{引用=(*筆者より――筆者が本フォーラムでの以前のアカウントで投稿した作品はかなりの数になるが、アカウントの抹消に伴ひそれら作品も消去された。細かく言ふと二〇一五年十二月から二〇一七年二月までの間に ....
ここは寒すぎて
コトコト煮込んだシチュー恋しく
焦りながらの帰宅道は
普通の少年のようだった
たった2℃熱いコーヒーも欲しがり
サンタクロースのような
土っぽい自販機は ガシャ と
....
{引用=*筆者より―― 旧稿を見返してゐて、本フォーラムに掲載してゐなかつた作品があることに気付いた。以前のアカウントを消して以降、復帰するまでの間にかいたものは随時掲載していた積りだつたがどういふわ ....
人がどうしようもなく疲れきった夕暮れ
地上では山々が揺れるように連なり
若い王女が匂いたつ浴場から
ゆっくり上がってくるように
真っ赤な空へ向かって
一斉にムクドリ達が飛び立つ
八段目をうまくクリア出来ない
こんな毎日を誰が見てるの
時計の針が正しく刻んでる
薄明の月も少し笑って
命を更新していく放課後
持たされたランドセルを跳び箱に
超えていきたいマーブ ....
答えを探している
答えは至る所に
極めてさりげなく
あるいはこれ見よがしに
散りばめられているのに
コインを拾うように
極めてなにげなく
自分のものにしてしまえば
楽になれ ....
誕生日おめでとう
私はだんだん私ではない何かになっていく
その姿をあなたに見ていて欲しかった
止めて欲しいとか
哀れんで欲しいとか
そんなんじゃない
私は
私が変容するさまを
あなたに ....
あまりの寂しさに
体からスライムを出せるようになった僕は
だれも覗かない自室の中で強張ると
無色透明な粘液に包まれる
まだらに入った気泡になんだかやすらぐ
必然性を含有していないからだろ ....
その店は
聖なるものを売っている
行けばすぐわかる
店の奥から
神々しい光が溢れているから
価格は無料
望むなら誰でも
聖なるものを
受け取ることができる
けれども開店以来
買い手 ....
待合室でテレビを見ている。様々に体を病んだ人々。肩。頭の中の狂い。テレビではスポーツ選手の病のニュースがとめどなく流れている。ペットボトルを傾けて濁ったカフェラテを飲む。喉の奥に甘い液体が流れていく。 ....
この花は永劫の畔にゆれている。
あまたのうつろいをながめ
蕾という名の一輪となって。
風よりもとうめいなあなたの声が、
水面をやわくなでている。
どことも知れずに吹いてきては。
....
薄く、もやのかかる、まだ暗い午前5時。
隣に眠る彼を起こさぬよう、そっと身体を起こして
冷たい空気に、震える
毛布の上に広げた袢纏を引き寄せて
熱い身体から熱が逃げないように
忙しなく羽織り ....
労って
届かない
遠慮して
分からない
そんな夜だから
僕は
もう
本屋で詩集を開かない
頁を開いたとたん
良い作品は
否応なしに
脳裏に直撃するから
理由のない涙が溢れ
店員が心配して近寄ってくるでしょ
恥ずかしいでしょ
***
....
左側の
下から二本目には
幼い過ちが
絡みついている
右側の
上から四本目には
小狡い鳥が
棲みついている
左側の
上から三本目に
温かい実を
結びつけてくれた人
....
絆っていうことばがあって
糸へんに はんぶん
半、はもともと
牛の意味で
こちらと、むこう
分けられた牛
それをつなぐ綱ということ
絆
それは縛る道具だ
だからこ ....
一枚の額縁に収まる
植木鉢の紅い花
蕾だった奥に
花を咲かせるものがある
私の奥にも
私を咲かせるものがある
風がゴーゴと吹いて
安らかに眠れない夜を繋ぎ合わせて過ぎていく日々
この命をささえる仕組みも経年劣化して
無情に軋んでいるけれど
その痛みに壊れてしまいたくはない
言葉にならない不安 ....
無人島の浜辺に
置き去りの切り株を運び
堤防に置く椅子にして
腰を下ろす
竿を手に
糸をしゅるる――と無心で放ち
午後の凪いだ海の水平線に
目を細める
阿呆らしい日々は
遥か ....
岸辺を撫でる
さざなみは
私にいくつもの
音を書かせる
川面で弾ける
きらめきは
私にいくつもの
色を撮らせる
私の中には
川が流れている
花弁を浮かべ
渡り鳥を ....
{引用=(*筆者より―― 昨年暮れ辺りに自分のかくものがひどく拙くなつてゐることに気付き暫く充電することに決めた。その拙さ加減は今回の投稿作をご覧になる諸兄の明察に委ねたいが、ともあれかいてしまつたも ....
不死の女を殺した。長年の願望であった傘で殺してやった。
女がいつも帰りに渡る陸橋の踊り場で殺してやった。
赤いスカートが風で翻った瞬間、傘の先端を女自体にぶっさして、
ぐいぐい差し入れて ....
広島の牡蠣が美味しい
栄養豊富な川の水
牡蠣小屋が人気
広島の三カ所にあり
良い香りを漂わせる
身が大きくて
食べ応えがある
どんな料理でも
とても美味しいけれど
焼き牡 ....
りんごを
横にスライスしていくと
星の形が現れた
こんなところに
ひっそりと
神様がいたことを
初めて知った
冬の日
湯気みたいな嬉しさを
胸であたためて
いっとき
死を忘れ ....
空が落ちそう
唐突にそう思った
見上げた先は雲ひとつない青空
でも空は落ちてくる
それはつらいことなんかじゃない
それは悲しいことなんかじゃない
私は落ちてきた空を両手ですくい上げる
そ ....
美しい本と空と地面があった
あるいてあるいて
夜空や
咲いている花を
吸い込んでいくと かさかさになったこころが
嬉しがっているのを 感じた
雨の日には 本を読んだ
子どもらのあそぶ
....
針
時計の
針
どうぞ
ご勝手に
どうぞ
変わればいい
変わりたい人は
変わればいい
その時代の
心のカタチを
あなたに
教えてあげようと
思ったけれ ....
いとしいといわない
愛しさ
さみしいといわない
寂しさ
祖母と行く畦道
ふゆたんぽぽを摘みながら
手は
手とつながれる
枯れ野には
命の気配がして
墓所には
命だ ....
わたくしは人体模型の友人です
父さんと音楽室で餅を食う
頼もしい視力2.0の図書委員
大丈夫この学校は奇跡的
春が来て静かに笑う校長先生
トモに
だるまが鎮座している
友はなく
お互い
一人で
じっと
鎮座している
お互い
なにも
語らずに
じっと
灰色の
海面の
糸が沈んでいるであろう
方向を
じっと
....
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