我慢し過ぎるというこれも眠りには良くないようだ。 失意は立案の乏しさを今さら悔やんでも仕方ないのだが、委ねた事への憤りはいまだに収まらない。 もう少し道幅を広く取ればよかったとか、遠慮してカーポー .... 二〇一六年八月一日 「胎児」


自分は姿を見せずにあらゆる生き物を知る、これぞ神の特権ではなかろうか?    (ミシェル・トゥルニエ『メテオール(気象)』榊原晃三・南條郁子訳)


二 ....
おととい 小さなせせらぎを見つけて
家に帰ると
網戸に黒い揚羽蝶がとまるのを見つけた
そして
蝶も私を見つけた
気配の優しさ
遠い記憶の静かな切なさ
完璧な蝶の姿で
再び会いに来てくれ ....
ペットボトルの口が開いて
 水蒸気舞い上がればイルカが波に乗ってやってくる
街のカラスが餌を探す
 幼虫は産声を上げるその時をじっと待っている

怪しくもない人々が夜を擽るのは   塵
 ....
二〇一六年七月一日 「ヴィーナスの腕」


コンクリート・鉄筋・ボルト・ナットなどなど
構造物の物質的な素材と
温度や重力や圧力や時間といった物理的な条件や
組み立てる技術や出来上がりの見 ....
両祖母は国後島、樺太出身である。
現在国後島は北方領土としてロシア実効支配下にあり、
樺太は正式なロシア領土である。
戦時は幼少期ということもあり、両祖母の当時の記憶は非常に断片的である。
し ....
越冬のことはなにもいえない
あれから僕の身体には青空が広がっていて
雲もない
なにもない

誰にもなにも
いいたくなくなってから
人の言葉が
まるで湖のようにきこえる
僕は両手を
 ....
頭の中で過去色の鐘の音が鳴る
腕の内で君が教えてくれた響き
二度と味わえない若さの季節
隣り合う心臓が熔けて震えた

置場所が無いことすら知らない
街の光を求めたさ迷う痛み
呪わなければ ....
青竹や潜るパンセの空ふ紘   僕のぽけっとの紙片には
最新のもっとも無駄な解答が記されている

人生に必要なものの殆どが木箱にしまわれて
博物館の収蔵庫の奥深くにおさめられているとしたら

菫や蓬の花のように路傍にさり ....
二〇一六年六月一日 「隣の部屋の男たち」


 お隣。男同士で住んでらっしゃるのだけれど、会話がゲイじゃないのだ。なんなのだろう。二人で部屋代を折半する節約家だろうか。香港だったか、台湾では、同 ....
猫のように見上げる
空のまだらを
鳥に擬態した
ひとつの叫びが
紙のように顔もなく
虚空をかきむしる

骨の海から引き揚げた
もつれた糸のかたまりを
自分の鼓膜にしか響かない声を持つ ....
森は茫然と立っている
差し込む陽射しに年老いた裸身を晒す

来る日来る日は雑然と降り積もるもの
過ぎ去った日々だけが温かい寝床だ

森に佇む独りぼっちの木々たち
無表情に見合いながら黙り ....
                                          

マシン   短くて気が遠くなる

長雨の季節には藍藻入りのスープで夜をやり過ごす ことになる

 不 ....
そこの誰でもが背びれや尾びれをもっている
幼年時さかなだっただけなのだけれどね

そこの誰でもが哀しみを抱いている
それは
すでに干物になるまで
のこるのものかもしれないんだが

 ....
光がすぱっと切れるのを見る、閉ざされている。咄嗟の思考を掻い潜るように鳥の影が横切っていく。
摩天楼、
さよならの仕方も忘れてしまうような僕たちの頭上、四角い世界。枠外から枝が葉を揺らしては風の証 ....
 高台から遠浅の浜を眺めると波の照り返しには目が眩む。
鰯の群れを追いかけて飛沫をあげるスナメリが、
                    ハセイルカの一団を連れてやって来た。
小屋の喜三 ....
二〇一六年五月一日 「叛逆航路」


 お昼から夕方まで、『The Wasteless Land.』の決定版の編集を大谷良太くんとしていて、そして、大谷くんと韓国料理店に行って、居酒屋に行って、 ....
二〇一六年四月一日 「愛のある生」


愛のある生

それが、ぼくのテーマだ。

「生」とは
いのちの輝きのことだ。

しかし、嘘は、すばらしい。
人生を生き生きとしたもの ....
夫が「コロナ感染者濃厚接触者」になって帰宅した

お相手とお互いマスクはしていたけれど
数時間対面で事情を聞いていたので
後からわかったのだけれど
「コロナ感染者」との濃厚接触者と認定された ....
我が息子スカンダよ
今によみがえるオリンピアの地を
駆けるがよい
かつてかの地では
聖なる競技会が行われていた
すべての競技は神々を讃えるため
そして神々に捧げるため
人々はそのために走 ....
 白夜はいつも寝不足になる。

