わたしはきっと見たことがある
祖母の灰色の目をとおしてだけれど
B29がつきぬけるように真っ青な
雲一つない空をはしってゆくのを

疎開するため
汽車で広島を出るとこだった
ちいさな伯母 ....
青。
青いひまわりが在れば良いと思った。
空に向かって咲く姿は、今とは全く違う趣なんだろう。
青ではなく、太陽の強い日差しも跳ね返す、美しい黄色の花は。
宙に浮かんでいるように見えた。
ふら ....
糸をつむぐ
それはかつて
繭だったものたち
それを産んだものは蚕という虫
それを育んだものは桑の葉
それを繁らせたものは桑の木

ふるさとを発つ時
小さなかばんに
宮沢賢治の詩集と
 ....
恋の映画を観なさい
恋の本を読みなさい
恋の音楽を聴きなさい

そして

恋する瞳で世界を見なさい
そうすれば世界は少しばかり
マシに見えるかもしれない

もちろん

そうする ....
冬至を過ぎたとはいえ
まだ夕暮れはとても早い
午後と思ってでかけたが
歩き出してほどなく
雲は彩られ
見る間に
黒い塊として
光の名残に縁取られていく

これが
最後の日没だろう ....
金木犀の花を瓶に入れ ホワイトリカーを注ぐ
ひと月ほどして 香りも色も酒に移った頃
金木犀の花を引き上げる

その酒は 甘い香りをたぎらせ 口に含むとふくよかな広がりを持つものの まだ ....
1.
いつから
足りていないものばかりを
指折り数えて呪い

2.
消え入りそうな風のわたしは
どっしりとした海のあなたに安らいで
ゆるり 守られ
はじめて 安息し
ながいながい淡 ....
わたしはもう
石になってしまいました
かつてわたしにも
水だった時代があり
白濁した粘質の水となり
やがて泥となり
固まっていったのです
土として長年を過ごし
生き物をすまわせもし
 ....
未明に踊る
ワルツにするか
未明に踊る
ポルカにするか
東京の骨と
東京の骨と

平熱を超え
微熱のわたし
骨の入ったロケットを
ひとり覗き込み懐かしむ

けれども骨は視る度に ....
  
       あなたが、綺麗って言う
        私は、そう、って言う

     

       あなたの後ろ耳が真っ赤で
       ....
詩は、情緒の穴である。 端的に言い換えれば、詩とは、ハーモニーである。 ゆらぎである。 感応することであり、掘り起こすことである。 詩は、情緒の穴である。 つまりは、そこにこそ、詩の存在意義があり、そ .... しなやかな獣のようだきみは

脂肪のわずかなあたたかなからだ
むしゃむしゃごはんをたべ
わたしをむさぼり
疲れたらひっぱたいても起きずに深くねむり
あしたははたらきにゆくのだろう

眠 ....
血は痛みのすべてじゃない
涙は悲しみのすべてじゃない
笑顔は喜びのすべてじゃない
言葉は約束のすべてじゃない
憎悪は戦争のすべてじゃない

そして
恋は愛のすべてじゃない


けれ ....
そっと繋がった糸を
切れないようによりあつめて

糸に染みこませた泪は

温かみがあって、ひどくくすぐったかったよ

綺麗に端をそろえて
君に手渡した絹糸のようにきらきらしたそれが
 ....
洗いたての芝生がちろちろと
脈を交わらせている

川までの道すがら
ちいさな生き物は溺れ死に
汚れた内臓は、光る命へと洗われる

車椅子に花を差し入れる

目を細めてファインダーを覗 ....
私に挨拶する時
「お元気ですか?」と言わないで
返答の言葉は用意されていない
戸惑う私は
「色々ありますね」
そんな的外れな事を言ってしまう

骨と腹膜は自己主張して
去っては また来 ....
ちょうど
想うことと考えることのあいだで
人間がひとしきり
随分と迷うとき
やはり優しさが生まれるのだろう
朝方の出張に備える
昨晩の夜更け過ぎには
ただ愚直に仕事に行く
考えがあるだ ....
あるテロリストが
 《ある勇敢な兵士が》

