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{引用=
忘れ去られた化石のように
書籍がたちならぶ
黴は 胞子のにおい
博物館の展示品さながら
標本とみまがい、
ここでは もう誰も
紙に書かれた物語を
手 ....
{引用=
冬立つ月の夜
南瓜に火をともす
ゆらぐ明かり
ゆらぐ 影も 心も
ひととせの 時のはざまの、いつかより
旅芸人たちがやってくる
誰もが 物の怪さながら ....
季節の ものがたり
訪れる ひき潮の音のすでに秋
{引用=
「「 髪をきるように
ばっさりと 一つの季節は終わり
ここに、誰もいなくなって
それでも 次の遊子 ....
空に むきだしの骨をさらす伽藍
「歴史」はいつも古びた建物を残していく
廃墟のあとにしか 平和が生まれることがないのなら
平和は、あまりに残酷な子
森は、朝にめざめ
戦いの ....
{引用=
夏の陽に 焼かれながら
後ろ手の 信玄袋をけつの下に
揺らし
女の背は 凛とし
黒紋付の羽織で、振り向く{ルビ面=おもて}が艶やかだった
名は、定
床上手の 女 ....
ここに記述されているのは、
羊に関する私見であり、特定の羊を
誹謗・中傷するために書かれたものではありません
*
羊は まじめである
羊は ....
{引用=
さだめらしき願いを ひとつ知りました
六月の
嵐にひかえる空は
細心のあやうい平衡と ためらいに似た心地なさを {ルビ具=よろ}う
見あげれば
流れは岩にわかれ
....
{引用=
たわむほどに忍ぶ
ユリの葉は、こらえきれず
重き玉露を 弾いてみせた
その 砕ける音を
耳にしたような気がしたのです
千夜の しののめ
いさめらしきものを ....
{引用=
目をさます
{ルビ灯火=ともしび}に光りをともす
夜の帳をとく
忘れれば 万物の命を病めさせる
部屋に家具ひとつなく
静寂に そこは
音という概念すらありもぜず
....
{引用=
詩を詠むように
風を読むものたちがいる
読経の声
いや、それは蜂の羽音にも似た
風だった
見上げれば、しばらく忘れていた空が
いそぐ雲を 連れ立ち ♯
....
{引用=
緑をゆらす
風は、なおらかに こんなにも
美しいものだから
少しばかり
すずろ歩き
季節をむさぼれば
不埒な 出会いが待っている
ちいさな 会釈
往 ....
{引用=
御控えなすって
御控えなすって くださいませ
さっそく御控えくださり ありがとさんで ございます
軒下三寸 液晶一面 借り受けまして
失礼さんに ございます ....
{引用=
春は、阿修羅の使い
むごたらしく やすらかな眠りをさまたげる
*
誰もが
ぬくもりの休息の時に、永遠をしらず
蠢きだす
けし ....
他愛もない小石につまずく
そのたびに
立ちどまり 足元をたしかめる
誰もが、平気でいきすぎる
そんな四角四面では 生きられませんよ
それとも 私は、
ほんとうに詩 ....
{引用=
長らくご無沙汰しております
要に結ばれた 松の葉が
はらはらと舞っていたりするものですから
この世で添い遂げられなかった二人の 死骸の群れのように思え
いたたまれず ....
{引用=
天蓋は燭光の水あかり
心をてらす 後后のゆらめき
ここは、光さえためされ 路にまどう
教室の窓外に 黒光りする鱗の群れが、
古代魚たちが、泳ぎすぎる」
ありふ ....
ここには海がないのです
人をあざける海鳥たちの鳴き声のかわりに
杉森をこごえさす雪の白さが
躊躇いもせずに町をみたしている
知らないもの同士が連れ添うような
紅茶のカップを二つ温めながら ....
やせることにしました
夜も昼も
私の体は、重たい気がします
持っているものも これから
持とうとするものも 少しばかり多すぎるから
知らぬ間に
体にたまった/たまる澱は、いつまでも ....
もう着るものかどうか、わからないけれど
さらさら、木綿の肌に触れる
待ちうける その時の
今 やってきた季節のさかりに
たくさんの声がする
行こうか/行ってきます/行くよ/さあ
い ....
海の向こうから来た手紙
躊躇わない見慣れた文字が、
心に触れるのです
確かに
生きる意味があるように
昔を思い出す、力が湧いてくるような
元気でいらっしゃるのですね
少し怒りっぽい
....
忘れ去られた 古い校舎
人知れず
ひな菊が一面咲く
小さな 白い縁取りをした
数知れぬ麦藁帽子
花の絨毯は緑に抱かれ
さやかな風が吹き 過ぎる
もう夏の気配を孕んだ晩春のそれは、
....
{引用=
大さわぎでなく
ゆっくりと歩む
足の裏に感じる砂の感触を確かめ
けして温かくないけれども
柔らかく反発してくるようなそれを
一足一足 注意深く進まなければ、
見逃してしまう ....
{ルビ=アヒルの子}
もっと話を聞かせてくれませんか
そうしたら、
あたしは、言葉のあいまに置かれた
なだらかな読点【、】に背をもたせ、
気まぐれに口をつぐむあなたの 数知れぬ句点【。】の
小さなその ....
{引用=
悲しむことなどいつでもできるのです
とどかない想いは、手にあまるほどなのに
あきらめない
今という日をすごす 今日
透明な引き潮は、
小さな入 ....
もう着るものかどうか、わからないけれど
さらさら、木綿の肌に触れる
待ちうける その時の
今 やってきた季節のさかりに
たくさんの声がする
行こうか/行ってきます/行くよ/さあ
いって ....
……
ええ、それはもうよく聞かれるのでございますが。
本当のところ、私も理由などあったものかと
思っています。
お偉い先生方は、なにか公式でも探すように、
生き残った者達を類別しようと ....