ただいま と思いながら両手を下に広げる
林檎畑は収穫のための作業で忙しい
陽があたるように実の回りの葉を取るため
晴天の日曜日 実家に帰る

草を分ける土の道 人の歩いた道
風にそれる 緑 ....
 「へそ」

夕立とともに雷が落ちる音がして
少年ははっと目覚める
もしかしてへそが盗られていないか
あわててシャツをめくり
お腹にちいさな穴が残っているのを
確認して
ほっとしながら ....
女を抱きたい気分でもなく
ただ、見ていたい
風がセピア色
入道雲の思い出
「バニラスカイ」を見て
あなたはどう思った?
彼女の言葉を思い出す
力を失った男が
荒野をさすらう時
相棒は ....
耳たぶがかさかさすると思ったら
どうやら蟻が一匹のぼってきてたらしい
上半身だけゆっくりと身体を起こす
よく伸びた夏草が足を覆いかけている


さっきまであおいろばかりだった空に
いつの ....
「貴女はご自分に酔っていらっしゃるのです」


思いがけない言葉に顔を上げた
彼は静かに私を見つめて煙草に火をつけた


(どういうこと?)


いぶかしげな眼差しの私に彼 ....
立ち止まるひと
立ち止まらないひと

その違いってなんなんだろうね

わたしなんか立ち止まらないひとだと思ってたのに
こんなとこに5年間も立ち止まってしまっていて

指先器用でギターと ....
{引用=ほろほろとくずれはしない鍵の化石があなたのからだをひらいています
記憶は銀河のように 白い、黒い乳房のあわいをすり抜ける
あたたかな指先であなたの軌跡に限りなく薄い爪痕 ....
チャペルの鐘の音 
ハレルヤのゴスペルの響き


祝福の音色を浴びてキラキラ輝くのは
淡いパステル色の金平糖
小さな羽根を羽ばたかせ
あなたのキューピッドが運んでくる。


甘い砂 ....
用を足すだけなんだけどね

うら寂しい公園の片隅にあるのは決まって便所ってやつで

おおむね和式の便器しかなくて
紙なんか無くて
げげげのお友だちなんかの手が暗闇からぬらりひょん

べ ....
穏やかな夏の青い空に
幼い頃聞かされた赤く染められた天地が
嘘のように
頭を刈った少年たちの
淡い掛け声が響いた

誰もが歩む死への行進
だけど殺し合いは御免だ
「兄弟仲よに分けないか ....
欠けて往く、
桃からみどりの昏さへと
消失している中で
君は誰にもいえない、と云った
ぼくにさへ
膚から、更々と
かわいた芳い香りが
鈍化する烈しさで埋められてゆく
その透間に眠りがあ ....
手さえ握られたことないのに

あれは高校二年生の今頃だったか
「あの子ってやりまんらしいよ」
そんなあらぬ噂を言いふらされたことがある

誰かしら噂になっているなと感づいていたけど
まさ ....
時計を壊しても
流れる時間は止められない

時間は無限に過ぎてゆく
でも僕の時間は無限ではない
いつか終わりが来るのだ

せめて目一杯あくびをして
時間を吸い込んでやろう

笑って ....
電話がかかってきて
行ってしまった
幸せになるんだ
といって

コケリンドウの
花をみつけた
ちいさな青
の付け根のあたり
淡く
消えそうなものに
私はいつも憧れる

たくさ ....
台湾人がやっている置物屋で買った
誕生石にまつわるブレスレットを腕に巻いていたら
霊能者にさんざん罵倒され
軒下に巣食っていた日除けの蜘蛛
ジリジリ逃げる
堕胎した子を洞穴まで連れて ....
運び出された棺は小さかったので
担ぎ手は四人で足りた
会長は、喜寿を過ぎても出勤していた
迎えの車がリムジンだったのは
会社の沽券に関わるだけの事で
カーヴに技術を要するサイズだったのは
 ....
弟と拾ってきた仔犬
団地では飼えないからと母にきつく言われ
泣く泣く拾った場所へ戻してきた次の日

くんくんと悲しそうな鳴き声忘れられなくて
自転車に乗り夢見ヶ崎まで

小高い丘の上には ....
愛は祈り
俺は祈る

俺の好きな人たちが
皆そろって幸せになってほしいし
皆が幸せになってくれることが
俺の幸せだ

それぞれの願いを叶えてほしい
賑やかな場所で
静かな場所で
 ....
眩いばかりの夜景
愛を語らう恋人の横で
血を流してる男がいる

腐った内臓から異臭を放ち
神経の切れた手首は紅く染まっている

誰も気にかけない
苦しみは男だけのもの

夏の蝉のよ ....
 
