなたの吐息と唇が
辿った
....
土嚢でも背負っているのだろうか
きょうの町は、肩の辺りが硬く強張っている
木陰のところで音楽は重なりあって死んでいる
物欲しげな野犬は吸い殻に鼻を近づけやがて立ち去った
....
明けにヒグラシが啼く
カナカナカナ…
そそっかしい奴
夏の薄明は薄暮に似て
あの個体は感知できないのか
明けは涼しく暮れは蒸すのに
カカカカカカ…
ほら、また啼いている
確かに夜 ....
懐かしいこと思い出しました
ずっと前にこの街から
ずっと離れたところにいた時
唯一の連絡手段が電話であったこと
思春期のタブー
お喋りな母に電話の内容を盗み聞きされること
....
まだ小さかった西瓜は
七月の終わりになれば
大きく育ち美味しそう
西瓜を切った時の
ほんのり甘い香りと
鮮やかな色合いが涼しくする
大きな西瓜がたくさん育って嬉しい
愛情込め ....
体液は
しょっぱく
ああ、なんて
生ぬるい
蒼い夜を仰ぐ
氷点下の月面は寒いだろう
息をするだけで
小さく鋭い氷柱を飲むような極寒
月の海はどれも凍りつき
孤独死をするのにはうってつけだ
氷点下の月面はきっと美しいだろう
....
昨日と同じ時間に起きて
昨日と同じ電車に駆け込んで
昨日と同じ坂を登り
昨日と同じ教室に入る
昨日と同じく昼ご飯を食べて
昨日と同じ友達と
昨日よりも楽しく笑って過ごす
それが今 ....
ぽっかりお月さま
今夜は月明かり
暖かい風が吹いてきた
ブロック塀の上に猫がいる
ゴミ置き場に猫がいる
駐車している自動車の底にも
猫が潜んでいた
ニャア――
真夜中は猫 ....
なにを
いいたいのか
よくわからないけれど
なにについて
いっているのかも
はっきりしないけれど
なんだかひどくひきつけられる
なんだかとてもみりょうされる
そんなしが
....
今日も同じ場所で立ち止まれば
聞こえて来る 母の明るい声
「あんたはヤクルトが大好きでね、
お風呂上がりに必ず一本飲まないと寝てくれなかった。
ある時買い置きがなくなっちゃった時があっ ....
きれいなものは とおくにあるから きれいと
ちかくになったら いやなところが みえてくると
ごちゅうこく してくれた ひとがいたけれど
あなたは ちかくになっても きれいでした
あなたはつ ....
超破壊少女は今日も行く
決して"不良"なんかじゃない
日頃の鬱憤を
機関銃に変えてゆくだけなのだ
紺色のスカートをひらひらなびかせて
道路のど真ん中颯爽と歩く
今日 ....
生活という書式をたちあげる
ブラインドの隙間から
僕の一日がやってきたならば
年月という埃をまとわせ
洗濯機からまっさらな振りをしてでてくる
洗いざらしの理想
ベンジャミンフランク ....
おもしろい形の石
おもしろい形の石
子供の世界は続いているか
子供の世界は続いているか
おかしな声で騒ぐ鳥
おかしな声で騒ぐ鳥
子供の世界は続いているか
子供の世界は続いてい ....
不機嫌なジャングルジムに傘さして水たまりにジャンプする夏
たしかです不確かなのはたしかです雨粒ほどにたしかなのです
雨粒をあつめて海をつくり ....
「分からない」って素晴らしいと思う
分からないなかで あなたが頑張って生きてること
僕は 素晴らしいと思う
誰が何と言おうと僕は素晴らしいと思う
僕だって同じだから あなただってそうだから ....
いかにもその渡世を彷彿とさせる
全身傷だらけで 目の据わった
一匹の猫が 固く舗装された道を歩いてくる
踏みしめる肉球 心は動かない
ただ黒く固い舗道のザラつく感触のみ
彼は自分の ....
床の上で夜中に何時間もノートに何かを書いてました
それは小説と言ってもいいのかもしれないですが
とても人には見せられない 滅茶苦茶な小説でした
一日の睡眠時間は2時間で 夜中に滅茶苦茶な小説 ....
大雨洪水注意報
彼女に涙を流させてはいけない
そのあとですごく経費がかかるから
落雷警報
電気ショックで何かが復旧するとは想わない方がいい
普通のひとは死ぬ
落石注意
気がついた ....
GIRAGIRA
あの頃の僕の瞳は
油の浮んだ水溜り
空も街も人も季節も
虹色に濁って見えた
今にも分解しそうな心を
繋ぎ止めていたのは
少し哀しい臭いのする
ギラギラ
....
白いごはんと、
お新香と味噌汁があれば
朝はもう、
なにもいらない
そのあと、
インスタントコーヒーが飲めたら
美しい海辺の朝はもう、
なにもいらない
でも太陽と青空がないと困 ....
感謝してもしきれない 生まれたこと
生きてること
今はただ 僕がここにいて 呼吸をしてる
何かを感じていることが愛しく思う
どうせと投げ出すことが 不安に思える
痩せっぽ ....
海の大さを知るためには
一滴の水を
見詰め直さなければならない
と、老いた亀は言った
波打ち際で遊ぶ
他人の子供を
呆然と眺める
僕の足元で
亀はそう言っ ....
カナカナと遠いどこかで
かなしげに、
啼く声を聴きながら
今日という日を
麦茶漬けで締めくくる
さらさらとなんでもない事のよう ....
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