 夜になっても沈まない太陽のせいだ。こんなあたしでも人類の、はしくれ。太陽の光に含まれる活動エネルギーが、自律神経を乱れさせてしまうのだろう。
「おはよう、リン ....
水しぶきをやり過ごせよ
   虹の架け橋
背負わない傷跡を見せたくないから下着も脱がないわ
お尻の大きい外国人のお姉さん
牛さん牛さん、ダッシュダッシュ! ああ腕が回らないお年寄りな実態把 ....
二〇一六年三月一日 「ブロッコリー」


いま、阪急西院駅の前のビルに自転車をとめたら
めっちゃタイプの男の子が近づいてきて
わ~
さいきん、ぼく、めっちゃ、もてるわ~
ってなこと ....
もしもあなたが詩人になるというのなら
その時点で未来はすべて捨てなさい
あわよくば名を上げて、などと
考えるのならはじめからやめておきなさい


もしもあなたが詩人になるというのな ....
春の約束
永遠に叶わない約束
散るときを知って
失墜しながらそれでも
対の自分をさがす
さがし逢えたら手を繋ぐよ
ひとのまばたきより短い時間を使って

もしも一対になれたら
空へはば ....
二〇一六年二月一日 「アルファベットの形しかないんかいな、笑。」


 何日かまえに、FBフレンドの映像を見て、いつも画像で、ストップ画像だから、ああ、素朴な感じでいいなあと思っていたら、映像で ....
二〇一六年一月一日 「20世紀アメリカ短篇選」


『20世紀アメリカ短篇選』は、むかし上下巻読んだんだった。でも、ひとつも憶えていない。きのう、スピンラッドの短篇集だと思っていた『星々からの歌 ....
十四歳のある日
ぼくは
あらゆるものが
きっとこのままなのだ、ということに
気がついた
ひとは、ある種の
限られたコミュニテイは
このまま
もう
どこにも
行くことはないの ....
 風のにおいがする、花の音がする。逃げてゆく春の背だ。
 だれかをこころの底から愛したことがあったかどうか、ふと、八重桜のうすひとひらに触れそうにして胸苦しくなるんです。あなたもです、私もです、お互 ....
atsuchan69さんのおすすめリスト(6268)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
にんにく- アラガイ ...自由詩8*21-6-8
詩の日めくり_二〇一六年八月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩13*21-6-7
再会- そらの珊 ...自由詩8*21-6-3
かけひき- アラガイ ...自由詩14*21-6-3
詩の日めくり_二〇一六年七月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩13*21-5-31
ロスケ- TwoRivers散文(批評 ...8*21-5-30
越冬- コーリャ自由詩11+21-5-30
佇み- 自由詩221-5-26
_青竹や潜(くぐ)るパンセの空ふ紘(いと)- アラガイ ...俳句8*21-5-25
ゆっくりと解凍する日々のうた- 梅昆布茶自由詩1321-5-25
詩の日めくり_二〇一六年六月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩13*21-5-24
安息日に詩を書くことは許されるか- ただのみ ...自由詩10*21-5-22
不可逆の森- 宣井龍人自由詩10*21-5-19
勤労感謝Love208- アラガイ ...自由詩5*21-5-19
えくぼ- 梅昆布茶自由詩1621-5-18
美しい世界- 鳴神夭花自由詩321-5-17
底のない浜から- アラガイ ...自由詩12*21-5-17
詩の日めくり_二〇一六年五月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩13*21-5-17
詩の日めくり_二〇一六年四月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩14*21-5-10
「コロナ感染者濃厚接触者」ですって- 鵜飼千代 ...自由詩20*21-5-10
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明日、世界が終わる- そらの珊 ...散文(批評 ...421-4-27
下げちゃいなさいよ- アラガイ ...自由詩8*21-4-27
詩の日めくり_二〇一六年三月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩14*21-4-24
もしもあなたが詩人になるというのなら- ホロウ・ ...自由詩11*21-4-19
対の羽- そらの珊 ...自由詩15*21-4-17
詩の日めくり_二〇一六年二月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩13*21-4-17
詩の日めくり_二〇一六年一月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩14*21-4-10
十四歳で死んでいったやつらに- ホロウ・ ...自由詩16*21-4-6
春提灯と咳緋鯉- 田中修子自由詩11*21-4-4

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