自爆テロで
 《ジハードで》

死んだ
 《殉教した》

無辜の人々を道ずれにし
 《異教徒や教えを捨てた者たちを倒し》

狂信者は ....
透明な水槽の底
沈んで横たわる
短くなった鉛筆たち

もう手に持てないほど
小さくなってしまったから
持ち主たちが
ここに放したのだ

その体を貫く芯が
ほんのわずかになったのは
 ....
羽を広げた蝶は
破られるのを
待っている

決して触れることさえ
できないだろうと
綺羅びやかに見せつけて
できるものなら派手にやってみせろと
寸出のところまで思わせぶりに

そし ....
囁いています寒天は
上に乗って弾まれて
姿形はトランポリン
そんな過酷な状況で
囁いています寒天は
私の体がいつまでも
弾むなんて思ったら
見通し少々甘いです。

だって私のこの身体 ....
指を枯らし
宇宙を二回
排泄したら
時間は唱う
花が美しく咲く事に
理由なんて必要無い
  美しいものを見て美しいと
  心が感じただけなのだから


月が綺麗な事に対して
余計な言葉は要らない
  綺麗なものを綺麗 ....
雪の無人駅
雪を掃く係りのものが雪を掃く
何でもないコンクリートの踏み板の上を掃くものがある
待合室の歌謡ショーのポスターからさびしさのしたたり
掃き残した埃と雪の混じった少し硬いものをさらに ....
十二月、空はひくい。
落ち葉の季節も過ぎた。
竹箒を立てたようなケヤキの並木がつづく国道。
鳥の巣が傾いたまま、
ケヤキの梢にひっかかっている。
いつ落ちてもふしぎではない、そんな気がする。 ....
この前まで鉛筆をもっていたひとが
木の匣にはいる
燃やされてちいさくしろくなって
木箱にはいる
鉛筆で書いた文章が
もう そのひとだ
そのひとを見ると
鉛筆をもてない
あのひとのこ ....
「お前、エロ動画みていただろう」

女子中学生が男子中学生に
問いただしている

先生の前で

この世はすっかり変わってしまったようだ
僕は浦島太郎のような気持ちになった
ボットン便所を囲んで皆で歌った
曲はなんでも良かった

太古よりこびりついたほにゃららの香りと
最新のほにゃららの香りを胸一杯に吸いこんで
厳かに歌いだす

「Aufersteh'n,  ....
塵屑を捨てる人がいれば塵屑を拾う人もいる。
僕はその間で眺めてきた。
クリスマスには赤い電球の羽根。
僕は公園から煙突の下をみる。
一体何を捨て何を拾い集めてきたのだろう。
あれは、さみしいひと
佇んでた 遠目からじゃ見えない
薄青い菖蒲が頼りなさげに風で揺れてる
通り過ぎて交じり合わないひとたち
全ては、約束事で絡み合って
ゆれていく
可愛い大地がさような ....
るるりらさんのおすすめリスト(6754)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
1945、夏、わたしにつながる歴史- 田中修子自由詩11*17-1-5
ao- 水菜自由詩4*17-1-4
糸をつむぐ女- そらの珊 ...自由詩21*17-1-4
そして- HAL自由詩4*17-1-4
心象- Lucy自由詩14*17-1-2
桂花醬- 鵜飼千代 ...自由詩27*16-12-31
心象風景三_アカラシマの祈り- 田中修子自由詩5*16-12-27
- 山人自由詩18*16-12-22
パトラッシュを待ちながら- もっぷ自由詩216-12-21
って言う- 水菜自由詩6*16-12-20
詩論- 水菜散文(批評 ...5*16-12-20
獣と鬼火- 田中修子自由詩8*16-12-20
すべてだ- HAL自由詩4*16-12-19
潤み- 水菜自由詩4*16-12-19
雨上がりの庭- 印あかり自由詩18*16-12-17
癌患者の日常- 小川麻由 ...自由詩5*16-12-17
辻褄の合う伝言- りゅうの ...自由詩6*16-12-14
瞬く間に- ただのみ ...自由詩12*16-12-14
幸せな光景- そらの珊 ...自由詩18*16-12-14
蝶の舞上がる- 坂本瞳子自由詩2*16-12-13
ダイヤモンド寒天- ブルース ...自由詩3*16-12-13
ノート(53Y.12・8)- 木立 悟自由詩316-12-12
その理由、- 葉月 祐自由詩5*16-12-11
雪の無人駅- オイタル自由詩13*16-12-11
ことばを灯す- たま自由詩21*16-12-11
鉛筆- 白島真自由詩23*16-12-10
浦島太郎- zenyama太 ...自由詩2*16-12-10
肥溜めに生まれた- 印あかり自由詩6*16-12-10
ごみ箱- ツノル自由詩8*16-12-9
さみしいひと- 水菜自由詩14*16-12-8

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