鉄の嵐の翌日に
ガジュマルの若葉が
青黒い焦土から
そっと芽吹いた
たくさんの血が流れた
悲しい焦土から
おだやかに命を紡いだ
祈り
叫び
呼び
思い
気遣い
耐え
ある ....
手紙がある
うす桃いろの
手ざはりのよい 小ぶりな封筒の
崩した文字の宛て名も品が良い
封を切つて なかを開けるに忍びなく
窓際の丸テーブルに置かれてゐる
さて 何がか ....
いつまでも愚者
愚者だから愚者
愚者だつて苛立つて
串焼き食べて
愚者ぐしゃぐしゃ
紙にかいてぐしゃぐしゃ
山羊にあげてくしゃくしゃ
もしゃもしゃもしや
もしや
もしや
しやも ....
命には限りがあるのです
タマネギ伯爵が言います
それを知ってほしいから
我々は皆を泣かすのだと
タマネギ伯爵は言います
隣のタマネギ伯爵婦人は
始まったわよとの溜息を
リキッド状にし ....
詩作品そのものが、パブリックアートとして存在する風景は考えられるだろうか?紙に書いた詩が駅の掲示板か何かに貼り付けられている。とか、石碑に文字を刻み込んで詩が設置されているとか。数多いる詩人の中でパブ ....
「黄色い傘」
きいろい傘が咲いていて
わたしのうえに 屋根になっている
かさついた
この指は
皿を洗い刺繍をし文字を打ち
自由になりたくて
書いていたはずの文字に
とらわれ ....
みたこともない
みなみのくににむかって
いっせいに とびたつ とり
ないかもしれない
あした にむかって
ゆめを 放つ
たどりつけるのかどうか
じつはわからない
ふゆのむこ ....
{引用=
幼子の髪にうつれる檜葉の香は常磐色とぞ見えしが今は
}
使い古した悲しみが
千々に崩れて風に舞う
遠い昔の草むらの
トンボを毟った黄昏に
笑う子供を卑しむる
君を大人と呼 ....
色画用紙をひろげて
影をうつす
木炭でなぞる
しばらく眺める
笑いがこみあげてくる
なんと へんなかたちなのだ
俺といふやつは
俺は笑つた
笑つて 笑つて
笑ひ尽くした
....
足で漕ぐのは
オルガン
という名の舟
音符の旅
息でつなぐ
ときおり苦しくなって
とぎれる
生きていたという波の上
気配だけになった猫
ふんわり鍵盤の上を渡る
秋の日は
....
ネットカフェ難民となっても
生きることができる日本
でも電気がないと
さまよう日本
衣食住から
衣食電の時代に変わったのだ
お金も心も電気で通う
写真や文書も電気だ
人が安心できる ....
けだもの
ひとの声がする
空がなく
土もない
紙の色の月がうすく照らす
このわづかな世界に
やさしく
神々しく
いつくしみ深く
ひとの声がする
《祈りなさい ....
◇
これは片野晃司さん制作のソフト
「マウスで作る一兆の詩」
を使わせていただいて出来た、私の詩作です。厳密には私の最初の詩です。
これまで俳句、短歌、掌編小説、童話等、それらしいもの ....
羽
とんぼが旗竿の先にとまつてゐる。
セルロイドのやうな羽の一枚が、半分切れてゐる。
緑の縞の入つた黒い胴を一定のリズムで上下させ、三枚半の羽を震はせながら、とんぼは ....
水を
飲み干す
と
きれいに
戻れるの
過去は
穢されて
きれいは
きえはてて
水を
飲み干す
と
涙も
流れるの
過去の
ゆるせない
じぶんも ....
ふねのかたちをした
古い水族館で
ため息が水槽を
曇らせるのを
みたわ
長い魚、丸い魚、群れる魚、ぼっちの魚、
人が知ってる
ありとあらゆる
地球の魚が
目を丸くして
泳い ....
霧と緑が
空に到くほど昇り
その反対側は
水平線を覆い尽くしてのびている
夜と鴉は無言で争い
少しずつ異なる記憶が
水たまりの底に並ぶ
小さな波に歪みなが ....
遠い声を聞いた 海の底のようなはるかな声だ
耳に残る 今はおぼろげな記憶のようだと
貝殻の奥にある秘密の旋律のようだと
遠い道を歩いて抱いてしまった憧れに逢いに行く
人々が集って来る ....
見たところ肝臓のようだ。中学校の階段の踊り場の高窓から差し込む夕日に照らされて、赤黒い肉塊が落ちている。まるで今しがた体内から摘出したばかりとでもいうようにてらてらと艶めかしい輝きを放って、よく見れば ....
雪が降っている感覚に、薄目を開けた
凍りつく湿度と、ほのかな光を感じる
雪の一片一片には
冬の陽がほんのわずか宿っているのだという
だから真白く淡く輝いているのだと
幼い頃、母が聞かせて ....
よく晴れた十月の午前
山の上の一軒家にひとりで住んでゐる松倉さと子さんのところに
郵便局員がたずねてきた。
「ごめんください、お届けものです」
「あら、何でせう」
「どうぞ ....
お袋が危篤
数年に及ぶ認知症の果てに
俺を産んだ女
俺を育てたかも知れない女
ほんとうはほとんどほったらかしだった
親父の母親に任せっきりで
自分は金を稼ぐのに一生懸命だった
....
朝が来て
鳥のように飛び立ちたくなりました
一夜あなたの存在が途絶えただけで
小さな胸の大きな不安
今日の朝陽が呼ぶのです
風に乗りなさいと誘うのです
空高く飛びなさいと心 ....
或る秋
切り取られた空が
造り酒屋の軒先にひつかかつて
はたはた ゆれてゐる
おかつぱの姉さんと
坊主頭の弟が
口をまんまるにして
それを見つ ....
暑い夏がすぎた
ころ、
スーパーでは
松茸や
梨、
ぶどう、
秋刀魚が売られている
家では
百均かどこかで買った
ステンレスの型抜きを使って
たくさんの紅葉のかたちの人参を作る ....
われただたるをしる
{画像=181002113030.jpg}
秋というだけで 物悲しい
青空というだけで 晴れ晴れとしてくる
恋人というだけで なつかしい
愛というだけで 燃えてくる
秋の夜長の 想いの庭に
いとしい言葉たちを
....
家から見える瀬戸内海
時間、時間で変わる
その景色を見て育った
瀬戸内海の周りだけが
その場所特有の時間の流れがある
潮風の香りを感じると
何故か思い出が浮かび上がる
子供の ....
私は地球の人になる
道路標識はよく見て
交通ルールをしっかり守る
ご贔屓のチームがあって
試合結果に一喜一憂
ほどほどに勤勉で
ほどほどに憤り
ほどほどにやさしく
ほどほどにやらしく
....
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