麦わら帽子の片思いは
たんぽぽの種になって飛んで行った

新調仕立て背広の恋愛は
勿忘草となって枯れていき

覚悟を決めた愛情は
ブーケの花となって咲いていった

白髪交じりの ....
お菓子はね、子供や、それから男のためにあるのよ。
甘いお菓子のにおいに騙された子供は従うようになります。
とろけるようなめまいの中で男は幸せになります。
子供も男も基本は同じです。
ホームメイ ....
足音は雨音に紛れ
身体は真夜中に紛れる

微かな人とすれ違うが
みな傘を手に雨よけに夢中で
真っ直ぐ歩いていく

傘を手に飛び出てはみたが
差す差さないで迷ってしまう
肩へ着地した滴 ....
ときどき
風のように想い出す


のようなもの

唇をとんがらせて
僕でない何かを
見つめてばかりいた

あの頃
あまりにも痩せ過ぎていた


のようなもの

 ....
「水没した都市」の駅でアクアバイクを借りて
ハシケを曳きながらとろとろと岬沿いを走っていく
俺とあんちゃんは
一宿一飯の恩義で仕事をおおせつかった
沖合に座礁した小船の積荷を採ってきて ....
{引用=

( 乾いた木のままでは つらいのです )
( 秋がやってくるなら なおさら )


通り雨の大粒な なみだのような冷たい滴に
もうこれで 夏が終わるのを知りました
すぐにや ....
恐竜は鳥になってしまった
大空を羽ばたくかわりに
偉大さをなくした

朝 にわとりが声をあげる
恐竜の飛べない子孫が
景気よく声をあげる

より大きなものを知るためには
偉大であって ....
やさしさを込めたはずの言葉の前に
氷のように冷たい壁を感じるのは
わたしの中の本当だからです

どうしても感じずにはいられない
わたしの中の冷えきったもの
それが目の前に在るのです

 ....
私たちの子供は全部で46人もいます。
彼の子供が23人で私の子供も23人。
今日私の子供の一人がとても落ち着きが無くて廊下に出しておきました。
私たちのお部屋のピシッとした雰囲気を壊すのでしかた ....
口笛についての十箇条
という本を手に取る
森は今日も図書館だ
また迷い込んでしまう
薬研堀の夜景は夜飛ぶ鳥たち、の巣
漏れ出したようなかすかな星空よりも
営みの湿気をまとった森の夜光虫 ....
少年よ、きみは、決して働いてはならない
労働するなかれ
きみの魂をきみならしめる何ものかのためのほかには
落ちているパチンコの玉に映る空に
きみの希望をすべて投げかけよ
博打をうて
冬に備 ....
atsuchan69さんのおすすめリスト(8387)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
生まれる所- 砂木自由詩17+*10-10-3
へそ- 乱太郎自由詩17*10-10-3
さみしい- 真山義一 ...自由詩1710-10-1
ぼんやり- あ。自由詩10*10-9-30
恋愛遊戯- 渡 ひろ ...自由詩13*10-9-27
三叉路のひと- 恋月 ぴ ...自由詩30*10-9-27
連詩_「_知覚_」_よもやま野原・竹中えん・なき・夏嶋真子- 夏嶋 真 ...自由詩18*10-9-25
sweet_wedding_sweets(祝福の歌)- 渡 ひろ ...自由詩20*10-9-21
流すひと- 恋月 ぴ ...自由詩20*10-9-20
彼岸入りに- within自由詩15*10-9-20
彷徨する春- 梶谷あや ...自由詩610-9-15
水際のひと- 恋月 ぴ ...自由詩19*10-9-13
あくび- うずら豆自由詩110-9-7
りんどう- 佐野権太自由詩21*10-9-7
洞穴墓- 楽恵自由詩9*10-9-7
ミニミニおやじのミニな終焉- salco自由詩4*10-9-7
夢見ヶ崎のひと- 恋月 ぴ ...自由詩19*10-9-6
とりあえず隣人愛- 一 二自由詩110-9-6
墓標- うずら豆自由詩310-9-6
恋の花- 乱太郎自由詩13*10-9-6
お菓子づくり- 西日 茜自由詩8*10-9-5
こもり_うたう- 佐々木妖 ...自由詩7*10-9-5
ガリガリ君のようなもの- nonya自由詩8*10-9-4
いつかまた、会えるから、(マリーノ超特急)- 角田寿星自由詩610-9-4
ピノキオ- 月乃助自由詩12*10-9-3
恐竜は鳥になってしまった- 佐々宝砂自由詩6+*10-9-3
氷のように冷たいもの- ベンジャ ...自由詩4*10-9-3
もう夫婦同然なのに- 西日 茜自由詩2*10-9-2
口笛についての- たりぽん ...自由詩510-9-2
少年よ、働くな- はだいろ自由詩510-9-2

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