すべてのおすすめ
畳まれた思い出たち
卒業の紙袋に入れて
お下がりにする
けれど、その時にはまっさら
まっさらな思い出を
箪笥にしまい
衣替えは終了する
子どもの箪笥が
大人の箪笥に
衣替えし ....
眠いなあ
甘いもの食べたい
と
甘い甘い
コーヒーフロート、が
差し出されて
涙が出ます
これは力になる
生きる力になる
うん、きっとなっている
口に出さなくとも
いや、 ....
私はトイレ掃除に熱中していた
ありとあらゆる隙間を見つけ
そこから茶色の
時には黒の汚れをかき出す
何かわからない汚れたちは
かき出してもかき出しても
無くならない
私が泣いていると
....
はい、と返事をせず
あい、と返事をする
言葉に力を入れない
あなたに呼ばれるときは
もたれかかるように
あい、と返事をする
あんなに簡単だった
ブランコもすべり台も
なんだか怖い
大人になるのが
あんなに怖かったのに
いつの間にか
子どもではなくなっていた
どんなに速くても
どんなに高くても
気持 ....
葉っぱが熟して沢山実る
烏がかあかあ笑ってる
子どもがあれこれ考えながら
落ちた葉っぱを拾ってる
落書き帳に貼りつけて
色鉛筆でなぞってる
赤青紫黄色に茶色
真っ白な紙に紅葉が実る
赤 ....
風がくるくると回る
枯れ葉が子犬を誘っている
ぴょんぴょん、と
切り揃えられた紫陽花の前を
子犬と幼子が走り回る
息が白い
頬が赤い
春は青く
夏は紫に
この子らを見守った紫陽花 ....
誰かに呼ばれた気がして
振り向くと外は雨
今日は寒いなあ
乾かない洗濯物
畳めないからぼーっとする
そろそろお迎えの時間か
例えばここで
駆け出したら、、
子は迎えに来ない母を ....
もっと近くにコンビニがあれば
ストレスの溜まったあなたの
心をすぐに癒してあげられる
けど、
でも、やっぱり夜に甘いものは良くないって
健康診断でも肥満って毎年書かれて
毎年ダイエットを試 ....
「くもがねてるから、しーっ」
沈んだ空は暗くて
何にもないけど
何でもある
小声でお話をしよう
キャベツくん
いもむしれっしゃ
おたすけこびと
そんなものを抱いて
「あめがふ ....
「グーチョキパーで
グーチョキパーで
なにつくろう
なにつくろう」
と歌ってたゆうちゃん
「グーはチョキに勝つんだよ」
と教えたら
不思議そうな顔をしてこちらを見ている
右手がグー ....
親からもらった名を
30数年飼っているが
これがなかなかなつかない
気づくとどこかに行ってしまうので
私を呼ぶとき
みんな仮の名で呼ぶ
仮の名は20個くらいあって
ずっと傍にいるもの
....
一夏で日焼けした手
この手で夏をもいで
冷やして
子どもと食べた
子どもは手も足も
パンツの跡以外みんな日焼けして
初めてカブトムシに触れた
怖くて煩かった蝉は
道端に落ち ....
くだらないことばかりかんがえてるから
いま、おなかをくだしてる
ひとつのすいかに
いくつのたねがはいっているのか
しりたくて
ひとつのすいかを
ひとりでたべちゃったから
....
星を食べた少女は
嘘ばかりついていたから
みんなから仲間はずれにされていた
私の涙はどんな花も空色に変える、とか
私のくしゃみは太陽をほんのすこし
地球から遠ざけることができる、とか
....
ばあちゃんの野菜は
やわらかく
大根は一時間も煮れば
中まで味が染み込む
ジャガイモは
カレーに向かないくらい
すぐ溶ける
竹の子も灰汁がすぐに抜ける
とっても素直な野菜たち
二 ....
青空を見ているときは
星空をわすれ
かき氷を食べているときは
雪をわすれ
かなしみが沢山のこころは
よろこびをわすれ
大人になると
子どもをわすれ
山を登る ....
田に水を張ると
一面が鏡になる
田植え前の一瞬
薄い空を映して
今年はどんな年かと
思案している
今年はどんな稲にしようかと
話し合っている
近くの葉桜が
....
夫と息子がいる浴室に行くと
かつおぶしの匂いがした
親子で前世はかつおぶしか
鰹として泳ぎまくり
死んだ後はかつおぶしになって
お味噌汁になったのか
死後も価値があるなんて
かつおぶしは ....
アンパンマン、カレーパンマン、食パンマン、きみの笑顔で元気100倍
幼児向け番組の歌すらすらと歌い踊れる母一年生
せがまれて背に子を乗せて馬になり三往復目で寝息きこ ....
もしもとか架空の話はしたくない今のわたしがいなくなるから
カレンダー千切っても過去は消えないよ未来だけがそこにはあるんだ
意味のない言葉ならべて意味つくるそんな毎日送ってお ....
かあさんのしんぞうはけいたいでんわだ
いつでもどこでも
だいじにもっていて
いつでもどこでも
ひらいてみてる
かあさんのものは
たいていさわらせてもらえるけれど
けいたいでんわだ ....
わたしはこの風景を切り取り
自分の懐へ持ち出すことに成功した
白い砂を踏む幼子が
その足を冷やしながら
ふるさとを築いていく
かつて少女だったわたしも
そうして ....
子供の前で大人のふりをした
洗濯物の前で大人のふりをした
鏡の前で大人のふりをした
悲しみの前で大人のふりをした
ママ友の前で大人のふりをした
雪の前で大人のふりをした
....
変わらない日なんてない
水溜まりは乾き
草は地面を覆う
飛ぶ鳥は雲を追い
日は速度を落として沈む
変わらない日なんてない
日記は二日で書かなくなり
アルバムは途中から白紙のまま
....
本を破り捨てたことなんて初めてだった
そんな自分に驚いた
それほどまでにわたしは疲れていたのだ
それほどまでにわたしは一生懸命だったのだ
一歳四ヶ月の息子はまだ歩かない
育児本なんてクソ ....
夜中に
なき声が聞こえた気がして
目が覚めた
流れ星がいま落ちた
祈りの声が
夏の夜の
そこかしこから
聞こえた気がした
寝息を立てる
わが子に思う
一生、そのまま
かわいい赤ちゃんのまま
わたしのそばを離れず
わたしを一番ひつようとし
憎まれ口もたたかず
ただ、ひたすらに
一生懸命たべ
一生懸命あそび ....
涙を練って
甘くしたみたいに
空から温かい匂いがする
涙を流せない
木が
風に触れて話す
ぴよぴよと
黄色い花が
鳴いている
どこかに涙を隠している
だから、こんなにも ....
梅雨でわたしは列車に乗った
外はすごい雨で
だけどわたしは
傘を差さずに駅まで来た
わたしの顔から
涙が綺麗に消されていた
夏で蝉が乗ってきた
六年間ずっとホームで
この列車に乗れ ....
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